39.真夜中の決戦・前編
では続けていきましょう。
どうぞ!
クリスタ王国の裏側、それは子供達を使い強力な悪魔を生み出す実験だったのです。
このことは他の人達には知られておらず城の重役の数人が勝手に行っているとのことでした。
許せません。
・・・・・・でもどうしようもできないまま時間だけが過ぎていきました。
そして遂にその時が来ました。次の日には妹のサロンとミカゼが連れて行かれると話を聞きました。私は抗議しました!何故私じゃないのか、私はどうなってもいいから妹達だけは助けてほしいと。
当然聞いてもらえませんでした。
力が欲しい。
妹達を助けることができる力が
欲しい!
欲しい!
欲しい!
そんな思いも虚しく最後の日、私達は眠りにつきました。
(力が欲しいの?)
目の前に女の子が立っていました。
周りを見渡すと白い空間が広がっており夢であると分かりました。
夢ならいいよね?
私はその子に言いました。
「・・・お願いします!」
その子の話では力を与える代わりに私達にゲームに参加して欲しいとのことでした。そのサバイバルゲームで私が予選を突破出来れば現実でも力を使えると。
私達に与えられた力、ミカゼが気配を感知できる力、サロンが男性を誘惑する力。そして私が召喚する力でした。
そう、悪魔となった子供達を召喚する力を・・・。
それに私は了承し、そして今ここにいるのです。
とある船の中泰人とスィング、武者蜥蜴隊のリーダーは同じ檻に閉じ込められていた。装備品は全部奪われ、別の場所に保管されているようだ。
「さて、どうする?俺っち達は人質みたいだが。」
「ティルス達が助けに来るだろ。心配いらんさ。」
「彼女たちはティルス達を誘きよせるために俺っち達を生かしてるみたいだし、何かいい作戦でも立てていればいいけど。」
サロンの術はすでに解けているようで、普通に会話していた。
「・・・・・・・・・・。」
リーダーは相変わらず話さない。二人とは離れて寝ころんでいた。
午前0時船・入り口
三姉妹は交代交代で見張りをしていた。今、サロンとミカゼが見張りをしていた。
「うーん、眠くなってきちゃったよ。でも、頑張らないと!」
「そうよ、日が変わった今こそ奇襲に来るはず。あんたには期待してるから、気合い入れるわよ!」
二人は気合いを入れ直し辺りを注意深く見回した。
・・・・・・
・・・・
・・
・
午前0時30分
「まだ来ないね。」
「全く、何をしてるのかしら。今がチャンスでしょ、どう考えても!っていうか、あいつら早く倒しちゃえばいいのよ。」
「駄目、ここで倒したら普通相手怒って強くなったりするものだよ。気づかれないように倒すのは多分無理だと思うよ。」
「むー、・・・分かってるわよ。ここは待つしかないわね。」
30分経っても誰も来る気配はない。二人は気合いを入れ過ぎて少し疲れてしまった。
「・・・しょうがないわね、ちょっと温かい飲み物でも持ってくるから、あんたはもう少し頑張って!」
「分かった。」
サロンは一度飲み物を取りに船内に戻った。
そしてその直後だった。
シュン
目の前にティルスとフィルディアが現れた。
「・・・え?」
「・・・・・・お願いします。」
ティルスがそう呟くと上空から黒い羽を生やした莉麻が降りてくる。一瞬のことでミカゼもついていけない。
「さて、寝ていろ。」
莉麻・・・いや、ヴィントルはミカゼの後ろに回り、頭に手を当てる。そして何やら唱え始めると・・・
「あ・・・・・・。」
ドサッ
そのまま気を失ってしまった。
ティルス達の作戦はこうだった。まず莉麻と融合したヴィントルが気配と姿を消し見張りが一人になるのを待つ。なったらティルス達に連絡を入れ見張りの目の前に登場、動揺している間にヴィントルが気絶させるというものだ。
「この娘には昨日気付かれたからな。だが俺様が本気出せば問題ない。」
どうやら昼気付かれたことを根に持っていたらしく、とても満足した表情を浮かべている。
「さて、俺様はまた上空で待機している。後は頼んだぞ。」
そう言って再び夜の闇に消えていった。
「では始めましょうか。」
「はい。」
ティルスは融合の腕輪を外す。すると、フィルディアは倒れ融合されていた少女と分離し、少女の方は
消えてしまった。フィルディアは光となり融合の腕輪に吸い込まれる。ティルスは腕輪をもう一度身につけるとミカゼの手を握る。
するとミカゼはビクンビクンと痙攣し始める。
「やっぱり慣れませんね、これ。」
そうティルスが呟くと痙攣が終わりミカゼは目を覚ます。
「・・・・・・えーっと、成功したみたいです。」
ニコッとティルスに微笑むミカゼ。
それを見てティルスは頷く。
「はい、ではもう一人が来るまでに準備を終えちゃいましょう!」
「持ってきたわよ・・・・・・って!」
サロンは紅茶を淹れて持ってきたが目の前の光景に驚いた。
「おかえり、さっきティルスを捕まえたよ。」
「は、離してくださいよー!!」
そうミカゼがティルスを捕えていたのだ。
いきなりだったためフロンは驚いていたが妹の活躍をようやく飲み込めたのか笑う。
「ふふふ、よくやったわ。ここは私に任せてあんたはティルスを牢屋に入れてきて。・・・っと、忘れてたわ。」
サロンはティルスの指についている指輪を外す。
ボンっと音がしてティルスは男に戻る。腕輪の方には気づかれなかったようだ。
「ま、まさか!?」
ティルスは驚く。どうやらこれからやられることが分かっているようだ。
「当然!保険はいくらでも欲しいモノよ。ってことでしばらく大人しくしてなさい。」
「ぐっ・・・・・・・・。」
ティルスは大人しくなった。元々肉体にかかっていた術が発動したからだ。
だが泰人たちよりも苦しくなさそうだった。ヴィントルが思った以上にティルスの精神力は高いらしい。
「やっぱり操るのは無理か。ま、これで何か考えていたとしても無駄ってこと。じゃあヨロシクね!」
「うん。」
頷いてミカゼは船内に入っていった。
「さて、これで勝ったも同然ね。周りにまだいるかもしれないから気を付けないと。」
「上手くいきました。指輪を取られちゃいましたが後は予想通りでしたね。」
「・・・・・・。」
ミカゼはティルスを連れながら船内を歩く。
そう、これで内部侵入は成功したのだ。しかし、ティルスは術にかかっており歩くことしかできない。
「後は私次第ですか・・・、責任重大ですが頑張ります!」
ミカゼはそう呟き、ミカゼの記憶を読んで泰人たちが捕まっている場所へと向かった。
続く
どうでしたか?
次回も見てくれれば嬉しいです!