49.過去の悲劇
どうも、ロンロンの弟子です。遅くなって申し訳ないです。一段落したので投稿します。
さて前回言い忘れていた泰人の怪我について簡単に説明します。
理由は、適正資格を満たしていないため身体に必要以上の負荷が掛かり肉体が悲鳴を上げたということにしています。
正直これ結構本編に関わるので言わないとまずいと思いました。もうなんとなく分かっていた人には必要なかったですね。
さて、今回は泰人の事件について触れていきたいと思います。正直暗い話なのでそこはご了承ください。
それではどうぞ!
突然現れた謎の男。着ぐるみを身に付け、声は変声機を使っていて元の声がよく分からない。
男は現れると同時に泰人と祇亞、そして希衣成の過去について語り出した。
あれは3年前の話だ。
当時茅野泰人は中学2年生、そのときから友人はいなくて谷田沙汰ともまだそれほど仲が良くなかった頃だ。裏で一つのいじめ問題があった。
いじめの対象になったのは白城希衣成って少女で当時泰人と同い年だった子だ。あまり人付き合いが上手くなくて一人でクラスで浮いているような奴だった。そしてそいつを標的にしたのが零渡祇亞だ。こいつも当時泰人と同い年だな。
祇亞は学校では真面目で教師からの信頼も厚い奴だったが、裏では色々とやらかしてた最低野郎だった。
そして偶然・・・だな、中学2年になってから奴は希衣成を虐め始めた。理由は些細なことだったかもしれないが奴にとってはそれで十分だ。どんな小さなことでも理由があればな。そして口封じもしていたんだろうよ、誰にもバレることはなかった。・・・あの日が来るまではな。
とある日の夜、祇亞は希衣成を学校裏に呼び出し暴行やら何やらしていたらしいがそこに偶然泰人が通りかかった。学校裏の夜になると太くなると噂の大きな1本の木の太さを新品のメジャーで測定しようとしていたらしい。
そして大喧嘩になった。泰人はそこそこ運動もできる奴だったが祇亞は女子相手ならまだしも男子相手となるとそこまで力がある方じゃなかった。とは言っても一方的じゃなくて奴も抵抗したようだったがな。
だが次の日、遂に奴の化けの皮が剥がれることになった。泰人が教師に希衣成が虐められていることを言い希衣成も認めたからだ。そこからは他にもやってきたことがズルズルと芋ずる式のように出てきて奴は停学を食らった。
とまぁ、そんなことがあったから希衣成は泰人に惚れたんだろうな。あいつは泰人に告白して泰人が受け入れた。最初は泰人もそんなことをしてはまた祇亞に何かやられるのかと心配していたが彼女がどうしてもと譲らなかったらしい。
その後付き合い始めた二人は互いの家を行き来したり、休みの日はデートしたりとかなりいいカップルだったようだ。
そしてそんな時・・・恐れていたことが起きた。
祇亞は希衣成と泰人が付き合い始めたと他の奴らから聞いたようでとんでもなく怒っていたらしい。全く逆切れもほどほどにしろって感じだがな。
そしてとある平日、希衣成の家には両親が共に外出中で一人っ子だった彼女の家には猫のプレッソが一匹いるだけだった。希衣成は泰人と帰り道別れて自分の家に着いて驚愕した。
彼女の家が・・・燃えていたからだ。
近所の人達が通報したおかげで早めに消防車が来て消し止められたらしい。
彼女がは家に着いたとき燃えている家に近づこうとしたらしい。そして物置に何かないか探しに入ったところ猫のプレッソの死体と一枚の手紙が見つかったようだ。死体はナイフのようなもので何ども刺された跡があり、そして手紙にはプレッソの血でこう書かれていた。
おまえのしあわせをすべてうばってやる
彼女はその場を消防隊員に任せて、急いで近所の公衆電話に駆け込んで泰人の家へと電話した。
だがその時泰人の方にも危険が迫っていたんだ。泰人の母親から泰人が誰かの電話を受けて血相変えて家を出ていったことを知り、彼女は泰人を探すため町中を走り回った。
そして泰人はとある路地裏に来ていた。普段ほとんど人が通らない場所だ。泰人が話していた電話の相手はやはり祇亞だった。電話の内容はこうだ。
お前の妹を捕まえた。返して欲しければ一人で路地裏まで来い
