最終決戦17.見えた最上階 発動、ティルキングモード!
おはようございます、ロンロンの弟子です。お待たせいたしましたが次の目処が出来たので投稿します。今回でついに最上階に辿り着きますがまたもタイトルが違いますね。するする詐欺で申し訳ないです。
それではどうぞ!
夢の柱・午後4時
澄花は強かった。50階を過ぎた辺りから敵も強化されているのだが、そんなの感じさせなかった。これまでまったくのノーダメージである・・・のだが流石に90を超えた辺りから疲れが見え始めた。
「・・・沙汰、そろそろエネルギーが切れそうだ。次の手を用意しておけ。」
「ぐ、ぐぬぅ。やっぱりキツいか。とりあえずできる限り頼むわ!」
ノーダメージとは言っても金と銀の発明の融合体の為、使用するエネルギーも半端ではない。あれから30分ちょっと過ぎた辺りだが、澄花を存在させ続けるにはそろそろ限界のようだ。本当は1日は持つらしいが力を使用しているためエネルギーの使用が異常なのだ。
「・・・ったく仕方ねぇな。何かの時は俺様が出てやるから限界までやれ。(澄花さん、頑張って!)」
とヴィントルが保険をかける。元々はスィングと沙汰で100体すべてを倒す予定だったのだが、あの合体ロボットのせいで予定が狂ったのだ。と言っている間に次の敵が・・・現れた?
カチッカチッ
「・・・時計だな。」
沙汰は呆気にとられながらも言葉にする。今までと違い特に種も仕掛けもない2つの時計のようだ。少し大きめの目覚まし時計みたいで2つとも距離をとって配置されている。
「ふむ、これは壊して良いのか・・・?」
澄花はあることに気付いた。それは時計の針が異常なスピードで進んでいるのだ。最初は4時だったのが数秒で4時30分になっていた。
「沙汰、この時計変だぞ。針が凄い勢いで進んでおる。」
「針が・・・ってまさか!?」
沙汰は壁に掛けられた時計を見る。・・・すると
カチカチカチカチ
かなりのスピードで針が進み、今5時を過ぎた。
「沙汰君、これってあの時計が・・・」
「スタッフさん、あんたの言いたいことは分かる。こいつは急いで処理しないとまずそうだ。」
スタッフの言う通り、目覚まし時計は壁に掛けられた時計と連動しているようだ。このままにしておくとタイムアップになり沙汰達の負けになるのだ。
「澄花、あの時計を同時に破壊しろ。2つあるってことは片方破壊しても修復されたりする危険性がある。急げ!」
「し、承知!」
流石の澄花も焦りを見せるが、懐から札を2枚取り出し時計に向かってそれぞれ飛ばす。ぴったりとくっついたのを見ると澄花は呟く。
「弾けよ・・・!?」
と、呟いた後に澄花は気付いた。くっついた札が僅かに溶けていたのだ。これが示す意味までは分からなかったが嫌な予感がして仕方がなかった。そしてそれは当たることになる。
シーン
「・・・おい、何も起こらないぞ。どういうことだ?」
「おかしいな。同時に破壊すればいいと思ったんだが・・・」
沙汰とヴィントルが疑問に感じているときだった!
バチバチバチッ
「い、いやああああああああああ!?」
突然澄花が叫びだした。というのも全身を電撃のようなかなりの衝撃が襲ったのだ。たまらず地面に降り膝をつく。
「澄花!?」
驚いた沙汰はミニパソで状態を確認しようとするが・・・
プツン
「な!?」
突然ミニパソの電源が落ちる。慌てて起動ボタンを押すが反応はない。
「くそ・・・一体どうな・・・って・・・!?」
沙汰が澄花に目を向けると・・・薄くなって消えかかっていた。
「沙汰・・・すまな・・・」
シュン
その言葉を最後に澄花は消えた。
「澄・・・花・・・?」
「どうやらあの時計、特殊なプロテクトが掛けられていたようだな。」
冷静に分析をするヴィントルに対して放心状態の沙汰。現実世界でも、夢の世界でもミニパソが壊れ二重のダメージを受けている彼にメンバー全員かける言葉が見つからない。
「同時に破壊するってのは合ってるとは思うが特殊攻撃ってのがまずかったな。スィングとスタッフはあの時計を破壊してこい。・・・沙汰はしばらく休ませる。」
「了解!」
「分かったっす!」
やはりヴィントルも沙汰を気にしているようで休ませるようだ。沙汰は相変わらず黒くなった画面から目を離そうとはしない。
だがそんなことをしている間にも時計の針は進む。今6時30分を過ぎたところだ。二人はヴィントルに結界を緩めてもらい外に出る。そしてスタッフがスィングにプラスチックハンマーを渡す。
