最終決戦13.決着の舞台は夢の柱
おはようございます、ロンロンの弟子です。一日予定とずれて申し訳ないです。
今回は説明回です。詳しくではなく敢えて大まかな感じにしています。
それではどうぞ!
エルドイの小屋
「・・・よし、沙汰はちゃんと俺の言う通りにしてくれたようだな。」
虚唱は沙汰との会話を終えて次の準備を始めていた。そう、謎の空間へ送った泰人に覚醒スネイラーを使わせるために向かうのだ。だが一つ計算違いがあった。莉麻が祇亞も謎の空間へ送ったことである。
「・・・どうするつもりだ?」
「当然、祇亞と泰人の過去を清算させる。ただブラックラルゴを渡すだけでは意味がないと思っていたからな、この方が都合がいいさ。」
目的はスネイラーの覚醒。ただブラックラルゴを渡すだけでは使いこなせる可能性が限りなく低いため、何かしらの手を打たなければならないと虚唱は考えていたので祇亞まで謎の空間に送られてきたのは好都合なのだ。
「さて、準備が出来た。・・・恐らくもう会えないとは思うが、世話になった。ありがとう。」
「報酬はもらったから問題ない。・・・弟たちを信じてやれ、私を倒した彼らならきっとできる。」
頷く虚唱。そのまま目の前に出現した時空の歪みに飛び込み姿を消した。
ガチャッ
「・・・彼、行ってしまいましたね。私とそう変わらないのに自分の命を賭けるなんて凄いです。」
「そうだな、まるでお前の祖父みたいだな。・・・そう、黒の魔術師と呼ばれたあの男のようだ。」
その言葉に助手の女性は特別反応はしない。ただ天井を見上げるだけだ。
「さて、この件に私はもう手を出すことはなくなった。しばらく休むから後を頼むぞ。」
「分かりました。ゆっくり休んでくださいね。」
そう言って助手は部屋を後にした。
ガチャン、スタスタ
「・・・この件が終わったら先生と一緒にお城にでも雇ってもらおうかしら。そのためにもクリスタ王国の事件のレポートをまとめないとね。・・・頑張って、ヴィントルおじいちゃん。」
そう考えながら助手は残った仕事に手をつけた。
春の島・正午
「・・・今、俺様がいたな。(あれが悪夢神だね。)」
消えた悪夢神を見ていたヴィントル莉麻。色々と分かったことがあったがすぐに考えをまとめることはできなかった。何故かというと・・・
ガッシャーン
スピーカーが落ちてきた。壊れているようでいくつかヒビが入っており、ピーガーガーと変な音を立てている。これを見て明らかにおかしいと思った。
「・・・確かミーアがリタイアしたって言ってたな。(じゃあミーアさんがリタイアしたから・・・?)」
そう結論づけるのは危険だとヴィントルは思った。とにかく・・・ここは一度離れたほうがいいと本能で思った時だった。上空から声が聞こえてくる。
「王子隊のメンバーよ、我は悪夢神なり。貴様らに新たなルールを伝えようと思うのだが、まずは全員観客室に移動してもらおうか。」
そう言われたとき、ヴィントル莉麻の目の前が真っ暗になった。突然のことで驚いていたがすぐに光が見える。
気がつくと観客室にいた。
「莉麻ちゃん!良かった、無事だったね。」
スタッフが近寄ってくる。
「・・・当然だ。(はい、ありがとうございます。)」
莉麻の心の声は当然聞こえない。しかし、言葉遣いからすぐにヴィントルだと分かったようでそのことには特に言われなかった。
ヴィントルは辺りを見回す。既にティルス、スィング、沙汰も帰ってきており各々会話をしている。彼も情報交換をしたかったがそれよりも悪夢神の放送の方が早かった。モニターに映る映像が急に変わり、黒の魔術師の姿の悪夢神を映し出す。後ろには縛られて身動きが取れないミーア、梓由、プレスト(猫)の姿が確認できた。
「・・・やはりミーアは捕まっていたか。」
「お姉ちゃん!?」
雪美がモニターの前まで出てくる。宇木風梓由、実の姉が敵に捕まっている姿を見て明らかに動揺している。それに・・・
「私には分かるよ。お姉ちゃん達は元に戻っている。でも、・・・でも!!」
元に戻っていることにもすぐに気がついた。だが悪夢神も黙りっぱなしではない。話を続ける。
「気付いていると思うがこの者たちは人質として預かっている。・・・返して欲しければ、まず我の話を聞くがいい。正真正銘、最後の戦いのルール説明をしてやろう。」
悪夢神の説明は次のようなものだった。
戦いの舞台は夢の柱と呼ばれる建造物。全部で100階までありそれを登りきり最終階層にいる悪夢神を倒せば全て終わり、王子隊の勝利となる。勝利した暁には人質の解放と雪美の蘇生、この戦いで消滅した仲間たちと夢の世界と融合したディオールを元に戻すと約束した。
