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Mystic world  作者: ロンロンの弟子
悪夢編・予選2日目
79/115

44.戦いの裏で

ティルス達が夢に旅立った後、悪夢神は動き出した。巨大な石像の姿で。

沙汰が意識不明、戦えないティライズ。主力がいなくなってしまったディオールでは


「さて、邪魔者は今いない。ようやく計画が実行できるな。」


城の内部にあった巨大な像が動き出した。壁を壊し、町を踏みつぶしながらある場所へと向かう。そのせいで城下町はパニックになる。今ディオールには実力者がいないため止めようもない。


「この辺りだな。」


城下町の広場で止まる。広場は巨大な像が立っていても問題ない広さだ。像は両手を掲げ何やら呟き出すとすぐに変化が起きる。その変化とは周りがどんどん歪み始め、その歪みが広がっていく現象として現れた。



道を開けてくれ!



うちの子はどこ!?



助けてお母さん!



パニックになった人々の悲しみに満ちた叫び声が聞こえる。だが歪みは止まらず歪みに取り込まれた人々はどんどん融けていく。まるでディオールと一つになるようだった。


そしてどれくらいの時間が経ったか分からないがディオールはすべて一つとなった。

像・・・・・・いや、悪夢神は周りを見る。そこには何もないようにみえるが何でもあるように感じる。


「ディオールの夢化計画がようやく成功したな。」


そう、ディオールは夢となった。悪夢神が自由にできる世界となったのだ。・・・・・・だが


「ん?」


悪夢神は違和感を感じる。まだ掌握できてない場所があるような感覚だ。


「まぁ、気にしなくても大した問題じゃない。」


そう考え悪夢神は次の手を打つことにした。今悪夢ではミーアのゲームが行われている。万が一でも彼女が負けてしまい王の資格を手に入れたティルスや泰人達がここに来てはディオールを取り返される危険があった。そのためいくつもの難題な試練をティルスに与えた。だが彼は全て乗り越えた。それは全て玄武の孫、泰人が関係している。


「多少抵抗をしているようだが青龍は我の手駒にあり、死に損ないのヴィントルは敵ではない。となると危険分子は茅野泰人だな。ラルゴの究極の力を手にされてはいくらミーアでも負ける可能性が出てくる。」


悪夢神が恐れているのはラルゴの究極の力らしい。だがそれだけじゃないようだ。


「そういえば上級精霊の力を秘めた白核石はくかくせきは何処へいったのだろうか。変な男が持ったまま姿を消したんだが、奴らの手に渡ってなければ問題ないな。」


こうして意見をまとめた。


「茅野泰人を倒せる存在を悪夢へ送る。」


そう言って他の夢の世界を見て泰人を倒せる人材を探す。だがなかなか見つからなく時間が過ぎるばかりだった。やはり基準が泰人を精神的に追い詰めて且つ強いのは難しいようだ。仕方なく一区切りつけようと思った時だった。




・・・憎い

あいつ、茅野泰人が憎い

奴に復讐したい




「む?」


雰囲気が違う欠片を見つける。いや、夢の欠片ではなく、死人の魂だった。どうやら黄泉の世界から夢の世界に迷い込んだらしい。その魂は憎しみで存在を保っていたようだ。


「・・・ほう、これはいい。」


悪夢神はその魂に何かを感じた。能力的なものではなく能力を与えれば最高の使い方をしてくれる才能だ。


「興味がある。この者の記憶を見てみるか。」


悪夢神はその魂の記憶を探る。見ていくごとに悪夢神はなにやら思いついたようだ。


「これは面白い。茅野泰人を追い詰める為に必要な最高の人材ではないか。」


悪夢神は更に魂の近くを見渡す。すると今にも消えそうな魂を二つ感じる。


「これか。・・・ならばこうするか。とっておきを与えてやろう。」


悪夢神が念じると消えそうな二つの魂は合わさって一つとなる。そして何やら強力な力を与えたようだ。


「さて、これで一番の邪魔者を排除できる。我の野望の完成は目の前だ!」

悪夢神は声高らかに笑った。




ディオールが夢となってしまった。そしてその夢の欠片は今戦いが行われている悪夢へと流れ着く。だが不都合が起き泰人たちの世界の止まっているいる人々の夢も混ざってしまった。それが7つの夢の欠片の正体だった。