「君は力を使い果たしてしまったようだからね。これでも時計くらいなら壊せると思うよ。」
「ありがとう。使わせてもらうっす!」
スィングはプラスチックハンマーを受け取る。そのあと2人はそれぞれ分担した時計の前に立ち目配せをする。そして・・・
バキッ
同時にハンマーを振り下ろすと嫌な音がなり時計の針が止まる。全員が壁に掛けられた時計を見るが、7時前を指しておりそれからは普通に動いている。
破壊後、グンと床が上がったことから無事にクリアしたと判断されたようだ。二階分上に上がり現在92階である。
だが沙汰とスィングは既に限界であり、普通に戦えるのがティルスと莉麻しかいない。だがヴィントルはティルスを温存する考えのようで自分が前に出る。結界は張ったままであり、全力は出せない。
「悪夢神とまともに戦えるのはティルスだけだからな。残り少しだし俺様が出るか。(うん、分かったよ!」
残り8体、何が出るか分からないがヴィントルなら何とかしてくれる。誰もがそう信じて疑わなかった。
そして敵が姿を現す。
ゴガァァァァァァァァァァ
両手両足に翼が付いた首の長い龍だった。青龍のものとは違いそこまで大きくはない。ヴィントルの表情は変わらない。
「龍か。ま、この程度のやつならば問題なく倒せるな。(へ、へぇ・・・。私には十分強そうに見えるけど。)」
ヴィントルは余裕そうに術式を組み立てて放つ。結界を維持しながらも組み立てる時間がそう変わらないのは流石と言うべきだろう。
「闇印・ダークスピア!」
闇の槍が放たれる。龍はブレスを放とうとするが槍のスピードがその動きを上回る。
龍の首元に放たれた一撃は深々と突き刺さりそのまま・・・
ズシャァッ
首を吹き飛ばす。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
雄叫びを上げチョンパされた首は消滅する。それを相変わらず無表情で見ていたヴィントル。
「この程度は問題ないな。(・・・ちょっと可哀想だったな。)」
全く疲れを見せずにそう呟く。メンバーは元最強の魔術師の戦いぶりに見入っていた。
「さて、次は何が・・・・・・!?」
スィングは気付いた。首が飛ばされたというのに胴体は何故か残っている・・・というよりも小刻みに動き始めていた。確かに階層は一つ上がったがまだ何かあるようだ。それにもちろんヴィントルも気づいているようで目を細める。
「残り7体、そして消えずに残ったこの胴体の不穏な動き。・・・・・・悪夢野郎のことだからあれが出てきても不思議じゃねえな。(・・・あれって?)」
そう聞き返した莉麻だがヴィントルが言おうとしていたことをすぐに知ることになる。
胴体がピタッと動きを止めた。何事かと思った・・・・・・瞬間!
ボコボコボコボコッ
「なっ!!?」
胴体が巨大化した・・・と思うと首が飛ばされたところから新たに1、2、3・・・・・・7、合計7本の首が生えてきた。それぞれの首の色は違うことから別の種類であることがわかる。これを見たメンバーのほとんどは普通に驚いていたが、ティルスだけは反応が違った。
「・・・・・・なるほど、そこまでして僕らを排除しに来るんですか。」
どうやらこの魔物について知っているようだ。ヴィントルは少し距離を取り、苦笑いをしながら呟く。
「・・・こいつは伝説の魔物、七首の異龍!危険度MAXの魔物だな。(・・・・・・え?)」
その一言に莉麻は一瞬理解できなかった。ヴィントルが危険度MAXというほどの相手、それがどれだけの意味を持つのか理解するまで少しかかった。そして理解する。今、全滅の危険性があると。
「・・・全盛期の俺様でも苦戦するほどのやつだ。昔倒したと思っていたが夢の力で復元しやがったのか。(そ、そんな凄いの相手なんて・・・・・・。)」
メンバー全員今の状況を理解したようで怯え始める。しかし、ティルスとサミーは別段怯えた様子もない。・・・サミーは今の状況を理解していないだけなのかもしれないが。
「とにかく一気に決めないと負ける。・・・最強の闇の術を撃つぞ!(・・・う、うん。)」
そう言って術式を組むヴィントルだが、流石に余裕がないのか結界が消えていた。ヴィントルが術式を組むのと同時に7つの首も思いっきり息を吸い込んだ。
先に攻撃を放ったのは・・・ヴィントルだ!
