謁見
お待たせしました。実はまだ用事が終わりません。更新ペースが遅くなりますが、最後まで投稿しますので待っていていただければ嬉しいです。
それでは、どうぞ!
泰人達が寝静まった頃、病院の屋上にシュパルツとスェイゼルがいた。
「昨日色々あってな、失敗した。だから私は抜けさせてもらう。」
「そうですか。・・・いいですよ。あなたには十分頑張っていただきましたから。それでは。」
不気味な笑みを残して闇夜に消えるシュパルツ。
「・・・やけに素直だな。何かあるのか?」
考えるスェイゼルだったが、夜も遅いので考えをやめて帰ることにした。
次の日、泰人達は沙汰の話を聞くべく集まっていた。
「では、話してもらおうか。」
沙汰は頷き語り始める。
「昨日、医者との交戦中に新しい機能を使ったんだ。メールの受信を応用して作った、相手の考えていることをこのパソコンで読み取り文字にするってやつをな。それで色々分かった。」
沙汰の話をみんな真剣に聞いている。
「12年前、ホスペリルで王族の子供が生まれることになり大騒ぎになったらしい。その時からホスペリルで働いていたスェイゼルはある日、一人の少年に出会った。少年はある儀式の途中だったらしい。スェイゼルは子供の遊びみたいだし、ちょっと付き合おうと考えて手伝ったんだけどそれが失敗だったんだ。」
一気にしゃべって疲れたのか、沙汰は一呼吸置く。
「その儀式が何だったのかはすぐに明らかになった。その儀式が終わった直後にティライズが生まれたんだ。」
ティライズの表情が変わる。
「・・・ま、まさか!?」
そう、あんたに時空移動能力がないのはそのせいかもとスェイゼルは考えているみたいだ。」
驚く一同。
「じゃあ、ティルス様がなんで時空移動の能力を持ってるの?」
「これは予測なんだが、ティライズに受け継がれるはずだった能力があの儀式のせいで同じ病院でティライズの次に生まれたティルスに受け継がれたと考えるべきだろう。」
なるほどと頷く一同。
「っていうかティルスも同じ病院で同じ日に生まれてたのか。」
「いえ、同じ日ではないんですけどティライズ君の次に生まれたのは本当です。」
答えるティルス。
「だが、一つ疑問が残る。ティルスは王族の血筋を持っていると神殿の主は言っていたらしいからな。」
「それは解決済みだ。」
ティライズが割り込む。
「ティルスの父君は元王族の者。子には心配かけまいと内緒にしてきたらしい。」
「・・・そうだったんですか。」
ようやく理解した一同。
「これでだいたい分かりましたね。では僕はその少年について情報を集めてきます。皆さん、また会いましょう。」
そう言って部屋を出て行ったフィドゥ。
「じゃあ次はどこに行く?」
「一度城に行き王と会いたい。いいか?」
その言葉に頷く一同。
「では決まりだ。城はこの城下町の東にある。行こう。」
そう言い、宿を出て出発する一同だった。
城はとても近かった。まぁ城下町にいるのだから近いのは当然だが。城はかなりの大きさだった。ディオールで一番大きな城らしい。
「ティ、ティライズ様!お久しぶりです。」
見張りの一人がティライズに敬礼する。
ティライズ「王にお会いしたい。急な用事だ。」
見張り「分かりました。少々お待ちください。」
そう言って城に入る見張り。
「すごいな。ほんとに王子様なんだね。」
「まぁな。」
軽く会話する莉麻とティライズ。そこに見張りが戻ってきた。
「今すぐお会いしたいそうです。護衛の方々もどうぞ。」
見張りに連れられて中に入る泰人達。すぐに謁見の間に通された。謁見の間は、本当にゲームでもありそうな部屋そのものだった。
「ティライズか。さっそく話してくれ。」
「分かりました。」
ティライズはこれまであったことをすべて王に話した。
「・・・なるほどな。そんなことが。」
納得したみたいだ。
「ティライズよ。お前には悪いが時空移動能力の持ち主が次の王になることになっている。すまないな。」
「そんなことはありません。私はティルスこそ適任だと思っていましたから。」
「そうか。そしてティルスよ。そなたには引き続き試練を受けてもらう。良いか?」
「はい、頑張ります。」
王は泰人達と向き合う。
「泰人、沙汰、莉麻といったな。ここまでよく頑張ってくれた。つらいこともあるだろうがティルスとティライズのことを宜しく頼むぞ。」
「はい。」
元気よく返事をする三人。
「では次に二つ目の神殿があるウィンディームに向かうといい。そこには私の知り合いもいてな、力になってくれるだろう。さぁ、行くがいい。」
「はい。」
そう答えて行こうとする一同だったが、王は何かを感じ取る。
「・・・サミーよ、話があるからここに残ってくれ。」
「え?・・・はい、分かりました。みんなは先に行ってて。」
サミーを残し立ち去ろうとする泰人達だったが・・・沙汰がその場から動かない。沙汰は王の後ろをじっと見ている。何やらとんでもなくでかい足がそこにはあった。見上げてもお腹あたりまでしか見えない。
「銅像かな?・・・・・でも生きてるっぽいな。」
色々と考えをめぐらせる沙汰だったが、ようやく立ち上がりその場を後にした。
謁見室には王とサミーが残った。
「さて」
王は杖を取り出しサミーに向ける。ピカッと光るとまた戻る。するとサミーの様子が変わる。
「まさか、生きていたとはな。何故お前がティルスと一緒にいる?」
「・・・・・。」
サミーは答えない。
「・・・まぁいい。お前が何を考えているか知らんが、彼らに危害を加えるならば容赦はしない。」
王が右手を上げると後ろに立っている巨大な足が少しずつ動き始める。
「・・・・・そいつはごめんだな。まぁ、今の所は何もするつもりはないから安心しな。」
するとサミーがまた光る。
「・・・あれ?私どうして。」
どうやら覚えていないらしい。
「・・・・・あぁ、用事は済んだ。行っていいぞ。」
「あ、はい。分かりました。」
そう言って部屋を出るサミー。
「・・・・・奴は、彼らを襲っている集団よりも厄介だな。奴が動く前にウィンディームのあの男の所に行ってもらわねば。」
そう王は呟いた。
城から出た泰人達はサミーを待っていた。すると少し経ってサミーが出てくる。
「どんな話だった?」
「・・・特に何も。」
・・・瞬間、泰人は今まで感じたことのない雰囲気をサミーから感じたが、すぐに消えたので気のせいだと思うことにした。
「ウィンディームに行くにはまた列車に乗ることになる。では行こうか。」
列車乗り場に向かう一同。そして、ウィンディームに向けて出発した。
その頃シュパルツはアジトに戻っていた。
シュパルツは大きな部屋に入る。そこには四人の人物が椅子に座っている。全員白いマントを被っているので誰だか分からない。
「例のラルゴ使いにより、ボルスが捕まりました。更に、スェイゼルがラルゴ使いの仲間に倒されて改心しました。我々のことを喋る危険があるため、彼らを始末してきますか?」
白マント達に問う。
白1の答え
「別にいい。奴らは我々の本当の姿を知らない。」
白2の答え
「・・・ボルス達が負けて良かった。あいつらを消すのは僕だからね。」
白3の答え
「・・・眠い。」
白4の答え
「・・・・・。」
一人以外とは話が噛み合わなかったが、いつものことなので気にしないシュパルツ。
「次は僕が行くよ。シュパルツ、案内してよ。」
「はい、分かりました。」
白2がそう言うのでシュパルツは彼を連れてアジトから出ていく。
何かが始りそうだった。
「・・・・・泰人。」