18.始まりの合図
場所は変わり佐野家
星音はちょうどお風呂に入っていた。
「貴女は誰なの、何で私と一緒にいるの?」
「さぁ?それよりやっぱり小学生ね、色々と未発達だわ。」
星音の話を軽く流して少女は星音の身体を確認する。勿論小学生な為まだまだである。そんな体型が好きな人にはいいのかもしれないが・・・。
「ちょっと!気にしてることを言わないで。」
「へぇ、気にしているのね。別にこの年ならこんなものだと思うけれど・・・。」
少女は内心笑みをこぼす。何やらいいことを思いついたようだ。
「じゃあ大きくなった自分を想像してみてはどうかしら?面白いことが起きるかもよ。」
「え?う、うん。」
とりあえず少女の言うとおり自分の大きくなった姿を想像してみる。・・・すると
ポンっ
成長した。
「さてどうなったかしら?」
鏡の前に立ってみる。
するとだいたい高校生くらいの成長した星音の姿がそこにはあった。胸も大きくなり他の所も成長している。
「嘘!どうして・・・。」
「これが貴女の力よ。思い通りになる世界、貴女の望んだ世界。ここがそうなのよ。」
ここぞとばかりに言葉攻めをする少女。星音にはかなり効いているようだ。
「もしかして貴女はもう一人のあたしなの?」
「うふふ、どうかしらね。貴女がそう思うならそうなのかもね。」
はぐらかした。徐々に距離は狭まってきたように思える。
「いつでもいいわ、貴女が私を信用してくれたら私に全てを任せてちょうだい。きっとうまくやってみせるから。」
「・・・・・・うん。」
甘い誘いに乗ってしまった星音。少しずつ信用してきた証である。
「さて、じゃあ元に戻りましょうか。」
「えーっと、・・・あたししばらくこのままがいいんだけど。」
「そう?貴女がいいならいいわよ。」
そうして星音はしばらくその姿を満喫していた。
水本家
莉麻と雪美はその後お風呂からあがり、夜が更けていった。
そして莉麻は雪美と一緒に寝に雪美の部屋を訪れた。
トントンっ
「お姉ちゃん、入っていいかな?」
「うん、いいよ。」
返事が来たのでそのままドアを開けて入る。
部屋の中はベッド、机、箪笥、本棚と必要最低限の物しか置かれていなかった。
「ベッドは一つしかないから一緒のベッドで寝ましょうね。」
「うん!」
もう寝る準備はできている二人はそのままベッドの中へと潜り込んだ。
「・・・お姉ちゃん。」
「ん?」
ベッドに入って少し時間が経った頃、莉麻は雪美に声をかけた。
「何か私に隠してることあるでしょ。話してくれないかな。」
「・・・・・・・・・・。」
黙ってしまう雪美。どうやらかなり話しにくいことらしい。
「大丈夫だよ。話したらきっと楽になる、私を信じて欲しいな。」
「・・・そうね、じゃあ話してみようかな。」
決意を決めたようだ。莉麻と向き合う。
「実は最近姉さんが帰ってくるような気がするの。」
「それって、家を出ているっていうお姉さん?」
「そうよ。夢に見るの、姉さんが私の所に帰ってくる夢を。でもその姉さんは私の知っている優しい姉さんとは違う、冷酷で残酷な・・・変わってしまった姉さんなの。もし本当にこうなったらと思うと怖いの、あんなに大好きな姉さんなのに・・・・・・。」
雪美の身体は震えていた。目は潤んで今にも泣きそうだった。それは見ていても分かる大好きな人を心配する女の子の姿だった。
「・・・私あまり頭良くないけど大丈夫だと思うよ。」
「・・・・・・でも」
「だってお兄ちゃんがきっと来てくれるから。」
「え?」
莉麻はニコッと笑う。その笑顔を見て雪美は何故か安心できるような気がした。
「私がピンチになったらいつも助けてくれたよ。だから私のお姉ちゃんのお姉さんもきっと助けてくれるよ。絶対!!」
「・・・・・・ふふ、貴女は本当にいい子ね。」
雪美も笑う。莉麻の頭をそっと撫でてあげる。
「じゃあ私も信じてみようかしら。貴女の信じてるお兄さんを。」
「うん!!」
こうして隠し事を話した雪美の表情は清々しかった。この後二人は仲良く抱き合って眠りに着いた。
それから数日、何事もなく時間が過ぎていった。
莉麻と雪美は更に絆を深め、星音と少女は徐々に打ち解けていった。水晶とフィルディアは何度か星音と少女を引き離す為に近づこうとするがことごとく邪魔をされ失敗。何かの時のための対抗策を考えることしかできなかった。
そしてある日ついに恐れていたことが起こってしまう。
「畜生!!なんだあの障壁は。どうしてあの子供に近づけないんだよ。」
「どうやら私たちが思っているよりも早くあの方がことを起こしたとみていいでしょう。あれから数日過ぎましたしもしかするともう・・・・・・。」
職員室で仕事をしていたフィルディアはテレパシーを使いサミーと会話していた。
「もう莉麻と奴らに賭けるしかないのか。・・・この俺がこの様とは。」
「信じましょう、莉麻ちゃんと泰人さん達を・・・。」
場所は変わり星音の教室。
授業を受けていた星音がついに・・・。
「ねぇ、ちょっといいかな?」
少女に心の中で会話する。
「ん、どうしたのかしら?」
「うん、そろそろ貴女の事を信じてみてもいいかなって思って。」
その言葉に少女は微笑する。ついにこの時が来たのだと。
「いいわ、じゃあ私の事を信じるって思い続けて。」
「うん。」
こうして契約は完了した。
学園、この世界の雰囲気が急に変わる。
何かが始まる、そんな気がする空気だ。
果たして何が始まるのであろうか。
続く
どうでしたか?
とりあえず今はここまでにします。後は夜に投稿します。
それでは皆さんまた次回お会いしましょう!!