変な生物
こんばんは、ロンロンの弟子です。
今回で変な生物が出ます。
楽しんでもらえたら光栄です。
茅野家
次の日の午前6時、茅野家は母親が最初に起きる。そして準備を始める。
6時30分、父親起床。
「おはよう。昨日は残業で夜遅かったみたいだけど、大丈夫?」
「なぁに、君がいてくれるから大丈夫さ。」
「あなた、ありがとう。」
「こっちこそ。」
仲のいい夫婦である。
そして7時、茅野兄起床。妹を起こしに行く。
「おーい、朝だぞ。起きろよ!」
「うーん、まだ眠いよぉ。」
「何言ってんだ、遅刻するぞ。」
「分かったよぉ、起きるぅ。」
莉麻は朝に弱かった。
こうして毎日茅野家は始まるのだ。
朝食を家族4人で食べ終え、泰人が最初に家を出る。
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃーい。」
「お兄ちゃん、待ってよー。」
こんな感じで家を出る。・・・・・・普通ならば。
そんな普通も終わりを告げる時が来た。
泰人が家を出ると家の前に変な生物がいた。
「・・・・・なんだ、この気持ち悪いの?]
そう、確かに気持ち悪いのだ。見た目は狐だが、頭に兎の耳が生えている。
そしてその生物は、
「ティルス!」
と鳴いたのだ。
「(うっわー。やべーよ、これ。)」
そう思っているうちに、家から莉麻が出てくる。
「お兄ちゃん、待っててくれたの?嬉し・・・・・」
莉麻の言葉が止まった。変な生物が目にはいったからだ。
「ティルス!」
追い打ちをかけるように鳴く変な生物。これはヤバいな、と泰人は思った。しかし、
「わぁーー!この子かわいいね。この子どうしたの?」
この瞬間、妹が心配になる泰人だった。
「・・・いや、ドアを開けた時からいたんだよね。まぁ気にしても仕方ないし学校に・・・・」
「じゃあ、今日一日でも預かろう。お母さーん!!」
と言って家の中に戻る莉麻。1分もしないうちに、母親を連れてきた。
「ねぇ、私たちが学校から帰るまで面倒見てて。帰ったら責任もって飼い主さん探すから。」
「うーん、・・・分かった。でも、帰ったらちゃんと泰人と一緒に飼い主さん探すのよ。」
「はーい、じゃあ行ってきまーす。」
「行ってらっしゃい。」
莉麻は家を出て学校に向かった。
「・・・・・・俺も行こう。」
「ティルス!」
変な生物に見送られ、泰人も疲れた顔をして学校に向かった。
高校
4時間目が終わり昼食の時間、泰人は沙汰と一緒に昼御飯を食べていた。
「どうした?いつもおかしな泰人君、今日は暗いね。」
「まぁ、確かに少しおかしいかなって自分でも気づいてるけどさ。実は朝変な生物に会っちゃって、帰ったらそいつの飼い主探ししなくちゃいけなくなったんだよ。」
「なるほど!どんな奴?」
「それが狐に兎の耳が生えた変な生物で、ティルス!って鳴く・・・」
「面白そうだから俺も付き合う。そいつ見たい。」
「・・・・・まったく。分かった、じゃあ帰ったら俺の家に来い。莉麻も一緒だから。」
「OK!」
一通り会話してご飯を食べ終わる二人。そうして午後の授業が始まった。
放課後
高校を後にしてそれぞれの家に帰る二人。
「じゃあ、すぐ来いよ!」
「おう!」
そして家に着いた泰人。家の前には変な生物がいて、制服姿の莉麻と母が何か話している。
「この子について、動物飼育センターに行ってきたの。そしたらこの子、他の人には見えないみたいなの。お父さんは見えたのに。」
「じゃあ、私たちにしか見えない幽霊なの?普通に触れるけど。」
莉麻が変な生物を撫でる。でも、変な生物は無表情だ。
そこで泰人は二人と目が合う。
「泰人!いいところに帰ってきたわね。実は・・・」
「話は大体聞いたよ。どういうことなんだろう?」
三人は、その場で腕を組み考え始めた。そこに沙汰がやってきた。
「こんにちは。どうしたんですか?」
「沙汰君、いらっしゃい。」
「沙汰さん、この子見えますか?」
変な生物を指さして莉麻が言う。
「・・・何が?」
どうやら沙汰には見えないらしい。三人は少し残念そうだ。
「ま、いつまでも落ち込んでいられないわね。お母さんは夕飯の準備でもしようかな。じゃあ沙汰君、ゆっくりしてってね。」
「ありがとうございます。」
それを聞いて、母は家に入った。
「ところで、例の生き物見せてくれよ。」
沙汰は顔を輝かせて言う。この時、茅野兄妹は今目の前にいるのになと思った。
「ティルス!」
「ん、変な鳴き声が聞こえるな。」
どうやら声は聞こえるらしい。その時、変な生物が
「テテテテテテテテテ」
と鳴いた。何事かと茅野兄妹と沙汰は音をするほうを見た。なんと変な生物からすごい勢いで白い光が噴出しているのだ。
それに三人は気付いたが遅かった。光がやんだ時にはもう三人の姿はなかった。