31.武者蜥蜴隊の罠
学校の放送室にミーアはいた。
一通りの放送が終わり休憩に入るようだ。
「そろそろ私が作った3つの部隊が動く時かしら。どうなるか楽しみね。」
そう呟いてモニターを見ることにした。
午前10時・森の入口
「いや、やめて。来ないで・・・。」
「おいおい、君も参加者だろう。だったら・・・・・・ふふふ。」
「兄貴、俺もう我慢できねえよぉ。」
一人の少女が複数の男達に囲まれていた。どうやら全員参加者らしい。
少女の仲間らしき男は倒れている。どうやらもうやられてしまっているようだ。
少女は座り込んで動けなくなってしまっている。怖いのだろう。がくがく震えている。
手下の男一人が前に出てきて巨大化し少女に襲いかかる。
「んじゃあ、いただきまーす!!」
「え、・・・キャーーーーーーー!!」
少女はそのまま一口に食べられてしまった。
男はごっくんと飲み込む。そして美味しそうな表情をする。
この男たちは王子隊討伐グループの一つである陸の部隊、武者蜥蜴隊である。
全員で5人。リーダーは兄貴と呼ばれた細身の男。サングラスをかけた優男だ。
そしてでっかい男が一人。残り3人は下っ端のようで二人の後をついてくる。泰人達の世界の住人に見えるがミーアが作ったためこの男たちも能力が備わっている。どんな能力かは分からない。
「さて、狙いは王子隊だな。メンバーはこの手配書を見るに4人か。・・・・・・さて、あれを披露してくれ。」
「おーう、調子はいいぜ兄貴。・・・ほら。」
でっかい男は地面に手を当てる。すると目の前が盛り上がっていき、どんどん人の形をとっていく。
数十秒で形成が終わり、そこには先ほどの少女が立っていた。しかし服装がメイド服で目に光はなく無表情である。
「流石分かっているな。いつも通りいい出来だ。さて、そろそろ報告があるはずだが。」
「リーダー!!」
そう言っていると一人の下っ端がやってくる。
「ご報告します。王子隊は二つに分かれたようでAは徒歩、Bは車で移動中です。Aのほうは男3人、手配書の2人と知らない男が一人、車の方はちゃんと確認できませんでしたが全員女のようでした。」
「なるほど、今はどこにいるのだ。」
「はい。Aはこちらへ、Bの方は町の中心の方へ移動中です。」
「そうか、了解した。今からAの方を仕留める。お前も加われ。」
「はい!!」
一礼して下っ端も隊に加わる。これでメンバーは6人となる。
「さて早速・・・。」
リーダーの男は先ほど作られた少女の人形の顔を触る。すると目に光が灯りリーダーの男を見ると跪く。
「ご主人様、何なりとご命令ください。」
さっき震えていた少女とはまるで別人である。いや見た目以外は別人だが。
「下っ端どもに作戦は伝えてある。3人いるがこの男の動きを封じろ。残りは軽く片づくだろう。」
そう言って少女に針と手配書を渡す。手配書は看板にってあるもののほかにも街の至る所に山積みにされており自由に持っていくことができる。リーダーの男は泰人を指さす。
「了解いたしました。それでは行ってまいります。」
そう言って下っ端3人連れてその場から移動した。
同時刻・町外れ
「ラルゴシュート!!」
泰人はスネイルシューターのトリガーを引くと水の塊が発射され目の前で構えていた男の額に命中し男は倒れて気絶する。
見ると今の男を合わせて3人ほどのが倒れている。全員泰人が倒したのである。
「流石泰人さんです。3人を1分以内に倒すなんて。」
「だな。俺っち達の出番はねぇかもな。」
「そうでもないさ。これからどうなるか分からないからな、気を引き締めていこう。」
3人が決心を新たに進もうとした時だった。
「キャーーーーーーーーーー!!」
「今のは!?行ってみよう。」
森の方から叫び声が聞こえた。3人はその方向へと走っていく。
するとそこでは一人の少女を3人の男たちが囲んで何かしようとしていた。
「メイドサイコー。」
「メイドサイコー。」
「この誰かに仕えてるって感じがたまんねえな。早速襲っちまおうぜ。」
「こ、来ないで・・・。」
襲われる寸前のようだ。
泰人はラルゴをスネイルシューターに変化させて男たちの額に3発撃ち込む。
パン、パン、パン
見事に命中し男たちはドサッと音を立てて倒れる。
気絶したようだ。
「大丈夫ですか!?」
駆け寄る泰人。メイド少女は泰人を見ると安心した表情をする。
「はい、助けていただきありがとうございます。」
メイドが立ちあがると残りの二人も追いついた。
「それで、どうしてこんな所に一人で?今町は危ないから参加者じゃないなら外に出ない方がいいよ。」
「実はご主人様とはぐれてしまいまして探していたのです。ですがどこにもいないので思い出のあるこの森かと思い来たのです。」
3人は話し合う。このままメイド一人で行かせるとまた何があるか分からない。ここが夢の世界でこのメイドが作られた存在だったとしても3人はどうしても見捨てることができなかった。
「何かあったら俺が処理する。だから少しだけ付き合ってやろうぜ。」
その言葉にティルス、スィングが頷く。
「メイドさん、だったら俺たちも一緒に探しますよ。貴女一人だとまた襲われたらどうしようもないし。」
「本当ですか!?ありがとうございます。」
お礼を言うメイド少女。
そしてメイド少女を連れた3人は森へと向かって歩いていった。
「・・・・・・・・・・ふふふ。」
移動途中にメイド少女が不気味に笑う所を誰も確認できないまま・・・。
続く
どうでしたか?
また次回見てもらえたら嬉しいです。