メイディア

スタッフ

猫のプレスト

零渡祇亞

謎の少年

そしてミュアが知っている二人


その欠片がこの7人?である。







午前7時・雪美の屋敷


「恐らくお兄ちゃんを呼んだ人って・・・・・・零渡祇亞さんじゃないかな。」


「そいつはどんな奴だ?一体ラルゴ使いとどんな関係がある?」


莉麻がその問いに答えようとすると急に別なところからここに来たような気配がする。


「それは私も気になるわね。」


「・・・え!?」


全員声がした方を向く。そこには精霊ミーアが立っていた。


「急用ができたから結界破らせてもらったわ。大丈夫、危害は加えない。それでその祇亞って子について聞きたいんだけど。」


戸惑いながらも信用したのか莉麻は頷くと話を続ける。


「詳しいことは分からないけど、3年前・・・お兄ちゃんが中学2年生の頃にその人は交通事故で亡くなったはずなの。・・・思い違いかな。」


そう言ってうんうん考える莉麻。


「・・・その子、泰人の事とても憎んでいたみたい。これで何かわかる?」


「・・・・・・!?」


驚いた表情をする莉麻。どうやら心当たりがあるらしい。


「どうやら心当たりがあるようね。教えてくれないかしら?どうやらその子、一番危険かもしれないの。情報は色々と仕入れておきたいわ。」


「・・・・・・さっきのきいなって言葉、そして憎んでいたらしいってこと。これらが当てはまるのはやっぱり祇亞さんしかいないよ。でもあの人は・・・・・・詳しく説明できない。思い出したくないよ。」


すごく辛そうな表情をする莉麻。一番嫌なことを思い出したかのような・・・そんな痛々しい表情だった。


「分かった、ありがとう。さてあなたたちに話さなくてはいけないことがあるわ。これからについて・・・ね。」


そしてミーアは急に真面目な顔になる。


「まず最初に残り人数のことよ。今朝、何者かの手によって30人前後の参加者がほんの2、3分で姿を消した。そしてその犯人は・・・祇亞って子だと思う。その子の実力は私と同じかもしかしたらそれ以上かもしれない。それで残りの参加者は20人。そろそろ予選も終わるわね。」


ザワザワと騒がしくなる。前日は50人前後で朝起きたら20人である。更にミーアクラスの敵の登場。驚かないほうがおかしい。


「次に迷い込んだ夢の欠片の話。そこにいる二人以外に後5人いるわ。分かってるのでさっきの祇亞を含めて3人ね。残りの二人はまだ把握しきれてないんだけど・・・」


「・・・その把握している3人の中に猫いる?」


ミュアが疑問に思い、話に割り込む。するとミーアは少し考えると


「・・・いないはずよ。全員人だったはずだわ。」


「・・・・・・。」


ミュアは黙る。するとメイドの美納下が慌てて入ってくる。


「大変です。昨日の猫ちゃんが部屋にいません!」






全員で部屋まで移動してきた。だが見たところ猫の姿はなかった。

ミーアは部屋全体を見渡して一つの事実に気づく。


「・・・この部屋にいたのって本当に普通の猫なの?ちょっと危ない力を感じるのだけど。」


「あぁ、そうだな。昨日は気付かなかったが・・・これは本気でまずいぞ。」


水晶のヴィントルはメイディアに抱えられたまま話す。


「その猫が祇亞って子の可能性が高いわね。だったら今の泰人じゃ絶対に勝てないわ。」


「・・・お兄ちゃんを止めなくちゃ!!」


慌てて部屋を出ていこうとする莉麻をミーアが止める。


「待って!まだ話は終わってないわ。最後の話はこれから私も一緒に祇亞の所まで行ってあげるってことなんだから。」


「・・・・・・・・・・。」


理解したのか莉麻は立ち止まる。

それを見てミーアは言葉を続ける。


「本当は敵対している貴方たちと組みたくはないけれどそんなこと言っている場合じゃないのよね。仕方ないから貴方たちと一時的に組んであげる。危険分子である祇亞を捕まえに行きましょう!」


その言葉に全員頷く。

そして話し合ったところ行くメンバーはリーダー、ティルス、スィング、フロン、ミーア、水晶ヴィントルということになった。莉麻はどうしても行きたいといったがミュアと雪美が説得し渋々納得した。


