38.一日目の終わり
ここはどこなんだろう?僕はいつの間にかステージのスタッフになっていた。
名前、なんだっけ?とりあえず言われるままに働くことにした。
知らないアイドルグループのステージだ。やっぱり何も思い出せなかった。
ステージが開始と同時にスタッフ一同は解散した。よく分からなかった。後片付けとかどうすんだろ?
僕は近くの喫茶店で休んでいたがやっぱりステージが気になった。僕の失った記憶が戻るかもしれない!
僕は再びステージ裏に戻った。何やら叫び声が聞こえる。気になってステージ裏から顔をだして見ると・・・・・
「・・・大変なことになりましたね。」
ティルスがそう言う。前を見ると誰もいないステージ、周りは疲れて座っているミュアと放心状態の莉麻、そして二人を気付かっている雪美、フィルディア、メイディアの姿だ。
「とりあえずこれを外しましょうか。」
そう言って指輪を外そうとする・・・
「止めておけ。」
足元から声がする。そこには黒い水晶が転がっていた。どうやら分離してそのままだったようだ。
ティルスは拾う。
「お前の身体にはまだ奴らの術が掛かっている。今戻ったら最悪奴らの操り人形だ。それだけは避けたい。」
「・・・分かりました。」
ティルスは指輪をとるのをやめた。
本当は早くでも男に戻りたかったがそういうことなら従うしかなかった。
「あのー?」
「・・・え?」
ステージの後ろから一人の男が出てくる。
動きやすい恰好、見た目からスタッフのようだ。
年齢は20代後半に見える。
「君達は何者なんだい?・・・いや、それよりここは一体何なのか教えてもらうと助かる。」
ティルスはその言葉を聞いて大体事情を理解したが確信したのは落ちていた地図が目に入りそれが光っていたからだ。
恐らく泰人が落としたのだろう。地図というにはほど遠いが4つの黒点と1つの赤点が書いてあり、そのうち黒点一つ赤点が重なっている。どうやらこの男性が夢の欠片の一人らしい。残りの点は半透明なので近くにいないのだと判断する。
「はい、実は僕達は・・・・・・。」
ティルスは説明を始める。
サバイバルゲームについて、5人の人が記憶を失くしてこのゲームに強制参加していること、自分達がその人達を救うために戦っていること等を説明する。男性はいまいち理解し難いようだったが、さっきの事を目撃している為信じるようだ。というより信じるしかないといったところか。
「そうか、じゃあ僕は何をすればいいんだい?」
「とりあえず今日は一度退こうと思っています。攫われた仲間達を助ける作戦も立てなくてはいけませんから。」
「よし、じゃあ行こうか。」
ティルス達は今日はここまでで一度退くようだ。男性は近くに停めてあった車の鍵を何故か持っており、彼の運転で戻ることにした。
大型の車なのでティルス、ミュア、莉麻、フィルディア、メイディア、雪美はきちんと座ることができた。そのまま雪美の屋敷に一度戻り体勢を立て直すようだ。
車が出発すると上空から二人組の男女が下りてきた。
「泰人とスィングが戦線離脱か。こりゃもう終わりかもね。」
「・・・・・さぁ、どうかしら?私の出した確率は変わってないよ。ティルスを捕まえられなかったのが大きいみたい。」
「確かにあの王子?は意外にやっかいかもね。さて、僕達も一度戻ろうか。」
二人組は一通り回りを見渡すと再び飛んでいった。
こうして日も暮れていった。
午後6時
ピンポンパンポーン
「さてさて、1日目も終わりに近づいてきましたね。残りの人数ですがなんと52人!!半分まで減ってまいりましたー。いやはや、ライブで一気に減りましたね。さて今から休憩時間に入ります。日が変わるまでは皆さん手を出さないでくださいね。今のうちにゆっくりしてください。ではスピーカー放送終わります。」
ピンポンパンポーン
雪美の屋敷に戻ったティルス達は居間に集まり再び作戦を立てることにした。
莉麻はまだ回復しておらず、部屋に寝かせてある。よほどショックだったらしい。
「あの、僕から提案があります!」
ティルスが手を挙げる。格好が女の子用の服装になっているようで、どうやらミュアに着せられたようだ。
全員ティルスの方を向く。
「ミーアさんのさっきの放送、日が変わるまで休戦ってことは日が変わった瞬間から戦いをしていいと解釈できます。ならこんなのはどうですか?」
ティルスは自分の考えた作戦を説明する。
「……なるほどな。そいつが決まればラルゴ使い達を助け出しかなり有利な状況になるな。だが、奴らが警戒しないわけがない。チャンスは一度きりだ。分かっているのか?」
「それよりもあの方達の居場所が分からなくてはどうしようもない気が・・・・・。」
ヴィントルとメイディアが同時に質問する。ティルスは待ってましたと言わんばかりに答える。
「勿論考えてありますよ。まずは居場所ですが・・・・・・・・・。」
ティルスは懐から導きのビー玉を取り出して覗く。
「・・・分かりました。どうやら船の中にいるみたいですね。船はビーチ近くに停めてあるみたいですが、僕の力なら船の前に一気に移動できます。これなら奇襲が可能です。」
ティルスの案に皆頷く。
「さて、ならば行くメンバーだな。さっきの話だとティルスとフィルディアが奇襲組、俺とミュアは後から合流する。残りは待機とそんな感じだな。」
「はい、それで・・・・・・」
「・・・待って!!」
扉が開き莉麻が駆け込んでくる。
急いできたようだ。
「莉麻ちゃん、休んでいた方が・・・。」
「私は大丈夫。だから・・・私も連れて行って!!」
雪美の言葉を遮って自分の意見を言った莉麻。
「いや、休んだ方がいい。俺様が考えるには・・・」
「いえ、莉麻さんにも来てもらいましょう。」
「・・・何?」
「考えてもみてください。僕達のやることは泰人さん達の救出以外にもこの世界に来てしまった人々を助けるという目的があります。ここは二手に分けましょう。」
最初はざわざわしていたがティルスの一言でまとまったのか全員頷く。
ヴィントルは渋々といったところだが・・・。
「ティルス君、ありがとう!」
「いえ、いいんです。それで分け方ですが・・・・・・」
とあるビルの屋上。
白マントとシュパルツは夜空を眺めていた。
「さて、このままじゃ終わってしまいますね。ティルス君がどう動くかが楽しみですよ。」
「・・・この程度で奴らはやられないだろう。あるとすれば・・・・・・例のイレギュラーだな。」
「あの危ない怨念ですか。あれは流石の私でも勝てませんね。あれの狙いは一体何なのか・・・私には分かりません。」
そんな会話をしていた。
裏路地
一人の男が寝転んでいた。不気味に笑っていて、どこかで見たことがあるような制服を着ていた。
「全ては奴に復讐するため、俺は今ここにいる。覚悟しておけ・・・・・・・」
こうして時間が経っていった。
それぞれ思い思いの休憩時間を過ごしていった。
そして日が変わった。
続く
どうでしたか?
少し休憩します。もう少ししたら残りを投稿します。
それでは!