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Mystic world  作者: ロンロンの弟子
ディオール編・試練開始
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試練2

こんばんは。今回は少し時間も空いたので早めに投稿します。それではどうぞ。

泰人達は町の中央に来ていた。遅れてサミーも合流する。


「すみません。なんか知らないうちに戻ってしまって。」

「気にしていないよ。さぁ、下りてみましょう。」


謝るサミーにティルスがニコッと笑って答えて泰人達は階段を下りはじめた。

しばらく下りていくと広い場所に出る。目の前には大きな扉があり、それは前にエンシェルアで見たものと似ている。


「では、扉の前に立ちましょう。」


扉の前に立つ泰人達。すると扉から声がする。


「試練を受けにきたか。では、候補一人と護衛一人入るがいい。」

「今回は二人で行くのか。誰が行く?」


話し合おうとする泰人達。


「その必要はない。こちらで適任者をすでに決定している。」

「この試練には、そこの娘と行ってもらう。」

「え、私ですか?」


指名され驚く莉麻と一同。特に泰人はとても嫌そうだが決まり事のためどうしようもない。


「ぐ、本当は行かせたくないが決まってんならしょうがない。二人とも気をつけろよ。」


泰人は渋々承諾する。


「では、行きましょう。莉麻さん。」

「うん!」


こころなしか莉麻は少し楽しそうだった。扉が開き二人はその中に入って行った。




扉の中は前と同じく薄暗く一本道だった。


「なんか、昔の建造物みたいだね。」

「そうなんですか。」

と返すティルス。どうやらティルスにとってはこの造りはそこまで昔という感じはしないらしい。

そうこう話しているうちに奥に辿り着く。今回は鷹のような銅像が立っている。


「来たな。早速試練を始めよう。」


銅像が光り部屋全体を包む。


「え!?」


二人とも同じく驚いた声を上げるが、光が止む頃にはもう二人はそこにいなかった。




「・・・う、うーん。ここは?」


とあるカプセルの中でティルスは目を覚ます。周りはよく見えないためどこにいるかは分からない。


「今回はお前の覚悟と護衛の実力について試させてもらう。」


ティルスの頭の中に声が響いてくる。


「あの、どういう・・・・・」


ティルスは質問しようと思ったが・・・やめた。なぜならカプセル内に画面のようなものがあり、莉麻が映っていたからだ。どうやらティルスのいる所とは別の場所にいるらしい。その莉麻はというと、目の前にはマラソンコースのような道があり、そのスタート地点に飛ばされていた。


