別れ
こんばんは。とりあえず、書き溜めた分はこれで最後です。9月からの更新状況は分かりませんが、遅くても1週間に1回は投稿したいと思います。
それではどうぞ!
試練を終え、気絶したまま扉の前まで送られた泰人とティルス。
「・・・・・ん、どうなった?」
先に泰人が起きて周りを見渡す。なんで扉の前に戻ってきているのか理解出来なかったが、とりあえず変な生物に戻っているティルスを起こすことにする。
「ティルス。起きろ!」
「・・・・ティ、ティルス!」
すぐに起きた。そしてなんでここに戻って来たか考えてみるも、一つしか思い浮かばない。
「一応合格ってことでいいんだよな。」
「ティルス!」
そうですねと言わんばかりにティルスが答える。
「とりあえずあの人がいる部屋に戻ろう。」
そう言って老人がいる部屋に戻った泰人とティルスだがその光景を見て驚いた。
「なるほど!そういうことだったんですね。」
「うむ。君は物分かりがよくて助かるな。」
沙汰がいる。沙汰が老人と何か話をしている。
「お、戻って来たか。お前がいないと重要な話ができないみたいだから早くこっち来いよ。」
「その様子だと合格できたみたいだな。良かった良かった。」
泰人は一瞬すべてがどうでもよくなってしまったが、すぐ冷静に戻る。
「では、聞かせてもらいましょうか。莉麻のこととあなたの事を。」
「いいだろう。座りなさい。」
泰人とティルスはすでに座っている沙汰の横に腰掛ける。
「ではまずワシのことからだな。もう分かってはいると思うが、試練の扉を守る者というわけだ。こっちの世界にこれがある理由は、・・・・・まぁ色々とな。深くは聞かんでくれ。」
一気に声のトーンが下がる老人に泰人達は頷くしかなかった。
「そしてさっきの話と莉麻君の関係だ。詳しくは分からないが、ミーアが関係しているのは間違いない。とすると、今は危険な目にはあっていないだろう。そのうち戻ってくるさ。」
「そう・・・ですか。ならいいんですけど。」
それでも莉麻が心配な泰人。
ピピピピピピピピ、ピピピピピピピピ
突然泰人の電話が鳴る。なんと莉麻からのようだ。
「おい、どこにいるんだ?大丈夫なのか?」
勢いよく電話に出る泰人。
「・・・大丈夫、元気だから。事件とかに巻き込まれたわけじゃないし。」
ちゃんと莉麻の声なので安心する泰人。
「なんか嫌なことでもあったのか?相談に乗るぞ。」
「・・・聞いて欲しいことがあるの。」
なんとなくいつもと違う莉麻みたいに感じた泰人だが黙って話を聞く。
「これからディオールに戻って決着をつけてくるわ。だからその前に一言言っておきたくて。」
「は?戻るってどうやって?」
泰人の言葉を無視して莉麻が続ける。
「・・・どんなに変わっても私はあなたを信じてる。」
「・・・・・・・・。」
この時泰人は懐かしい感覚になった。前にもあったようなそんな。
「・・・それじゃあね。」
「おい、待て。待ってくれよ!」
電話は切れてしまった。
莉麻は電話を切った。これ以上話すとあの子が出そうな気がしたから。
「挨拶は済ませた様ね。ラルゴの半覚醒も終わったみたいだし、彼女とも連絡がとれたわ。さぁ、行きましょう。」
「はい、姉さん。」
そう言うと少女は何やら儀式みたいなものを始めた。
「もしもし、もしもし。・・・・・・くそ。」
結局何も聞けぬまま電話は切れてしまった。
「・・・・うむ?この感覚は、・・・・・・しまった!」
老人は何かを感じたようだったが、すでに遅かった。
「行きましょう。」
「はい。」
二人は光に包まれて、・・・姿を消した。
・・・・・・そして、世界の時間は止まってしまった。
場所は変わってディオール。サミーはどこかに向かって飛んでいたが
「ん?この感じは・・・・。ふふ、ついに奴が来たか。」
嬉しそうに笑っていた。
更に場所は変わる。
「・・・ついに来てくれるのね。やっと始められる。・・・待ってて、泰人。」
何やら独り言を言う白いマントを羽織った一人の少女がいた。
場所は元の世界に戻る。
「・・・うーん、一体何があったんですか?」
どうやら気絶していたみたいなティルスはとりあえず老人に話しかけようとするが
「・・・・・・。」
全く動かない。勿論泰人や沙汰も同様に動かない。
「これは一体・・・。僕も元の姿に戻ってるし。」
ティルスは外に出てみる。思った通り、何もかもが止まっていた。
「まさか・・・、誰かがディオールに行ったんじゃ。」
慌てて老人の部屋に戻る。
「泰人さん、起きてくださいよ泰人さん。」
泰人は動かない。
「莉麻さんを助けるんでしょう?ねぇ、泰人さん、泰人さーん!!」
悲痛な叫びが部屋に響いた。