「闇黒弾印・ネスティングディオスフィア!!!!」
術式から放たれたのはヴィントルが使うディオスフィアが3つ。それが重なり、一つの巨大な闇となる。離れた場所にいてもわかる強力な闇のオーラ、なのだが・・・
「・・・たった3つしか出せないか。まずいな。」
そう、これは未完成なのだ。本来は7つのディオスフィアを重ねて放つのだが、莉麻の力では3つ出すのが限界らしい。これでも十分すごいのだが、これでは本来の半分以下の力しか出すことができない。
それでも傍から見ると十分に思える闇の塊が七首の龍へと向かっていく・・・がそこで龍の方も溜め終わったのか七つの首からそれぞれ波動が放たれてる。
グオオオオオオオオオオオオオオオ
物凄い音を鳴らしぶつかる二つのエネルギーの塊だが、勝負は誰が見ても明らかだった。
「・・・ヴィントルさんの闇が・・・消えていく?」
雪美の言う通りだった。龍の波動により闇の塊がどんどん消えていく。全て消えるまでそう時間はかからないだろう。ここでヴィントルは悟った、・・・今の自分では勝てないと。
「・・・少し無茶をする。悪いが耐えてくれ!(・・・うん!)」
彼女の後ろにはメンバーたちがいる。ここで避けてしまっては大変なことになる。よって受け止めなくてはならなかった。・・・案の定、闇は全て浄化され残った波動が襲いかかる。流石にかなりの力を失ってはいるもののまだ勢いは残っていた。ヴィントルは再び高速で術式を組み、自らに闇のオーラを纏わせて波動を受け止める。
「ぐくっ・・・・・・、何とかなりそうではあるが・・・な。(・・・う、うーん。結構きついよー!)」
そしてオーラの消滅とともに波動も消える。どうやらギリギリで受け止め切れたようだ・・・が・・・
バタッ
「莉・・・ヴィントルさん!!」
倒れる莉麻に駆けつけるティルス。今のでかなり消耗したのかぐったりとしている。そして莉麻の胸のあたりから黒い水晶が抜けて出る。
「・・・すまん、この俺様がこのざまとは情けない。」
「いいえ、ありがとうございます。僕を休ませようと頑張ってくれたのはとても嬉しかったです。」
ティルスは莉麻の頭を撫でると、黒い水晶と莉麻をスタッフ達に任せて前へと出る。・・・もう残っているのはティルスしかいないのだから。
「ティルス君、・・・ごめんね。」
「大丈夫です。あとは任せてゆっくりと休んでください。」
ティルスは右手で空を裂き、空間を歪めるとそこに手を入れて王冠を取り出す。王冠にはすべてのアクセサリーがはまっており完全であることを示していた。それを頭に身に付けるとポツリと呟く。
「・・・ティルキングモード、起動!!」
どうやら英雄の帰還に自分なりの名前をつけたらしく、そう言った瞬間に背中から赤い翼が生えて飛び上がる。そして真正面からセブンス・ドラグーノと向かい合う。
「・・・伝説が相手でもそれを超えないと何も救えない。すべてを救うため、まずは伝説を超える!」
そう言い放つ。龍もティルスが放つ力に反応し首をすべて向ける。そして再び溜め始める。
「気をつけろ!またあの技が来るぞ!!」
ヴィントルが大声を出しティルスに伝える。ティルスは軽く頷くと・・・一瞬で龍の背後へと回った。
「「え!!?」」
見ている誰もが動く姿すべてを把握できなかった。龍はティルスの姿を見失い右往左往している。
そんながら空きの背中に手をポンと置き、呟く。同時に鳥と虎のアクセサリーが虹色に輝く!
「Vulkantiger letzter Angriff!!」
そのあとすぐに距離を取る。・・・見たところ何も起こっていないように見えるのだが・・・・・・
ゴオオオオオオオオオオオオオオ
どこからともなく音が鳴る。その音の発信源は・・・
「・・・龍から鳴ってる?」
そう、龍の内部からものすごい音が鳴る。その音が大きくなるにつれて龍の首も苦しみだした。
そして音が最大になった瞬間!!
ビキビキ、グシャアアアアアアアア
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
内部を突き破って炎の虎が天へと向かって進んでいき、消える。胴体内部を燃やし尽くされた龍は、そのダメージがすべての首へと移り、ものすごい叫びを上げる。・・・・・そして消えていく、徐々に首の1本1本が消え最後には跡形も残らなかった。
「・・・・・・いやぁ、何とかなりましたね。」
100匹すべての魔物を倒し頂上へと向かうエレベーター。ティルス達はホッと一息つくが、あまりいい状況ではない。
沙汰は未だに放心状態、スィングは能力を使いきり戦力としては使えない。莉麻とヴィントルも同様で、まともに戦えるのはティルスだけだ。だがティルスもティルキングモードを使ってしまったため、万全ではない。そしてそれを今も維持している。
サポーターも当然戦力外、となると未だ無傷の悪夢神を相手にするのはとんでもなく厳しかった。
「・・・泰人さん、信じていますよ!」
ティルスはそう祈りを込める。・・・それと同時に
チーン
100階に辿りついた。
只今の時間は午後7時15分。・・・タイムリミットまで後、4時間45分!
続く
どうでしたか?連載当初からティルキングモードは絶対やろうと考えていました。
とは言っても前にやったのですが名前が出たのは初ですね。長い間やっていると最初にやりたかったこととか忘れがちですが良かったです。
さて次回はついに今度こそあのタイトルです。引っ張り続けて申し訳ないです。悪夢神VSティルスですね。現時点でこの二人が最強クラスなのでがんばって書きたいですね。伏線も回収予定ですが忘れていた場合はすみません。
次の投稿は来週です。大体出来ているので早めに投稿したいですね。
それでは皆さん、元気でまた次回お会いしましょう!!