ラルゴ 前編
できました。今回は前後編です。今回もかなり趣味よりですが、良かったらどうぞ!
翌日、泰人達は目を覚まし出発の準備を終えた。
「じゃあ、行こうか。」
「その前に昨日言った大切なものを見せてほしいの。どれ位大事にされてどんな思いが宿っているか確かめたいの。」
3人は、特に断る理由もないので了承した。
「じゃあ、私からね。お母さんが中学に入ったら着てねってずいぶん前にもらったエプロンなの。ずっと着れなかったけど、去年ようやく着れるようになったわ。」
そう言うと、莉麻は鞄から黄色い花柄プリントのエプロンを取り出した。
「どれどれ、・・・・・すごい優しい気持ちになれるね。癒しの効果がありそう。」
「次は俺だな。こいつは中3の頃に親父にも手伝ってもらって造ったポケットサイズのパソコンだ。インターネットに繋げない、メールと文章作成と添付された画像を見て保存することしかできないが俺の宝物だ。」
沙汰はポケットからミニパソを取り出した。
「うんうん、・・・・・これもかなり大切にされてるわね。実体的な効果が期待できそう。」
「最後は俺か。このメジャーは亡くなった爺ちゃんがくれたもので、これについて色々聞いた気がするけど、名前がラルゴって事意外忘れた。そのうち思い出すと思うけど。」
そう言うと、泰人は腰のメジャーを外しサミーに見せた。するとサミーはとても驚いた。
「こ、これは・・・・・。ものすごい力を感じる。過去にこの世界で使われた形跡がある。本人との呼吸が合えば強化しないですぐに使えそう。(でもこのメジャーとラルゴって名前、どこかで・・・・。)」
「では、行きましょう。目的地は森を出てすぐの村、テミールです。そこで色々と準備をしましょう。」
目的地も決まり、泰人達は出発した。
森の中を歩く泰人達。見知らぬ草花に興味を持つ莉麻と沙汰を横目に泰人は考え事をしていた。
「(・・・異世界の存在を認めるしかないか。そういえば、こっちに来てから、爺ちゃんのことが何度も思い浮かぶんだけどなんでだろう?)」
そんな中、サミーとティルスはこんな話をしていた。
「ここまでは何もありませんでしたが、何があるかわかりません。まだあの3人も素人ですし。」
「そうだね。早くテミールに行かなきゃね。」
そして、ついに森の出口に辿り着いた泰人達。
だが、そこには変な人がいた。
「こんにちは。そしてさようなら。」
やはり変な人だった。
「無視しよう。」
泰人達は華麗にスルーした。そのまま特に何もなくテミールに着いた。
「じゃあ私と莉麻と沙汰は鍛冶屋に行きましょう。じゃあ泰人はティルス様を頼むね。」
そう言うと二人と一匹は鍛冶屋に向かった。泰人とティルスは宿屋をとって部屋にいた。
「暇だし散歩してくるよ。」
「では僕は部屋で休んでます。」
泰人は宿屋を出て町はずれに来ていた。
「俺は強化しなくていいって言われたけど、このメジャーにはどんな力があるんだろう?爺ちゃんになんか聞いた気がするけど、・・・・・・思い出せない。」
メジャーを見ながら考え込む泰人。そこにあの変な人が現れた。
「なるほど、君が持っていたのか。それは実に危険なので渡してもらおう。」
そう言うと殴りかかってくる変な人。
「え!?」
気づくのが遅く殴り飛ばされる泰人。そこで気が遠くなる。
今から12年前、泰人の祖父が生きていた頃泰人はラルゴを渡された。
「いいの?これ爺ちゃんが大事にしてたものでしょ。」
「ふむ、今のうちに教えておこうと思ってな。」
泰人の祖父は思い出すように話しだした。
「1、お前がもし力が欲しいと思ったとき、このラルゴを掲げこう唱えるがいい・・・・・・」
泰人は目を覚まして起き上がる。
「・・・一つ思い出した。」
変な男に向き合う。
「・・・なんだ、さっきとは雰囲気が違う。」
そして、ラルゴを前に掲げ唱える。
「いくぞ、我発動す・・・・・・」
瞬間、ラルゴから光が溢れる。
「な、なんだ!?」
「・・・・・ラルゴ・ウィップ!!」