46.予選最後の戦い・前編
おはようございます、ロンロンの弟子です。
遅れてすみません。まとめ方が難しかったので。
という訳で予選最後は前後編でいきます。
では本編をどうぞ!
回想
午前4時・路地裏、祇亞と双子戦闘中
「さぁ、お楽しみはこれからだよ。」
そこからは地獄だった。一方的にやられていた、まさに格の違いを見せられたといったところだろう。
双子は気づくと全身傷だらけで倒れていた。双子はなんとか痛む身体で立ち上がるがもう戦うほどの力も残っていなかった。
「もう戦えんだろう。君たちには俺の駒になってもらおうか。」
そう言って祇亞は近づいてくる。
双子の姉は弟のディアルの方を見る。気づかないうちに彼女が守っていたのかディアルの方がダメージは少ない。この場から逃げるならば・・・
「・・・・・仕方ない・・・か。」
そう呟くと双子姉は集中し始めようとするが
「・・・と思ったけど片方だけでいいや。もう片方は泰人を呼んできてもらいたいし。」
「え?」
一瞬何がなんだか分からなかったがすぐに理解する。
つまり・・・一人はこの場を逃がせるということだ。そうなると彼女はもうどう答えるか決まっていた。
「私が人質になる。弟の方は逃がして欲しい。」
「・・・ちょ、ちょっと、勝手に決めないでよ。ここは男の僕が・・・って。」
ギュッ
反論するディアルを抱きしめる姉。
突然のことで黙ってしまうディアル。
「私の計算ではディアルの方が適任。というかそれ以前に貴方の方がダメージ少ないし当然よ。・・・頑張ってね。」
「・・・・・・分かった、絶対助けに来るから待ってて!」
そう言い二人は離れる。
それを見て祇亞はケラケラと笑いながら
「感動したよ。これが姉弟愛ってやつか。俺には兄弟なんていなかったから余計いいもんだって思わなくもないよ。・・・じゃあ弟の方は行け。ちゃんと泰人を連れてこなかったら姉のほう消すからよろしく~。」
軽くふざけて言う祇亞にとても腹が立ったが今のままではとてもではないが敵わない。
ディアルは心の中で姉に何度も謝罪しながらその場を飛び立つ。
「そうだ。もし奴が乗り気じゃなかったらこう言えば絶対来るよ・・・きいなってな。」
最後そんな言葉を聞いた気がした。
そして彼が去った後
「・・・さてお姉さんの方は操り人形になってもらおうか。俺の憎しみの力分けてやるからありがたく思いな。」
「・・・・・・信じてるよ、ディアル。」
そして今
「僕が姉さんを止めなくちゃいけない。・・・たとえこの身を犠牲にしてもやるんだ!」
ディアルは移動しながら決意を固めていた。
雪美の屋敷前
「・・・・・・じゃあ行くわよ!」
ミーア達は術式に吸い込まれるようにその場から消えた。目指す場所は泰人がいる原っぱである。
ミーアの術のため他のメンバーも安心していた。実際、途中までは順調に移動をしていた・・・が突如何らかの衝撃を受ける。
「・・・な、何!?」
ミーア達は気づく。衝撃は何回かに分けてきている。このまま衝撃を受け続けては異空間に飲み込まれてしまう。
「皆!一回転移中断するわ。手を離さないで降りるわよ。」
そう言って一同は降りる。
降り立った場所は無限に闇が広がる空間、術式空間と呼ばれる場所だ。ここで作られた術が術式等を通し現実世界に送られる、全ての原点で、泰人とフィルディアが飛ばされた場所でもある。
そんな場所で彼女たちの前に立ちふさがる少女が一人。
「待っていた。王子隊とその他数名。」
それはディアルの双子の姉だった。目に光は宿ってなく明らかに普通ではないと誰が見ても分かった。
「貴女は空の隊の双子の姉、ディアスね。憎しみの力を感じるし恐らく祇亞に操られてると考えられる。じゃあ悪いけど一気に決めさせてもらうわよ!」
そう言って術式を描こうとするミーアだが
「・・・あれ、何で術式が反応しないの?」
完成した術式からは何も反応しない。普通であればこの空間でも術式は使えるはずである。
「無理。今ここは私のフィールド。周りを見て。」
ミーアたちは周りを見る。すると彼女たちを囲うようにサークルが描かれている。
