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Mystic world  作者: ロンロンの弟子
悪夢編・集結
62/115

27.偽られた歴史2

あれは今から約50年ほど前の話よ。

とある病院に一人の患者が入院していた。

その子の名前は宇木風雪美。元々体調はあまり良くなかったからずっと入退院を繰り返す生活をしていたわ。

そして姉の梓由はそんな病弱な妹の事が大好きだった。例え身体が弱くても心は強いもの、それが口癖だったわね。とても仲良しな姉妹で病院中でも有名だったな。


ある日、一つの知らせが届いたの。


「姉さん、次の週になったら一度家の方に帰してもらえるみたいよ。」


「本当!?それはとってもいいニュースじゃない。」


いい知らせだったわ。体調も落ち着き、帰宅を許されたのよ。

しばらく入院してたから学校の方もほとんど行けていなかったあの子にとっては久しぶりに行ける学校がとても楽しみだったみたいで、よく梓由にも話をしてたっけ。

そして日々は問題なくこのまま過ぎていくのだと誰もが思ってた。


でもあの日、雪美の退院の日全てが始まったの。


その日梓由は悪夢にうなされて目を覚ました。

その夢は妹の身体から白い魂のようなものが抜け出てそれが黒い玉のような物体に飲み込まれて消える光景だったわ。

梓由は気がつくと家を飛び出していた。時刻は夜中の2時、人気のない所を彼女はただひたすらに病院の方へと走っていった。距離は少しあったし時間かかっちゃったけどね。

勿論病院は閉まっていた。見回りの人が歩いているのが見えたわね。

見つかったら帰らされると思った梓由はだれにも見つからないように秘密の入り口を使った。

1階のとある病室は窓の鍵が壊れてて侵入が可能だったの。頻繁に見回りの人が来るけど・・・・。

見回りの人をやり過ごした梓由はそこから入って妹の病室へと入った。

そこにはちゃんと妹がいたわ。梓由は安堵した。

・・・だけど


ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


変な音が聞こえる。妹の隣の機械からだった。そしてこの音は梓由も知っていた。

・・・・・・心肺が停止した音だ。梓由は隠れてここに来たのにもかかわらず妹の方により大声を出した。


「雪美!雪美、死なないで!!」


梓由は必死に呼びかけた。だけどその音が止むことはなく、やがて来た人達に梓由は捕まってしまった。






次の日梓由は妹の病室にいた。

妹の顔には白いタオルのようなものが掛けられていた。

そんなんじゃ、妹の顔が見れないじゃない。そう思ったが急に悲しくなってきた。


どうやら妹の病状は本当に良くなりつつあったらしい。お医者さんの話でもこんなケースは初めて見たのだと言われた。そこで梓由は思い出した。妹の魂を飲み込んだあの黒い玉の存在を。

そのせいで妹がいなくなってしまったのだと。


梓由は妹の死を受け止められずにいた。だからそんな発想をしてしまったのかもしれない。



「君は失ったものを取り戻したいのか?」



突然頭の中にそんな声が響いた。


「・・・え?」


突然聞こえた声にあの子は驚いていたわね。そりゃびっくりするでしょう。でも声の主は言葉を続けたわ。


「我は君の願いを叶えることができる。だがその代償を払ってもらうことにはなるが・・・。」


どうやら声の主は梓由と取引をするつもりらしかった。そう、あの子の精神状態をよく知っていたから。普通の人だったら聞き直すか、もしくは。


「・・・私、妹が戻ってくるなら何でもする。だからお願い、妹を生き返らせて!!」


と願うのは当然よね。すると梓由を光が包む。

・・・そして光が晴れるとそこには当然梓由が立っていた。でもその梓由は


「・・・さぁ、始めましょうか。」


この私、ミーアになっていたけどね。




その後声の主は妹の魂を奪ったのは、黒の魔法使いヴィントルであると説明し私をディオールへと送った。どうやら特殊な術を使ったようだけどそこまでは私にも分からないわ。


そして私はヴィントルを探した。でも彼は簡単には現れなかった。人前にはめったに現れず、時々親衛隊に力を貸しているという情報を得た私はまず一騒動起こすことにした。


町一つを消した所で奴らは来たわ。青龍、白虎、朱雀、そして玄武。

彼らは私を止めるため全力で私に挑んできた。それはもう強かったわ、・・・力を得た私ほどじゃなかったけどね。

時間はかかったけど玄武以外は倒すことに成功した。残った玄武の使うラルゴの能力はとても厄介で結構な時間を使ってしまった。。

そこで来たのよ。黒の魔法使いヴィントル、そう貴方よ。


・・・・・・・・まぁ、いいわ。そして二人がかりで私に挑んできた。今更一人増えた所で問題ない、・・・それが甘かった。

ヴィントルの強さは桁違いすぎた。

親衛隊の更に上を行く強さだったの。そこに玄武のサポートもあり、私は徐々に追い詰められていった。

でも私は諦められなかった。雪美を、妹を救う・・・、私の使命はそれだから。

するとまた声が聞こえてきたわ。


「どうやら苦戦しているようだな。ふむ、少し力を貸してやるとするか。」


すると私にまた新たな力が身に付いた。そして今度こそ彼らを追い詰めたの。

でも向こうの方が上を行ってたわ。

戦いの場所を私に気付かれないように願いの跡地に移していたの。何か不思議な場所かなと思っていた時にはもう遅かった。ヴィントルは願いの跡地で自らの肉体と引き換えに私を封印した。

でも私も簡単に封印される訳にはいかなかった。力の半分を未来に飛ばしたの、これから生まれる子達に受け継がれるように。自由になったその時こそ妹を今度こそ救うそう決めたから・・・。

意識が戻った梓由は今までの事をすべて覚えていなかった、つまり記憶喪失になっていたの。

玄武は梓由が別世界の人間と知り、王に頼んで梓由の世界に飛んでそこで暮らし始めた。

そしてヴィントルは行方不明になった。きっと身体を失ったから次の機会を狙っていたのでしょうね。妹の魂を使い何をするのかは分からなかったけど、すぐには動けないみたいだったしこっちはこっちで体力回復のために休息を取ったわ。


戻ってきたときすでに3年の時が経っていた。梓由の両親や親戚を見つけられなかった玄武はしばらく面倒を見てくれて、一応感謝しているわ。きっと彼もヴィントルに騙されていたのね、可哀想に・・・。

その後例の事件にヴィントルの災害という名前が付けられたのを知ったわ。いつの間にかそう呼ばれるようになったから、誰がそう仕向けたのか玄武には分からなかったみたいだけど私には分かる。

あの声の主がやったんだって。

梓由は不老不死になっていた。まぁ、光の精霊である私を宿してるんだから当然だけどね。玄武は引き剥がそうとしたけれど出来なかった。どうやら雪美を救うまでは離れられないようになっていたみたいね。

その後玄武は結婚すると同時に梓由を養子にすると言ってきた。でも彼女は断り信頼のおける施設に預けられた。・・・恐らく名字が変わるのが嫌だったのかもね。

そこの人達は不老不死である梓由を受け入れてくれた。優しい人達に囲まれて幸せだったのだと思うわ。

それから何十年もの時が過ぎた。そこに来る人に時々怖がられた時もあったけど、ちゃんと話すといい子だって分かってもらえて打ち解けられた。玄武も頻繁に来てたわね、時々家族も連れて。小さい頃の泰人、貴方にもあったことがあるのよ。

時が経つにつれ私も徐々に力を取り戻してきたある日に悲劇が起こった。それが




玄武の死だった。











続く

どうでしたか?

次も見てもらえれば嬉しいです。

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