それを聞いて来たんだな。そこには祇亞とそのお仲間と思われる不良が数人いて、その内一人が妹を捕らえていた。まぁ、祇亞がミスしたなら泰人をわざわざ挑発するように不良の一人に命令したことだな。何をしたか知らないが。
ブチギレた泰人は一気に相手の間合いに入って殴り飛ばした。どうやら土壇場に強いみたいでそのまま全員を倒して妹を助けた。・・・とはいえ格闘術に関して素人な泰人は無傷とはいかなかった。あいつもかなりのダメージでボロボロだったみたいだが、流石に全員倒されて焦ったのか祇亞は驚いて逃げようとした・・・・・・が、あの男にチャンスが訪れた。そこに泰人を探しに来た希衣成が通りかかったからだ。奴は希衣成を捕まえて人質にし、その場から逃げようとした。流石に泰人は体力が残っていなかったが、妹に支えられ奴を追った。・・・そして起こってしまったんだ。
路地裏を飛び出した祇亞とそれに連れられた希衣成は・・・偶然通ったトラックに跳ねられ命を落とした。
それからが大変だった。希衣成の家族は娘と家を失い、その犯人もいなくなったからか行方不明になってしまった。祇亞の家族はウチの子がそんなことをするはずがない、息子を追い詰めたのは泰人だの一点張り。
そして元々周りと話さなかった泰人は今回の事件でよくない噂が広がった。泰人自身は特に変わった様子はなかったが内心すごくキツかったんじゃないかな。そしてずっと学校を休んでいた。
その後落ち着くまでしばらく経って、久しぶりに奴は登校した。
そんな時、谷田沙汰と出会い・・・いろいろあったがそこは省略して今に至るわけだ。
「そんなところかな。結構省略したが簡単にまとめるとこうなる。・・・莉麻ちゃん、嫌なことを思い出させてすまないな。」
「・・・・・・誰だか知らないけど気にしなくていいよ。お兄ちゃんの方がもっと辛いはず・・・だから・・・・・。」
とは言うものの莉麻は今にも泣きそうな表情をしていた。
そんな莉麻を見て雪美はギュッと抱きしめる。大丈夫、大丈夫と呼び掛けながら。
「・・・なるほどね、事情は飲み込めたわ。通りで梓由の告白をすぐに受け入れられなかったわけだわ。」
「さっきのフィルディアの話と合わせるとこうなる。祇亞っていうガキは逆恨みでラルゴ使いを狙っている。ラルゴ使いもそのガキとの決着を望んでいる。ガキはプレストを使わなければただ回避がうまいだけな奴だが使うと俺たちでは勝てないくらい強くなる。勝つには覚醒スネイラーかもしくは・・・・・・」
途中で話を切ってヴィントルはスィングの方を見る。何かに見られている感じがしてスィングも気づくが何故自分が見られているのか分からないのか首をかしげている。
「(あの水使いの持っていた白魔石は普通のよりも桁違いにやばい代物だ。その力ならもしかしたら対抗できるのかもしれないが今はミーアがいるし余計なことは言わんほうがいいな。)いや、なんでもない。とりあえず全員疲れただろう。明日使えないと俺様が困るからしっかりと休んでおけ。」
そのヴィントルの一声でその場は解散となった。
その後、今には人が減ってヴィントル、ミーア、着ぐるみの男だけになった。
「さて、私は帰ろうかしら。着ぐるみのあなたも一緒に行きましょうか。」
「そうだな。俺も明日本戦に出るから今のうちに休んでおこう。」
そう言って立ち去っていく二人。去っていく着ぐるみの男を見てヴィントルは何かを感じた。敵意ではなくどちらかというと味方な気がした。
「奴は今昏睡状態なはずだ。ここに紛れ込んでも不思議ではない・・・がミーアと一緒にいる理由がわからん。何か考えでもあるのか?」
そう呟くも周りには誰もおらず聞かれることはなかった。
ガチャッ
扉を開けて外に出る。そのまま門を抜けそこで転移の術式を組もうとする・・・・・・と
「久しいな、ミーア。いや・・・実際に会うのは初めてか。」
「・・・え!?」
突然背後から声が聞こえる。振り返るとそこには・・・
黒いマントを着た男、黒の魔法使いが立っていた。
続く
どうでしたか?これで登場キャラクターが全て出揃ったのでここからは一気にまとめていきます。おそらくこれ以上は増えない・・・と思われます。
さて次回ですが今週中に投稿したいと思います。今年中、できれば夏までには終わらせたいです。
それでは皆さん、この時期の風邪やインフルエンザには十分気を付けてまた次回お会いしましょう!!