試練1 前編
こんばんは。
今回は、ついに異世界に戻ってきました。
そして戦闘が始まります。あの人も動きます。
では、良かったらご覧ください。
次の日の月曜日
泰人達は学校から帰ってくると早速行く準備をする。そして、一通りの準備が済み茅野家の前に集まる。
「準備はいいか?」
頷く二人。それに合わせてティルスが奇声を上げる。
「テテテテテテテテテ。」
すると、光が溢れその場から消える泰人達。
しばらくして目を覚ます泰人達。見渡してみると、どうやらテミールではない違う町の外れにいるようだ。
「ここは、最初の試練の神殿がある古代都市・エンシェルアです。」
いつの間にか人間化したティルスが説明する。
「サミーはどうするんだ?」
「この町の宿で夕方会う予定をしています。なので、すぐにでも神殿に行きましょう。」
そういうと神殿に向かうティルス。それを見て
「ちょっと待て。まず宿で荷物おろしてからにしよう。な?」
その泰人の言葉に
「すみません、焦ってました。」
とティルスが言うと一同は宿屋に向けて歩く。
その頃、一人の黒いマントを被った少年がエンシェルアに向けて歩いていた。
「多分ティルスはエンシェルアかウィンディームにいるはずだ。まずエンシェルアに行ってみるか。」
どうやらティルスの知り合いらしい。
その反対方向からもエンシェルアに向かう男がいた。なにやら大きな玉に乗っているので大道芸人のようだ。
「情報によるとあの町にいるようだな。まぁ、早めに終わらせて帰るか。」
そう言うと、まるでボールを手足のように動かしスピードアップする男だった。
場所は戻り、泰人達は宿に寄り神殿に向かって町外れを歩いていた。
「ねぇ、あれかな?」
莉麻が指さす。そこには古いながらも威厳のありそうな建物があった。
「はい、ここですよ。」
扉の前に立つ泰人達。すると
「試練を受けに来たか。候補のもの一人のみ入ることが許される。さぁ、入るがいい。」
突然喋る扉。そして少しずつその扉が開いていく。中の様子は暗くてよく見えない。
「では、行ってまいります。」
そう言うと扉の中に入り、また閉ざされた。
ティルスは中を歩いた。扉が閉まってから少し明るくなったので、歩きやすかった。
少し歩くと、銅像のようなものが立っていた。獅子の形をしている。
「王候補のものよ。試練を受けにきたか?」
突然喋る銅像。ティルスは少し驚いたが
「・・・はい。お願いします。」
「ふむ。ここでは試練というより、お前が王候補として適任かどうか確かめる。手を出すがいい。」
手を出すティルス。すると獅子の銅像はその手に噛みついた。
「え!?」
びっくりするティルスだが、痛くないことや検査すると言っていたので冷静に戻る。
「(でも、僕は王の血筋ではないしな。もしかしたら駄目かもしれない。やっぱりティライズくんがいいよね。)」
そう思っていると、終わったのか獅子はティルスの腕を離し元の位置に戻る。
「王の血筋、能力を確認。合格だ!」
「はい!?」
一瞬何が何だか分からないティルスだった。
神殿の前では泰人達が座っていた。空を眺めて暇そうにしている。
「暇だ。」
「暇だな。」
「暇だね。」
「それはちょうどいいな。」
・・・・・目の前にボールに乗った男がいた。
「うわ!なんだお前は?」
沙汰が驚いたように声を上げる。
「俺の名はボルス。早速だがラルゴ使い前は俺と勝負してもらう。」
泰人を指さして言う。
「・・・マジかよ。しょうがない、二人とも下がってろ。」
泰人は二人を逃がす。そして
「ていうか、なんで俺がラルゴ持ってるって知ってんだ?」
当然の疑問を口にする。
「シュパルツに一発喰らわせたようだな。楽しみだぜ。」
あぁ、あの変な人かと泰人は考えた。
「まずはこれだ!」
右腕を前に出す。すると、歪みが発生し大量の野球ボール位の球が発射される。
「うぉ、ビビるよ。だったら・・・・・ラルゴ・ウィップ。」
ラルゴが光る。どうやら一度発動させれば、名前を呼ぶだけでいいようだ。
「行くぞ!!」
そう言うとラルゴ・ウィップを自分の前で回転させる。すると、強力な風が生じ球を吹き飛ばす。
「ふむ、なかなかやるな。」
「今度はこっちだ。」
泰人は間髪入れずに間合いを詰め、ウィップで叩きにかかる。しかし、ボルスはボールから降り次々と攻撃を避ける。
「ぐ、当たらない。」
焦る泰人。それに対しボルスは再び間合いを取る。
「さて、次はこれかな。」
そう言うと再び歪みからボールが発射される。バスケットボール位の大きさで一つしかないが、鋭い棘が無数に生えている。
「・・・・・やばい。」
咄嗟にかわす泰人。しかし、それには追尾機能が付いているらしくまた泰人を襲う。今度は避けれない。
「ぐぁ・・・。」
左肩に無数の傷跡が残り痛そうだ。思わず倒れる泰人。
「お兄ちゃんが!」
泰人のもとに向かおうとする莉麻。しかし沙汰はそれを止める。
「駄目だ。今行ったら君までやられるぞ。ここは我慢するんだ。何かの時は俺が泰人を助けるから。」
沙汰は優しく呼び止める。
莉麻「・・・分かったよ。」
莉麻もも渋々頷く。
「ではこれで最後だ。」
ボルスは右手を掲げる。すると大きな歪みが生まれ、そこから巨大なボーリングの球が現れる。
「・・・こうなったらしょがない。」
泰人はポケットに入れてある箱を取り出し開けようとする。しかし箱は開かない。
「・・・嘘だろ。まだ時じゃないのか。」
完全に希望を砕かれた泰人。絶望的だ。
「ふ、どうやらここまでだな。潰れるがいい。」
巨大なボーリングの球が放たれる。
「お兄ちゃん!!」
「・・・ち。」
沙汰はミニパソを取り出すが間に合わない。巨大なボーリングの球を見て
「・・・ここまでか。」
そう思ったとき、泰人の意識が遠くなる。
また12年前の記憶の世界だ。
「へぇ、うぃっぷって何?強いの?」
ちび泰人が質問する。
「ウィップとは鞭のことだ。振り回したり、敵を捕まえたり色々できて強いぞ。」
「そうなんだ。でも攻撃ばっかりでもいいのかな?」
泰人はけっこう頭が回ると祖父は思った。
「うむ、だから次の能力だ。これは特殊じゃぞ。」
そういうと一息入れる。
「2、お前を守る衣が必要になったとき、ラルゴを掲げこう唱えるがいい・・・・・」
泰人は意識を取り戻す。
「まだ終われない。」
ラルゴを掲げて唱える。
「我発動す・・・」
ウィップと同様光が溢れる。だがウィップのときより優しく温かい光だ。そして
「・・・・・ラルゴ・ウォール!!」