30.ゲーム開始
こんばんは、ロンロンの弟子です。さて今日も投稿していきましょう。
今日中に向こうの分の投稿終わらせます。目標は高いほうがいいって思っていますよ。
それではどうぞ!
ミーアは教室にいた。
真夜中の月明かりだけが照らす暗い教室の中、机に座っていた。
彼女は今まで雪美のためだけに行動してきた。それが存在する意味であり、全てだったから。
その為にたくさんのものを犠牲にした。・・・玄武もその一人だ。
そしてやっと雪美と会えた。例えヴィントルに捕まっているとはいえ喜んでくれると・・・・・・思っていた。
しかし彼女はミーアを拒否した。それが分からなかった、いやヴィントルのせいだと思っていた。
でも何か引っかかる。
ちゃんと考えていなかったが何故この夢の空間に雪美がいるのか、何故夢の世界の守り役なんてやっているのか。
そもそもヴィントルは夢の世界に関する術は使えないし雪美が守り役とは知らなかった。
とここから一つの考えに辿り着く。
「・・・・・本当にヴィントルがやったのではないの?」
もし謎の声が全てを仕組んで自分にヴィントルを始末させるつもりだったとしたら。
・・・首を振る。
ここまできてしまった。もう後戻りはできない。彼女はやるしかなかった。
雪美を救うために。
「私はあの子を救うためだけの存在だから。」
朝
泰人達は再び居間に集まった。朝食を取りある程度の準備は整えていた。
時間は午前8時。開始まで後1時間だった。
「さて、最後の仕上げだ。莉麻、エプロンを出して身につけろ!」
「うん。」
ヴィントルに言われた通り、莉麻はエプロンを身につける。
・・・もちろん服の上からなので問題はないぞ。
「よし、じゃあ俺を掴んで胸の前まで持っていけ。」
莉麻は言われた通り黒い水晶を掴むと胸の前まで持っていく。
すると水晶はずぷずぷと音を立てて胸の中に入っていく。実際はエプロンの中だが。
「・・・あ、あん。」
変な声を上げる。微妙に当たるので仕方がない。
と全部入りきる。エプロンは特に変わった所はない。
「おい、聞こえるか?」
突然エプロンから声がした。どうやらヴィントルのようでエプロンとの融合に成功したみたいだ。
「バッチリ!流石ヴィントルさんだね。」
「別に大したことじゃねえ。念のためにエプロンにミーアの力の欠片を宿しておいたんだ。ミーアの力を宿した物、生物じゃないと融合できないんだ。」
便利な力には必ずと言っていいほど欠点もある。
しかしその場にいたラルゴ・・・フィルディアは考えた。
ヴィントルの持っていミーアの力は全て本人にとられてしまった。しかしサミーとは合体することに成功している。そして前回のこと・・・すべてを組み合わせると・・・。
そこまで考えたが今は他のことに集中しなくてはいけない。彼女は頭を切り替えることにする。
「あの、泰人さん。少しいいですか?」
「ん?」
そこにティルスが泰人に話しかける。どうやら何か用なようだ。
「実はフィルディアさんにお話がありまして、ラルゴを貸していただけませんか?」
「ああ、別にいいぜ。」
泰人はティルスにラルゴを渡す。
ティルスはそれを受け取り、話しかける。
「フィルディアさん、実は相談があるんですけど・・・。」
・・・・・・
・・・・
・・
・
「という訳なんですが、どうですか?」
「そういうことですか。分かりました、私にできることは喜んでお手伝いさせてもらいますわ。」
と二人の間で何かを決めた所で全員の準備が整ったようだ。
居間に全員が準備万端でそろった。
「さて、そろそろ時間だな。お前ら、行くぞ!!」
ヴィントルの掛け声に一同はそれぞれ返事を返して外に出た。
午前9時、花火が上がった。どうやら開始の合図だった。
するとキーンと言う音がする。どうやらマイクの音みたいだ。辺りを見るとあらゆる所にスピーカーが取り付けられていた。
「はーい、皆さんおはようございまーす!私がこの大会の主催者であるミーアです。これから大会の説明をします。ま、雪美と王子隊の人達だけ聞いてもらえればいいんだけど。」
泰人達は屋敷から離れた公園で話を聞いていた。
どうやら泰人達は王子隊と呼ばれるようだ。そんなことはどうでもいいが・・・。
「貴方達はこの大会で優勝することを目的にしてもらうわ。誰か一人優勝した場合私は全てを諦めて貴方達に従うわ、約束しましょう。でも全員失格になった場合、雪美は渡してもらうわ。ルールは昨日大まかに説明したけれど、サバイバルね。残り15人まで戦ってもらうわ。失格条件は気絶、もしくはヴィントルの消滅のどちらかね。雪美には手を出さないし同伴も許すわ。後、参加者のほとんどは私の力で作り出しているから気兼ねなく倒してね。思考は普通の人間ベースね。さてこんな所かしら、せいぜい足掻いて生き残ってみせなさい。」
ピンポンパンポーン
