15.計画
フィルディア達は仕事を終えてマンションへと戻ってきた。するとサミーが水晶と分離する。
「わーい、なんか最近すんごく楽しいよー。」
サミーは楽しそうに部屋の中を飛び始めた。
「さて、どうしようかしら。貴方の仮説が正しいとしてその子がこの世界の鍵だとしたら・・・。」
「危険だな。今日奴が俺達の前に現れたのは余裕の表れだろう。確かにここまでは俺のミスで奴を有利にしてしまったが、例の人物を見つけることができれば僅かだが可能性はある。」
水晶はテレビに今まで探索した結果を写す。これを見て検証しているようだ。
「もしこの世界があの子によって作られた世界、つまり夢であるならばここはあの子の思うままに作り変えることができますね。」
「俺の考えではここはあの少女の悪夢なのだろう。そしてその少女はここが現実だと思い込んでいる。それがなぜなのか、今思いついたことを話す。」
水晶は更にテレビの映像を別のものに切り替える。そこに映っていたのは
「・・・莉麻ちゃん?」
「莉麻達がディオールにいたということは、もう一つの世界の時間が止まっていることが分かる。もし時間を止められたときすで寝ていた人がいるとしたらどうなるか・・・。」
その言葉にフィルディアはハッとする。何かに気付いたようだ。
「まぁ、その考えで合っているだろう。寝ていて夢を見ているならば、そこから出られなくなりこの世界を現実だと思っていくのだろう。」
「・・・それって、もう一つの世界からディオールに渡る際に生じる副作用と考えられますね。それが関係ない人達にも影響を与えているということですか。」
「・・・だから俺は反対したんだ。」
水晶はそう小声でつぶやいた。フィルディアには聞こえていないようだった。
「では、これらをまとめてこれからの行動方針ですが、少女とあの方を分離させて説得し元の世界に戻ってもらうですかね。」
「言うことを聞かなければ封印する。だが分離と封印は俺たちでは難しい。その力をもつ例の人物、恐らく水本雪美だと思われるがあの女に協力してもらうしかないな。その為に向こうに莉麻を残し慣れさせ話を聞いてもらうと、こんな感じだろう。」
水晶はそう言いテレビへ映像を写すのをやめた。
「まだ時間はあるだろう。すぐに行動に移さないということは、まだ準備ができていないということだ。だがもって後2、3日だろうな。後は莉麻頼みとはかなり不安になる、失敗したかもしれん。」
「大丈夫ですよ、信じましょう。」
フィルディアが気持ちを込めてそう言うと、仕方あるまいと水晶が返した。
水本家
夕食を終えた二人は少し時間を置き、再び温泉に入っていた。
莉麻が一方的に話題を出しているようだ。
「それでまだ二日しか経ってないけど、友達もけっこうできたんだよ。」
「そう、それは良かったわね。」
そう言って莉麻の頭を優しく撫でると、莉麻は嬉しそうにえへへと呟く。
「それでね・・・・・・お姉ちゃん?」
雪美はボーっと上を見ていた。どうやら何か考え事をしているようだ。
「どうしたの、何かあった?」
「え、・・・何でもないわよ。」
そう言ってほほ笑む雪美だが莉麻には分かった、何か自分に隠していることがあると。
「そっか、ならいいけど・・・。」
そして莉麻は雪美に抱きつく。
「え?」
「今日一緒に寝よ、少し寂しくなっちゃって。」
莉麻は甘えた声を出す。雪美にお世話になっている為何かしてあげたいと思ったのだろう。
「・・・いいわよ、一緒に寝ましょうか。」
「うん!」
その後も雪美はボーっとしていた。莉麻はそんな雪美を見て少し心配になるのだった。
「大丈夫、私がお姉ちゃんを守るからね。」
時間は戻り、佐野家
星音はいつものように帰ってきていつものように着替え、食事を済ませてリビングでボーっとしていた。
いやしているように見えるだけだ。心の中で星音と少女は会話していた。
「良かったわね、これでもう苛められることもないのよ。」
「・・・・・・違う、こんなのを望んでいたわけじゃないよ・・・。」
どうやら星音は少女のやり方が気に入らなかったようだ。やりすぎだと思ったのだろう。
「でも、約束は果たしたのよ。だから・・・。」
「いや!!」
頑なに拒否。
「・・・まぁ、今日の所はいいわ。そのうち納得してもらうから。じゃあお風呂でも入ろうかしら。」
「・・・・・・・・・・。」
結局星音は心を許そうとしなかった。身体の方は少女が動かしている為少女はこの場は一回諦めてお風呂に入ることにした。
下着を取り出そうと部屋に戻り箪笥を開ける。
「・・・それにしても小学生にしてはきわどいの多いわね。」
「そ、それは・・・。」
お年頃なのかもしれませんねぇ。
続く
どうでしたか?
また次も見てもらえれば嬉しいです。