「じゃあ行きましょうか。居場所はだいたい分かっているわ。まずは外に出て。」


行くメンバーが外に出ていく。スィングも続こうとするが


「・・・ぐっ!」


痛みで立ち止まってしまった。シロミャーが心配そうにしている。


「ますたー、ちょっとまずくなーい?あの戦いであたしの力7割貸したの結構響いてるよね。無理して普通のふりしてたみたいだけど。」


「正直かなりキツイね。だけど俺っちは泰人を助けに行きたいんだ。あいつは俺っち達の希望なんだからな。さぁ、石に戻れ。」


そう言うとシロミャーはならいいけどと言って石に戻った。

そしてスィングはそれをポケットに入れるとミーアたちを追っていった。











午前7時10分・とある拓けた場所


「・・・・・・零渡祇亞!!」


泰人は祇亞を睨みつけながらそう言った。どうやら何か嫌なことでも思い出したかのような表情だ。


「待っていたぞ、泰人。お前とこうしてまた会うのを・・・復讐できる機会が巡ってきたことをな!!」


睨み返す祇亞。その目には憎しみの炎が宿っているように見える。


「・・・・・・あれは自業自得だ。貴様のやったことの償いだと思え。」


「俺は何も悪いことはした覚えはないぞ。ただ純粋にあれを楽しんでいただけだ。それをお前が邪魔したんだよ。」


「楽しみだと・・・、貴様ああああああああああああああ!!!!」


そう叫びラルゴシューターに変化させて祇亞目掛けて打つ。普通の人なら避けられないスピードだが


ヒョイ


祇亞は軽く身体をひねると楽そうにラルゴシューターの一撃を避ける。


「その程度か。もっと強いと思っていたんだがな。」


「・・・・・・・・・・。」


一撃を避けられたことで泰人は思い出していた。祇亞が今回しでかしてきたことを。

そして相変わらず睨みながら言葉を紡ぐ。


「今回も相当やったらしいな。全部俺をおびき寄せるためってことか。」


「その通りだ。貴様に復讐するためならなんだってやってやるさ。女、命令がある。よく聞け!」


「・・・はい。」


少女が虚ろな目で頷く。ディアルは複雑な表情をしていた。


「恐らくこいつの仲間がここに来るだろう。そいつらの足止めをしろ。別に消しても構わん。」


「な、・・・お前!!?」


「・・・了解しました。」


それに少女が頷き大地を蹴ると空高く飛び上がった。

どうやらディあると同じ力をもっているらしい。


「待て、おい!」


泰人の静止も聞かず少女は雪美の屋敷の方へと向かった。


「ヤバイ、追うしか・・・。」


「待って!!」


ディアルから止められる。

泰人がそっちを向くと決意をした目をしていた。


「僕があの人を・・・姉さんを止める。だから泰人はその男と何も気負わずに戦ってくれ。」


「・・・ディアル。」


泰人は来た時から薄々分かってはいた。さっきの少女が彼の姉であると。そして彼は姉を止めるという。その言葉の意味は・・・よく分かっていた。


「正直僕と姉さんは君たち王子隊を倒すために生み出されたに過ぎない。だけど僕は姉さんを勝手に憎しみに染めて操ったこの男は許せない。だから止める。それだけだから勘違いはしないで欲しい。」


「・・・・・・。」


何も言えなかった。でも何となく感謝されているのだということは感じることができた。


「・・・こいつなんかに絶対負けないでよ。」


「ああ、当然だ!お前も頑張れよ。」


男と男の約束を交わしディアルは少女を追うべく雪美の屋敷へと飛んでいった。






「泣けるなぁ。いいものを見させてもらったよ。」


明らかにふざけて笑いながら祇亞は言う。

誰が見ても感動しているようには見えなかった。


「強くなっても変わってないな。相変わらずの外道だ。」


「ふふ、褒め言葉として受け取ろう。さて、始めようかな。」



ピーーー



祇亞が指笛を鳴らす。するとすぐに猫のプレストが現れる。


ミャー


それを見た泰人は驚きの表情を浮かべる。


「・・・プレッソ・・・・・か?何で祇亞と一緒にいるんだよ、そいつに殺されたんじゃ・・・。」


泰人はその猫を知っていた。しかも名前まで。だが祇亞の言っている名前と少し違う。


「そういやそんな名前だったな。まぁ、どうでもいいけど。それよりもお前に懐かしい奴に会わせてやるよ。プレスト、甘噛みで頼むぞ。」


ミャー


プレストが鳴き声を上げると祇亞の左の薬指にかぶりつく。するとプレストは光り出し祇亞と一体化する。背が縮み、服装がセーラー服になり少女になる。猫耳と尻尾まで生えている。


「ったく、性別変わるのとか慣れないな。それにこの身体奴のだし・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


泰人は黙ってしまった。驚愕の表情を浮かべながら何とか言葉にした。

その言葉が・・・




「・・・・・・希衣成きいな?」











続く

どうでしたか?

ついに追いつきましたね。いやはや、ご迷惑をおかけしたと思いますがこれからも頑張っていきますのでまた見てもらえたら嬉しいです。

さて次回はやはり未定です。少し危なくなってきて忙しいので。

では皆さん、風邪に気を付けてまた次回お会いしましょう!!

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