と音が鳴り放送が終わる。どうやら始まったようだ。
「さて、どうするか・・・ん?」
泰人は何かを見つける。
公園にあった看板に何か張られている。
そこにはこうあった。
第1回サバイバルゲーム・特別ルール
下記の者を倒した人にはそれにふさわしい物あげますよー。
実力が飛びぬけているので皆さん頑張ってくださいね。
茅野泰人・国1つ
茅野莉麻・高級料理店の食べ放題券、何人様でもOK
ティルス・海外旅行1週間、5名様まで
ミュア・謎の薬
黒い水晶の破壊・何でも願いを3つまで叶える
以上4名+1つです。では健闘を祈りますよ。
ちゃんと名前の下には写真も載っている。・・・謎の薬とは何なのか。
「・・・俺っちは眼中になしか。」
スィングは自分の名前がないため少し落ち込んだ。
「・・・俺やられると国一つとかおかしすぎだろう。」
「それほどまでに危険視されているということですよ。さてどうしましょう・・・・・・。」
ティルスは何かに気付きそっちを向く。すると複数の人間が草むらに隠れていることが分かった。
これも昨日の特訓の成果の一つである。
そのことを何気なく泰人に小声で伝えた。
泰人は頷きラルゴを取り出した所で相手が草むらから飛び出してきた。3人の女性でナイフのような武器を所持していた。
「貴方達には悪いけどやられてもらいます。」
そのなかの一人がそう言って3人の連携で攻めようとするが・・・急に動きが止まった。何もない所で何かにぶつかったようだ。見えない壁があるように。
「いったー、何ですかこれ?」
少女が手を出す。すると前には何かがあるようで触れる。
どうやら周りにそれがあるようで3人娘は動けなくなっている。
そう、ラルゴの結界だった。
「アウトアンドウィップS!!」
瞬間的に結界を解きウィップで急所を突き気絶させた。これがほんの数秒の出来事だった。
「こんなものかな。とりあえず3人片づけた。女の子相手だから手加減しておいたよ。」
「はい、では少し待ってください。・・・あ、ラルゴも貸して下さいね。」
ティルスは気絶している少女の一人に近づきポケットから融合の腕輪を取り出して自分の腕につける。
何も身につけてない手でラルゴも握りもう片方の手で少女の手を握る。
すると少女の身体がビクンビクンと痙攣する。
「えーっと、これマジマジと見ると犯罪している気分になるっすね。」
とスィングが感想を述べると痙攣が止まり大人しくなると目を開く。
少女は両手を目の前に持ってきて開いたり閉じたりしている。
見た目から見た年齢は莉麻と同じくらいに見える。童顔だが、本当は18だったりする。
「えーっと、成功したようです。私フィルディアです。」
どうやらフィルディアの精神と少女の肉体を融合したらしい。この方が色々と動きやすいと判断したためだ。
話し合っていたのはこのことらしい。ミーアによって生み出された者達は限りなく人間に近い存在なので融合は可能なのである。ティルスはこのことを読んでいた。
「・・・つーか、ティルスはよく沙汰の発明を使いこなしてるな。あいつの発明なんて一歩間違えたら危険なものだろう。」
「昨日は特訓しましたからね。使い方はある程度慣れました。」
泰人にラルゴを返しながら話していると目の前に倒れていた少女二人は消えていった。どうやら失格になると消えてしまうようだ。
といっても一度気絶している肉体に入っている為、フィルディアは大会参加はできない。
「そういえばこの人の記憶によると車を持っているみたいです。こちらです。」
フィルディアに連れられていくと公園の外れに車が止めてあった。軽自動車であまり人数は乗れないようだが。
「よし、じゃあ俺とスィング、ティルスの3人以外は車で移動だな。女の子たちをこれ以上歩かせる訳にはいかないしな。」
ということで泰人、スィング、ティルスは歩きで莉麻、ミュア、雪美、フィルディアは車で移動と決まった。
「お兄ちゃん、何かあったら連絡してね。絶対だよ。」
「・・・信じてる。」
「すみません、参加していない私まで気を使っていただいて。」
「運転は大丈夫です。任せてくださいね。」
とそれぞれと挨拶を交わし泰人達は行こうとする。
「ちょっと待て!」
エプロンが泰人を止める。
エプロン・・・ヴィントルの声に泰人は歩みを止めて振り返る。
「いいか、何があっても覚醒スネイラーの使用はするなよ。今の貴様じゃ絶対使いこなせないからな。」
「・・・ま、大丈夫さ。大抵の奴はあれを使わなくても倒せるからな。心配しなくていいぜ、じゃあ行こうぜ。」
そして泰人達は行ってしまった。
「・・・・・何もなければいいがな。」
フィルディア達も車に乗り込み発進させた。
「さーて、今回は泰人が3人撃破。残りは97人だよ。以上スピーカーの放送でした。」
続く
どうでしたか?
また次回見てもらえたら嬉しいです。