宇木風梓由 後編
こんばんは。泰人の昔話が終わります。今回ですが、少し分かりにくいかもしれません。もっと文章をうまく書ければといつも以上に思いました。
それではどうぞ!
次の日、俺は学校が終わってすぐにいつもの土手に向かった。
しかし、そこには梓由の姿はなかった。まぁ、その日に限ったことじゃないし俺は待つことにした。
だが、いくら待っても梓由は来なかった。8時過ぎてさすがに帰らなくてはと思いその日は帰った。何回もメールや電話をした。でも、電話には出ないし返事も来なかった。
「・・・・・・。」
何にも考えられなかった俺はその日寝ることにした。
俺は夢を見た。
そこは病院の病室だった。
そこに一人の少女が寝ていた。
顔は見えなかったがなんとなく分かる。
そこに黒い物体?のようなものが現れる。
その物体は少女の周りを飛び回っている。
その物体からはなんか嫌な気配を感じた。
しばらくその物体が飛び回っていると、少女から白い物体?のようなものが現れる。
黒い物体はその白い物体を取り込み、その場から消えた。
「・・・・・はっ!」
俺はそこで起きた。何のことか分からなかったが、今でもはっきり覚えてる。
俺はそれが何かのヒントになると思い、沙汰に電話した。朝の3時だったが気が動転していてついやってしまったという感じだ。
「・・・・おい、俺は今、新しいプログラムが完成して寝るところだ。要件を手短に言え。」
なんだかんだ言って話を聞いてくれるところがあいつのいいところだ。
「今すぐじゃなくてもいい。宇木風梓由の入院してる病院を探してくれ。」
いきなりこんなことを言ったら、普通は聞き返すだろう。
「・・・・・分かった。学校に行ったら結果を教える。」
真剣に答え、電話を切った。やっぱりあいつは頼りになると思ったよ。
だからといってあいつに任せっぱなしも良くないから、俺もなんかしようと思ったが結局電話をすることしかできなかった。
「こんな夜中はまずいと思うけど、一応かけてみよう。」
そう一人呟いて、電話をかけてみた。すると
「・・・・・。」
誰か出た。
「梓由か?こんな早くにすまない。実は・・・・」
俺が話そうとしたら
「・・・・・今の君では梓由は救えない。」
そう言って電話が切れた。その声は梓由のものだったが、まったく別人のように聞こえた。
それからは一度もかからなかった。
朝になり学校に行った。そして、沙汰と話をした。
「梓由が入院している病院はなかったけど、市内の病院にある開かずの病室があるみたいなんだ。行ってみるか?」
俺はもちろん行くことにした。
放課後、俺たちはその市内の病院の二階の奥にあるその病室に行った。そこには・・・・・
現在
「・・・・・思い出せない。」
そう、その後の記憶が泰人にはなかった。
「何でだ?何でそこだけ思い出せないんだ!?」
気が動転する泰人。彼は一体何を見たのだろう?
「その後、俺は非現実的なものが好きではなくなった。そして、莉麻が俺にべったりになったのもそれからすぐだ。」
色々と考えをまとめてみる。しかし、思い出すことはなかった。
「(こっちの時間で一年前か。関係ないと思うけど、その時にサミーに会ったんだよね。)」
ティルスはティルスで考えていた。
次の日、泰人は昨日のことを沙汰に話した。
「・・・・すまん。俺もお前と同じことしか覚えてないよ。」
そう答えた。
「じゃあ、今日にでも行ってみよう。」
その泰人の言葉に沙汰は頷いた。
放課後、泰人と沙汰はその病院に行ってみた。
そこは半年前に新しい病院の方に医師たちが移動し、ただの廃墟になっていた。
そして、泰人達は二階の奥にある病室を開いた。
チュンチュンという雀の鳴き声とともに泰人は目を覚ます。
「・・・・朝か。」
グッと伸びて、着替えを始める。
「昨日はディオールから帰ってすぐに寝たんだったな。・・・三日後にまた戻んなきゃいけないけど、今は学校だな。」
そう言って準備を終えて学校に向かう泰人。
「でも、何か大事なことを忘れているような?」
考える泰人だが何も思い出せなかった。
泰人がは学校に行くところを離れた所から一人の少女が見ていた。
「・・・・・今の君でも梓由は救えない。まだラルゴを覚醒させていない。」
そう少女は呟く。すると、少女の前に莉麻がやってくる。
「ん?君、お兄ちゃんに用?」
莉麻はその少女に話しかける。
「・・・ううん。なんでもないの。それじゃあね、梓由ちゃん。」
そう言ってその場から去っていく少女。
「・・・・・梓由。」
呟く莉麻。いつもの元気な莉麻とは違う雰囲気が漂っている。
「・・・・・学校に行かなくちゃ。」
そう言っていつもの中学とは逆の方向に歩きだす莉麻だった。