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Mystic world  作者: ロンロンの弟子
ディオール編・試練開始
12/115

ヒポポス 後編

こんにちは、ロンロンの弟子です。

今回は後編です。いつもより少し長くなりました。

それではどうぞ。

あれから少し時間がたった。水晶内では泰人達が目を覚まし話し合っていた。何度か脱出しようと試みたが失敗したからだ。


「どうやらこの水晶からの脱出は無理なようですね。」

「そんな。ずっとこのままなんて嫌だよ。」


涙目になる莉麻。


「大丈夫。今は沙汰とサミーを信じて待とう。」

「そうですね。きっと来てくれますよ。」


泰人とティルスの言葉に、うんと頷く莉麻だった。




それからまた時間が経ち、夜になった。従業員との話等が終わり宿前に向かう沙汰達。


「いやぁ。こっちの世界の技術は向こうとは少し違うけど、そのおかげで成果はあったな。」

「でも、遅くなっちゃったから早く行かないと。」


そう言い急ぐ沙汰達。しかし、待ち合わせ場所には誰もいなかった。宿の主人も知らないみたいだ。


「なんだ?おれたちに黙って飯でも食いに行ってんのかな?」

「それはさすがにないよ・・・・。でも時間もけっこう過ぎてるし、探してみましょう。」


捜索を始める沙汰達だったが、何も情報が手に入らない。


「駄目ね。見たっていう人もいないし。」

「だったら、まだ行ってない病院に行ってみようぜ。」


サミーが頷き病院に向かった。




かなり遅い時間なので、病院もすでに消灯していたが、沙汰は裏口の従業員専用の入り口に来ていた。すると、ちょうど一人の看護婦が通りかかる。


「あら、こんな時間にどうしたのかしら?」


沙汰は昼間に泰人達がこの病院を訪れて、それから行方不明になっていることを説明する。


「・・・5人の子達が一緒にスェイゼル先生を訪ねてたけどそれね。」


頷く沙汰。


「そういえば、帰るところは見ていないわね。どうしたのかしら?」


サミーにいやな予感が走る。


「あの、中に入れさせてもらいませんか?スェイゼルっていう人と話がしたいんです。」


いきなり妖精が出てきてびっくりした看護婦だったが、すぐに落ち着き


「いいわよ、私も気になるしね。ついてきてちょうだい。」


看護婦に連れられ、中に入る沙汰とサミーだった。


病院内は薄暗く、ちょっとした電球がいくつか光っているだけである。一応休憩室に行ってみたが、中には誰もいなかった。


「あれ?今日はここで休んでいるはずなのに。」

「他にいそうなところはないんですか?」

「そういえば、地下の書庫で書類をまとめているかもしれないわ。」

「んじゃ、行ってみようぜ。」


沙汰が言うと沙汰たちは地下に向かった。


その頃、スェイゼルは案の定書類をまとめていた。


「ラルゴ使いとその仲間はみんなこの水晶の中だ。・・・・・ちょっと実験がしたくなったな。」


懐から水晶を取り出しそう言うと、書庫の奥にある実験室に入って行った。ちょうどその時、沙汰達は地下に着いてスェイゼルが奥の実験室に入るのが見えた。


「あの部屋は何かしら?書庫に入ったのも初めてだから分からないわね。」

「嫌な予感がするな。看護婦さんはここで待っててくれないか?」

「そうなの?じゃあ待っているから、話してきてね。」


看護婦をその場で待たせ、そっと実験室に入る沙汰とサミー。すると、その中は沙汰も見たことがない高度な機械がたくさん備え付けられていた。


「すげぇな。」


思わず呟く沙汰。スェイゼルは水晶を機械にセットし調べていた。


「・・・・!?この数値はまさか。いったい何だ?」


何か分からないが驚いているスェイゼル。するとサミーが


「沙汰!あの水晶からティルス様たちの反応を感じるわ。」


どうやら感じとったようだ。


「何?・・・分かった、サミーは隠れてな。じゃあ行くぜ!」


勢いよく部屋に飛び込む沙汰。


「な・・・・、誰だ?」


びっくりして一瞬頭が真っ白になるスェイゼル。


「別に誰でもいい。そのガラス球を渡してもらうぜ。」


そのまま水晶を奪いに行く沙汰。


「ぬぅ、させるか!」


スェイゼルは地面に手をつき、何やら呟く。すると巨大な棺桶が生えてきて沙汰の行く手を阻む。