「・・・えっと、この道を走れってことなのかな?」

「この道は1キロほどの短い道だ。ゴールまで行けたら合格。途中で放棄したら不合格だ。」


鷹の分かりやすい解説が莉麻の頭の中に響く。


「それだけ?なら簡単だよ。」


余裕な表情をする莉麻。


「・・・それではスタートだ。」


開始の合図が出される。莉麻はそれに従い出発する。普段運動をあまりしていないのでゆっくりペースで走る。


「・・・ふぅふぅ、大丈夫かな。」


マイペースにいい感じに進んでいた。・・・しかし、突然4、5本の針のようなものが横から飛んでくる。


「・・・!?」


莉麻は気づくのが遅く右手にすべて刺さってしまう。


「痛っ・・・!?」


突然のことでつい痛いと言ってしまったが莉麻にダメージはない。しかし


「ぅぁ・・・・!?」


ティルスが右手に痛みを感じたのだ。自らの手を見てみるが傷跡はない。痛みだけが走るのだ。


「・・・・・こ、これは一体?」

「え?何がどうなってんの?」


痛みに耐えながら質問するティルスと混乱する莉麻に対し銅像は冷酷に告げる。


「今回の試練は、王として他人の痛みも分からないといけないということで護衛が受けたダメージはすべて王候補の方に行くようになっている。」

「・・・え、・・嘘?」


驚く莉麻。まさかこのようなことになるとは思わなかったのだろう。


「・・・ぐっ、なるほど。そういうことですか。」


対してティルスは冷静に状況を飲み込めたようだ。


「そんな、ティルス君に痛い目あわせるなんて・・・・。どうすればいいの?」


その場に立ち尽く莉麻。今ティルスとは連絡が取れないし、見えないところで仲間が傷つくのはとても嫌なようだ。


「・・・莉麻さん!!僕のことはいいから早く進んでください。」

「・・・・・・・・・。」


痛みに耐えながらそういうティルスだが当然莉麻には届かない。そして・・・莉麻は完全に足を止めてしまった。





場所は扉の外に移る。


「・・・!?」


扉の前でふわふわ飛んでいたサミーだが、扉の奥に何かを感じ取った。


「ん、どうした?」


様子がおかしいのに気付いた泰人が気にかける。


「・・・・行かなくっちゃ。」


そう言うとサミーはピンク色の光を放ち・・・・消えた。


「消、消えた?」


泰人達は急に消えたサミーに驚いていた。




莉麻はその場から動けなくなっていた。彼女は恐怖に身を支配されていた。自らが動けばティルスが傷つく可能性が出てくる、それだけは嫌だった。


「私はどうしたら・・・・・。」


ピカッ


その時、目の前がピンク色に光りその光が止むと同時にサミーが現れた。


「え?なんでサミーちゃんが?」


驚く莉麻だがサミーはとても急いでいるようで要件だけを告げる。


「話は後。状況はなんとなく分かるよ。ティルス様を助けるためにこれから私の言うことをよく聞いてね。」


「え?・・・う、うん。」


莉麻は突然のことで混乱していたが一応頷く。


「よし、私を掌の上に乗っけて!」


混乱しつつも莉麻は言われた通りサミーを掌の上に乗っける。大きさが違うため覆い被さるような形だ。


「いくよ、えい!」


サミーが強烈な光を発する。それに包まれていく莉麻。


「え?あ・・・。」


唖然とする莉麻だったが、気付いた時にはもう光に包まれた。


「・・・・な、なんだ?」

「なんですか?」


銅像とティルスも驚いている。




少し時間が経ち光が収まる。そして、そこには妖精の羽が生えた莉麻が立っていた。


「うーん、何が起こったの?」


それに気がつかない莉麻。


「今あなたと私は融合してるの。背中に羽が生えているでしょ。」


莉麻の頭にサミーの声が響く。莉麻には理解できなかったがとりあえず背中を触り羽を確認する。


「・・・・・。」


言葉も出ない。というより頭の処理が追いついていないようだ。


「いい?これだったら行けるわ。行きましょう!」


勝手に進めるサミー。莉麻はひとまず大きく深呼吸し・・・・・・落ち着かせる。


「・・・とりあえず分かった。分からないことは教えてね。」


そう言うと羽を広げる莉麻。なぜか羽の使い方が分かる。


「私の記憶も共有しているの。だから教えなくても大丈夫だよ!」

「うん。一緒に行こう、サミーちゃん。」


莉麻が飛び、ゴールに向かう。しかし、襲いかかる大量の針。避けることは難しそうだ。


「これは、ティルス君に痛みがいってるんだっけ。なら・・・・。」


目の前に印を描く。そして


「・・・・・ペイン・アウト。」


唱える。しかし、針はすべて莉麻に刺さる。


「ぐ・・・、あれ?」


それを見たティルスは覚悟を決め痛みを待つ。・・・しかしそれは訪れない。


「・・・・・ほう、これは驚いたな。」


予定外の能力に驚く銅像。そんなことは気にせず莉麻は体勢を整える。


「本当にこれで痛みがないか心配だけど今はゴールに向かおう。」


もうかなり羽が使えるようになってさらにスピードアップする莉麻。

そして、ゴールも見えてきた。


「・・・では最後にどれほどの力を持っているか見せてもらおうか。」


銅像はそう言うと何か呟きだす。・・・瞬間、莉麻の頭上に巨大な大岩が落ちてくる。


「これで生じる痛みは、お前たちの能力では無効にできないぞ。どうする?」


鷹は莉麻たちに聞こえるように言う。


「だったら壊すしかないね。いくよ、サミーちゃん」

「うん!」


莉麻は頭上に印を描く。そして・・・放つ。


「光印・レイスピア!」


すると莉麻が作った印から無数の光の槍が飛び出し大岩に次々に突き刺さる。何十本もの槍をうけ、大岩粉々には砕ける。


「やったね!」

「うん!」


そしてそのまま莉麻はゴールに着いた。




ゴールに着き、融合を解くサミー。そして銅像に元いた場所に戻してもらった。ティルスも無事なようだ。


「いや、驚きました。莉麻さんもサミーもありがとうございます。」

「えへへー。」

「ありがとうございます。」


お礼を言うティルス。莉麻もサミーも嬉しそうだ。


「ふむ、かなりの出来だった。試練は合格だ。もう行っていいぞ。」


銅像が言うと扉が静かに開いていく。莉麻達は銅像に一礼すると扉から出て行った。




扉の外では泰人達が消えたサミーについて話していた。


「つーか、突然消えるなんてありえねぇよ。」

「でも自分から消えたみたいだし待ってみよう。」

「私も泰人の意見に賛成だ。」


そうこう話しているうちに莉麻達が戻ってくる。もちろんサミーも一緒だ。


「合格してきました。莉麻さんとサミーのおかげです。」

「いやぁ、そんなことないよ。」


そう言いながらも嬉しそうな二人。


「(・・・サミーって一体何者何だろう?)」


嬉しそうな二人を見つつも泰人はその疑問が浮かんで仕方がなかった。




試練も終わったので白虎の所で結果を報告する。


「まぁそれをお土産としておくよ。じゃあ早速明日には危険物処理に出かけよう。」


結果を聞いた白虎はとても楽しそうだ。


「実は明日は一度元の世界に戻ろうと思うんです。」


泰人がそう言うと白虎は固まる。・・・予想外だったのだ。


「・・・家に帰るならば仕方がない。とりあえず部屋だけはたくさんあるし、ここで休んでってよ。」

「ありがとうございます。」


一同はお礼をし泰人達は白虎の家に泊まることになった。




そして夜も更けみんな寝静まった頃、泰人は布団に横になりながらも起きていた。


「王に会ってからサミーは少しおかしくなったな。まるで・・・・・。いや、俺の勘違いだ。もう寝よう。」


そう呟きながら泰人も眠った。




同じ時間、白4も夜空を見上げていた。


「・・・・・私は今どこに向かおうとしているのかな、泰人。」


一人呟いていた。




次の日、泰人、莉麻、沙汰は戻るため白虎の家の外にいた、


「ゆっくり休んでくるがいい。」

「ティルス様を宜しくね。」

「お土産忘れるなよ。」


それぞれ言葉をかけ、泰人達はそれに頷く。


「じゃあ頼むぜ、ティルス!」

「分かりました。いきますよ!」


ティルスは例の呪文を唱える。そして、光が溢れ泰人達は姿を消した。



「・・・後は任せてくれ。」



白い虎は消える泰人たちに向けて、そうぼそっと呟いた。





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