参加者は残っているティルス、沙汰、スィング、莉麻の4人。サポーターの参加も許される・・・が、今回はサポーターの命の補償がないこと。気を失えば参加者同様消滅する。もちろんリーダーであるティルスが負けた場合強制的に敗北となるのは変わらない。
開始は今から約2時間後の午後2時からでそれまでは休憩時間として良い。参加する者は約束の時間にこの観客室の隣の部屋にある待機室に集まること。参加しない場合はモニター越しで見ることになり途中参加は不可能であること。
最後にタイムリミットは今日いっぱいであること。と言っても元々今日中に決着をつけなければ沙汰達は元の世界に帰れないため今更感はある。
「・・・こんなところだ。よーく考えて参加するかどうか決めるんだな。精々我にお前たちの最後の足掻きを見せてくれ。」
ブツン
とその言葉を最後に映像は切れた。それを見届けたヴィントルはとりあえず莉麻と分離する。
そして今後について話し合おうとするのだが・・・
「話し合いの前にみんなに謝りたいことがある。」
沙汰が声を上げる。全員の視線が沙汰へと集まったのを確認すると彼は・・・頭を下げた。
「敵対していてすまなかった!許してもらおうとは思っていないが今から俺の知っている情報をすべて話す。」
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
「呪いをかけられていたとは言え元々は俺のミスだからな。後、詳しくは言えないが泰人は無事だ。今は俺の兄貴が覚醒スネイラーへの最後の特訓をしているだろう。・・それにしてもあの祇亞を倒すとか莉麻ちゃんは凄すぎるな!!」
「それなんだけど・・・・・・?」
莉麻が祇亞のことを話そうとしているところをヴィントルが止める。どうやら祇亞も謎の空間に送ったことは言わないほうがいいと判断したらしい。倒したことにしたほうがほかのメンバーが不安にならないと考えてのことだろう。
「以上だ。先程も言ったがこれで許してもらおうとは・・・」
「何言っているんだい?」
「・・・え?」
真っ先に反応したのはスタッフだった。そしてみんなそれぞれの考えを話す。
「君のことは信頼しているよ。泰人君の友人である君をね。」
「・・・姉さんを救うには沙汰さんの力が必要だと思う。信じてるよ。」
「あたちは鳥さん面白いと思う!」
「今の話を聞いて貴方は信頼できると確信しました。・・・サミー、面白いはどうかと思うわ。」
「俺っちはあんたを結構見てきたから、今更信用を切ったりしないっすよ。」
「僕は最初から仲間の皆さん全員を信頼していますよ。」
「・・・お兄ちゃんはきっと強くなって帰ってくるよ。それまで頑張ろうね♪」
みんな沙汰を許していた。思わず涙ぐみそうになったところを堪えてお礼を言おうとしたところだった。
「じゃあ緋情夫君のことは?」
仮眠室から星音が出てきた。充分休んだのか元気は回復しているようだ。言葉を続ける。
「どうして助けてくれなかったの?泰人さんを倒さないといけない呪いなら、緋情夫くんは助けられたでしょ!?」
「それは・・・・・・」
口ごもる沙汰。とても言いにくそうではあるがここで本当のことを言わなければ誰にも信じてもらえない、そう考えて彼の真実を言葉にする。
「あの時は確かに泰人以外は攻撃しないこともできた。・・・だが悪夢神に監視されている以上、下手に君たちの助けになるように動くこともできなかった。本当にすまなかった!!」
「分かってる・・・けど、私は・・・・・・!!」
ガチャ・・・バタンッ
感情が溢れかけた星音は部屋を飛び出してしまった。沙汰は追おうとするが莉麻に腕を掴まれる。
「・・・心の整理がつかないんだと思う。今は一人にしてあげようよ。それに緋情夫くんを助けるためにも作戦会議しなくちゃいけないでしょ?」
「・・・そうだな。久しぶりに頭フル回転の正気の沙汰じゃないってところを見せてやるさ。」
いつものテンションに戻った沙汰に安心するメンバー。とは言ってもやはり星音のことは心配らしく、少し経ったら様子を見に行くことにした。
「さて、次の対決で全てが決まる。全員心して聞けよ!」
そして、ヴィントルを中心に最後の作戦会議が始まった。
続く
どうでしたか?
最後の戦いの舞台は夢の柱と呼ばれる塔です。これはもともと星音の夢の世界にあったものだったのですが、それを悪夢神が改造したものです。因みに元は普通の電波塔でした。
さて、これで予定は後8話です。もう終わりが見えてきたので頑張ります。
次回はついに泰人VS祇亞の決着回になります。プレストなしの祇亞は弱いのではないか、・・・さてどうでしょう?
次の投稿は9月の中旬です。そろそろ就職決めたいですね。
それでは皆さん、元気でまた次回お会いしましょう!!