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Mystic world  作者: ロンロンの弟子
悪夢編・予選2日目
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43.最悪の再会

今朝の戦いの後、ティルスはフィルディアをラルゴに戻し、ミュアとヴィントルは分離した。

屋敷につくとスタッフ達が出迎えた。猫の存在を教えた後、疲れたのか全員すぐに寝てしまった。そして戦い初日の夜が過ぎて陽が昇る。






午前6時・雪美の屋敷


「うーん、朝一番の温泉はやっぱりいいものね。」


メイディアは温泉に入っていた。他のメンバーは疲れて寝ているため彼女一人である。


「さて、昨日から気になってた露天風呂でも行こうかな。」


上機嫌なメイディアは露天風呂へと向かう。



ガラガラッ



・・・そこには武者蜥蜴隊のリーダーが立っていた。

メイディアは一応タオルは巻いているもののほぼ裸である。


「都合がいい。大変なことになっ・・・・・・」


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

・・



キャーーーーーーーーーーーーーー!!!!



その後リーダーはボコボコにされた。その騒ぎがあったか皆起きて居間に集まっていた。・・・・・・一人を除いて。


「そんで、覗き魔は何しに来たんっすか?」


「覗きとかちょーキモいんですけど~。ていうかますたー、何しに来たかって覗き魔は覗き以外にすることないじゃん♪」


いつの間にかシロミャーまで出てきて散々な言われようである。メイディアは恥ずかしくて顔を赤くし俯いている。


「・・・それより気づかないか?誰かが足りないのでは。」


これ以上覗きのことを言われると正直泣きそうなリーダーは話題を変えようとする。


「・・・・・・お兄ちゃんがいない!」


いち早く莉麻が気づく。

そう、その場には泰人がいなかった。勿論フィルディアもである。


「俺っちが起きたときにはもういなかったから先に来ていると思ったんすけどね。」


「・・・・・・おい、まさか貴様が言いたいのは。」


頷くリーダー。どうやらヴィントルは分かったらしい。




「茅野泰人は戦地へ向かった。」









今から数十分ほど前まで戻る。

泰人は眠っていた。流石に一日目は色々ありすぎて疲れきっていたからだ。・・・だが




泰人、起きろ、泰人




直接脳に響く声がして泰人は仕方なく起きる。


「・・・んむ、ったく何処の誰だよ。」



僕は空の隊、隊長のディアルだ。君と少し話をしたい。誰にも気づかれずに一人で外に出てきてもらえないか。



空の隊という言葉で泰人は完全に起きた。


「・・・分かった。その代わり、屋敷に攻撃なんかするんじゃないぞ。」


そう言って泰人は机の上のラルゴを手に取る。


「あれ、泰人さん。朝早いですね。おはようございます。」


「おはようございます。急ですみませんが話を聞いてください。」


泰人は空の隊、隊長が屋敷の前まで来ていて自分が呼ばれていることを話す。


「そうですか。分かりました、一緒に行きましょう。」


「ありがとうございます!」


泰人はラルゴを使い蝸牛結界を展開し屋敷前まで飛んだ。屋敷の前では一人の少年が待っていた。


「来たか。じゃあ、近くの公園に行こう。その方が話しやすい。」


「分かった。」


二人は近くの公園まで歩いていった。公園まで歩いている中で泰人はあることに気付く。


「人の気配がないな。少なくとも参加者はいるはずなんだが。」


「そのことも着いたら話す。」


そう言って少し歩き公園に到着する。二人はベンチに腰掛ける。


「それで話ってなんだ?俺をここで倒すとか。」


ディアルは首を振る。


「実は君を待っている人がいる。それで僕がその人に君を連れてくるように言われたんだ。」


「ちょっと待てよ。隊長ならそんなの部下に任せればいいじゃないか。」


・・・ディアルは俯く。そして辛そうにしながらも話す。


「全員そいつにやられたんだ。15人の精鋭達が一瞬で。それだけじゃない。そいつはその前にも大量の参加者をこれまた一瞬で倒している。桁違いの強さだよ。」


「マジかよ。そんな奴に呼ばれているのかよ。」


流石の泰人もその人物の実力がその説明だけで分かる。


「今は遠慮するよ。まだヴィントルに覚醒スネイラーの発動許可もらってないし。俺はこんなとこで負けられないからね。そいつとは本戦で戦うって言っといてくれ。」


そう言って立ち去ろうとする泰人だが、ディアルに腕を引っ張られる。


「お、お願いします。君を連れて行かないと僕の姉さんが・・・やられちゃう。」


「・・・何!?」


泰人は足を止めて振り向く。


「僕の双子の姉さんが人質にとられて、君を連れていかないと・・・・・・」


ディアルは今にも泣きそうだった。

泰人には分かる。これは演技じゃない。家族を思う男の姿だ。

泰人は考える。はっきり言って聞いた限りの実力者なら勝てるわけがないからだ。精鋭達15人を一瞬で倒す相手では白虎でも無理だろう。全盛期の玄武やヴィントルと並ぶくらいか。


「・・・・・・うーん。」


だが目の前の子の家族は救いたかった。

と悩んでいると


「悩んでいる時はこの言葉を言うように言われたんだ。」


そして一息つくと


「きいな・・・」


ガッ


気が付くと泰人はディアルの襟首を掴んでいた。


グググッ


「ぐっ、ががが。」


絞まっていた。泰人は明らかにおかしかった。


「た、泰人さん落ち着いて。隊長さんが危険ですよ。」


「・・・・・・あ。」


フィルディアの言葉に我に返ったのか手を離す。


「す、すまん。・・・分かった、連れていってくれ。俺の予想が正しければそいつを野放しにはしておけない。」


頭を下げて謝ると連れていくように頼む。


「いえ、僕こそトラウマを呼び起こすようなことを言ってごめん。じゃあこれを受け取って欲しい。」


そう言って渡されたのはオレンジ色に輝く宝石だった。泰人が受け取るとディアルは説明を始める。


「それは持っているだけで空を飛べる。では僕についてきてください。」


そう言ってディアルは飛んでいく。

泰人も宝石を手に飛びたいと願うと飛ぶことができた。


「仕組みは知らないが夢の世界なら何でもありだよな。さて行こう。」


泰人もディアルの後に続いていった。


それをリーダーは隠れて見ていたのだった。











「きいなって・・・・・・まさか!?」


話を聞いた莉麻が反応する。どうやら知っている言葉のようだ。


「莉麻ちゃん・・・知っているの?」


「・・・多分合ってると思う。恐らくお兄ちゃんを呼んだ人って・・・・・・」










泰人とディアルは目的地についた。その場所はとある拓けた場所でだだっ広く原っぱが続いている。

そこにひとりの男と少女が立っていた。男はニヤニヤと笑っており少女の目には光が宿ってなく普通じゃないとわかる。


「来たか。久しぶりだな、泰人ぉ!!」


男は凄く嫌味ったらしく話す。泰人は目を細めその男と向き合う。

そして名前を口にする。




その男の名は



「やっぱりお前だったか。・・・・・・零渡祇亞れいどぎあ!!」











続く

どうでしたか?

また次も見ていただければ幸いです。

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