これによってすべての術式や能力を封じているようだ。
「だったらここから出れば・・・。」
そう言ってミーアはサークルから出ようとするが
バチバチッ
「・・キャッ。」
弾かれる。どうやらこのサークルからは出られないようだ。
サークルは彼女たちをぐるっと囲うように全長10m位ある。
「無理。ここからは出られない。そして貴女たちは能力が使えなくても私は問題なく使える。」
するとディアスがミーアたちに手を向ける。そこからいくつもの気弾が発射されミーアたちを襲う。
能力を使えなければミーアもただの少女である。
「ちょっとこれは・・・。」
「仕方ないな、僕に任せてくれ!」
ミーア達を守るように武者蜥蜴隊のリーダーが前に出る。
そしてすべての気弾を全て受け止める。
「これは予定外。」
「まぁ、一応リーダーだからね。これくらい出来て当たり前だよ。」
「・・・だったらこれでどう?」
そう言って彼女は再び気弾を発射する。その大きさはさっきの比ではなく2mクラスの巨大なものでかなりの力を感じる。まともに受けてはひとたまりもない。
だがリーダーが避けると後ろにいるミーアたちが受けてしまう。それは嫌だった彼はこれを受け止めようと両手を出す。
「ちょっと、それを受け止めたらあなたやられるわよ。」
ミーアの静止も聞かず向かってきた気弾を正面から受け止める。
ググググッ
明らかに押されていた。能力なしでこれを受け止めるのは不可能に近かった。
「僕はミーア様を守るために生み出されたし、そこにいる王子隊には借りもあるからね。・・・ここは命を賭けても止めるさ。」
そう言って彼は全身に力を込める。どうやら自分の力をぶつけて相殺するつもりだ。
「だ、駄目よ。ここは一時的に夢の空間から外れた場所。ここで消えたらあなたもう再生できない・・・
」
言い終わる前にリーダーは振り返りほほ笑みかける。
もう覚悟を決めたような笑みだった。
「あのメイド少女に伝えておいてくれ。本当にすまなかった・・・と・・・・・・」
それが彼の最後の言葉だった。
・・・武者蜥蜴隊リーダーは気弾と共に消滅した。
「そ、そんな・・・。」
一人やられてしまった。
ミーアたちは息消沈してしまう。いくら変な奴だったとしても彼女たちを守ってくれたことには違いなかったからだ。
「一人消滅を確認。残りは戦闘能力あるものなし。勝利する可能性・・・・・・99%!」
もう何もできなかった。このままやられるのを待つしかなかった。
「私、能力無効にされただけでこんなに無力だなんて。・・・本当、駄目ね。」
「攻撃開・・・」
ディアスが攻撃をしようと手を向けた時だった。
「止めに来たよ姉さん!!」
「え?」
バチバチバチバチッ・・・パキーン
サークルが消えていく。どうやら外部からの攻撃を受けて消滅していくようだ。
「大丈夫ですか、ミーア様!?」
そこに駆けつけたのは
「・・・ディアル確認!」
空の隊、ディアスの双子の弟のディアルだった。
続く
どうでしたか?
少し設定について語りましょう。今現在こんな考えで書いています。
基本ミーアの作り出したキャラは再生可能ですが、海の隊といった外部から来た人や夢の世界外でやられた場合は無理です。
そして闇の空間ですがディオールで使われる術の場合、この空間で作られディオールに送られるという術をつくる場所とされています。勿論例外はありますが、大抵はそういう考えです。不思議なところです。能力は個人に宿る力なため術式関係の能力以外はこの空間を必要としません。
とはいっても泰人たちの世界では術は使えません。これまた例外はありますがそれは後ほど。能力は使えるものもあります。ティルスの空間移動がそれですね。
大まかにはそんなところです。詳しくは進めているうちに分かると思います。
さて次回ですが今年中にあと一つ投稿します。次で予選終わりますからね。
果たして双子はどうなるのか、泰人と祇亞の対決の行方は、すべて次回でまとめます。
それでは皆さん今年の汚れは今年のうちに。
また次回お会いしましょう!!