「何!?ちぃ・・・。」


ぶつかる寸前でとどまる沙汰。衝突は避けられた。


「危なかった。もう少しでぶつかる所だったぜ。」


しかし、状況は悪くなる。棺桶が開かれ、中から巨大なマミーが姿を現した。


「ふふ、いきなりで驚いた。仲間がまだいるとは。だが、こいつには勝てまい。」


状況が有利になったので、スェイゼルは徐々に冷静になる。


「へへ、ようやく俺にも出番が来たようだな。行くぜ!」


沙汰は距離をとり、ミニパソを取り出すと高速でキーを打つ。だがそうしている間にも巨大マミーがあけた距離を詰める。スェイゼルは一瞬頭痛がした。しかし、それを全く気にすることもなく


「・・・何をするか知らんが、その前に踏みつぶされるがいい。」


目の前に巨大マミーが来る。そしてマミーの足が上げられ


「出来た!」


寸前で印が完成する。一瞬出る強力な光にのけぞる巨大マミー。


「な、何だ?」


スェイゼルも驚く。光が消え・・・・、金色のカバが姿を現す。


「こいつは、聖なる力を持つカバ、ヒポポスだ。」


ヒポポスは巨大マミーと向かい合うように現れる。


「・・・ふ、その程度の召喚獣では、私の巨大マミーには勝てるはずもない。やってしまえ。」


スェイゼルの命令通り動く巨大マミー。ヒポポスに襲いかかる。


「へん、見かけだけで判断しちゃいけないぜ。ヒポポス、あれ使え!」


沙汰が言うと、ヒポポスは口から水のような液体を巨大マミーにかける。


「そんなもの効かぬわ。」


確かに水で濡れた位ではマミーは倒せない。しかし


「それはどうかな?よく見てみな。」


沙汰の言葉にマミーを見るスェイゼル。何にも変わってないように見えたが、次の瞬間


「・・・・・!?」


スェイゼルは絶句した。なんと瞬間的に巨大マミーが消滅したからだ。


「どうだ、これがヒポポスの能力。自分の粘液を吹きかけることで、その物体にかかっている術式やらなんやらを消滅させるのさ。召喚獣には何かしら術式が施されている。それを消しちまえばいいってわけさ。」


自慢げに話す沙汰。スェイゼルはがっくりと肩を落とす。


「・・・・・このカバに対抗する手段は私にはない。・・・私の負けだ。」


自分の敗北を認めるスェイゼル。


「そいつは良かった。んじゃ、泰人達を解放してくれ。」


ほっと一息つく沙汰。


「私には無理だ。難しい術式だからな。だがそのカバなら何とか出来るだろう。」


ヒポポスを指さしスェイゼルは呟く。


「そうか、ありがとよ。」


沙汰はミニパソのキーを打ちながら答える。そしてヒポポスの粘液を水晶に吹きかけ、水晶は消滅し泰人達は元に戻った。


「・・・沙汰。お前ならやってくれるって信じてたぜ。」

「沙汰さん、ありがとう。」


思い思いの感謝を伝える泰人たち。沙汰も嬉しそうだった。そこにサミーが入ってくる。


「やったみたいね。看護婦さんには私から言って帰らしておくから、心配しないで。」


再び部屋を出るサミー。


「さて」


泰人はスェイゼルに向き合う。スェイゼルは覚悟を決めているように見える。


「洗いざらい話してもらおうか。」

「そ、それは・・・・・。」


覚悟を決めているものの話しずらそうなスェイゼル。そこに沙汰が


「もういいじゃん。話したくないみたいだし、別にこの人の口から聞かなくたっていいだろ。他の手段は考えてあるから、ここは見逃そうぜ。」


一同は納得していなかったが、沙汰が無理やり納得させた。


「・・・・・ありがとう。」


スェイゼルは少しほっとしたみたいだ。


「だけど、もうこんなことをすんなよ。じゃあ、またな!」


そう言って部屋を去る沙汰。後ろをついていく泰人たち。


「彼らならもしかしたら・・・・・。」


スェイゼルはその後ろ姿を見送った。



病院から出た泰人たちはサミーと合流し、宿に戻った。時間はもう夜中なので、沙汰の話は次の日に聞くことにしてすぐに眠りについた。こうして二日目もなんとか幕を閉じた。




次なのですが、実は少し忙しくなるため投稿が遅れると思います。しかし必ず投稿するので待っていてもらえると嬉しいです。

それではまたお会いしましょう。

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