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Mystic world  作者: ロンロンの弟子
真実編
102/115

最終決戦11.宇木風梓由の欠片

こんにちは、ロンロンの弟子です。8月に入ってしまいましたね。暑くて毎日大変です。

さて今回はミュアとミーアがメイン回です。今回で話が一気に進みます。最後が近いです。

それではどうぞ!

少し前、沙汰はあれから見えにくいという理由でカイチョーに乗り泰人たちの対決を見ていた。

泰人のラルゴテンペストで青龍を倒したところだ。


「・・・やっぱり泰人が勝ったな。俺の思惑通りに来てるぜ!」


沙汰は内心喜ぶ。・・・親友の勝利を喜ばない奴はほとんどいない、というやつだ。

とそこに・・・


ピピピピ、ピピピピ!


「ん、着信・・・?」


ミニパソに電話の着信が届く。今いる世界は現実世界とは違う、それに沙汰のミニパソの電話機能はほとんどの人は知らないはずだ。

疑問に思いながら電話に出る。


「・・・もしもし?」


「よぉ、久しぶりだな。・・・沙汰!」


「・・・・・・!!?」


沙汰はとんでもなく驚いてついミニパソを落としかけるがギリギリで体勢を整える。

この沙汰の慌てぶりは普通ではない。そう相手は・・・


「・・・・・・虚唱こうた・・・兄ちゃんか!?」


「おうよ!」


相手の声・・・そう、古寺歩によく似ている。というより古寺歩本人だ。

・・・・・・その通り、古寺歩とは仮の名。本名は谷田虚唱、沙汰の兄だ。


「・・・ざけんな。今更何のために連絡とってきたんだよ!!6年前からずっと何して・・・。」


「今はそれどころじゃない。俺の話をよく聞くんだ。」


虚唱はかなり緊迫した口調だ。・・・それにこんなときに連絡してきて何かあるということが分からない沙汰ではなかった。意を決して答える。


「・・・・・・いいぜ、聞いてやるよ。」


「よし、それじゃあ一つ・・・お前ヴィントルの術を見たんだったらあの術の再現できるよな?」


「え?・・・まぁできないことはないけど。」


そしてその言葉を告げる。それがこれからの沙汰の行動につながることととなる。



「それで泰人をまた例の空間へ送れ!」






現在

泰人が消えた。その泰人を飲みこんだ黒い球体は沙汰のミニパソの中に入っていった。

沙汰は空を見る。というよりも上空を飛んでいるスピーカーをだが。


「・・・泰人は倒した。約束通り頼むぞ。」


「いいだろう。今更貴様がいなくなったところで我の計画には支障ないからな。」


悪夢神の声が響く。スピーカーからではなく空そのものから聞こえているのだが何か術でも使ったのだろうか。

それよりも気になるのは約束という言葉だ。ティルスたちを助けるためパソコン室からティライズの意識を送り込んだ彼はその行為を悪夢神に見つかり罰を受けてしまっていた。その罰とは自分の意識に問わず仲間たちを攻撃するようになるという呪いだ。まぁ、彼の行動を見るに100%かかったわけではなかったらしいが、泰人を倒せば呪いは消えるように設定されていたのだ。

本当は泰人に倒されるように動いていたのだが・・・事情が変わったようだ。


「・・・ふむ、どうやら約束は守ってくれたみたいだな。・・・・・・ん?」


自分の手足を動かし身体の調子を確かめるようにする沙汰。どうやら約束通り呪いは消えたらしい。・・・だが


ザッザッ


スィングはあまりのことで頭に血が上りその場の感情のみで動いていた。そのまま沙汰に近づいて行って・・・


ガッ


沙汰の胸ぐらを掴むと思いっきり顔を近づけ吐き出すように言う。


「・・・お前、今何をしたか分かってんのか!?」


今まで聞いたことがないほどの低音ボイスで普通の人なら怖がるところだが沙汰は無表情である。

・・・というよりもミニパソの画面をスィングに見えるようにしてその画面を指差す。スィングがそれに合わせて視線を向けるとそこにはこう書いてあった。



泰人は無事。俺を信じろ!



それを見たスィングは沙汰の目を見る。相変わらずの無表情だがその目には何か決意めいたものが宿っていると感じたスィングは手を離す。


「・・・全く、沙汰君は相変わらず意味不明で困るっすよ。」


いつもの口調に戻ったスィングはそう呟いて心配してオロオロしているフィルディアのもとへと戻っていった。


「助かるぜ・・・・・・って、俺も連れてってくれ!」


沙汰は素早く地面に落ちている亀のアクセサリーを回収し、スィングの後を追った。






時間は少し遡り、最後の島である春の島。


キキン!


「ちょっと梓由!今の貴女は私なんだから無表情はやめなさいよ、怖いから。」


「・・・・・・。」


金と銀、二つの鎌が交差する。それを振るうのは天使と少女。まだ幼そうな少女とまるで天使のような翼が生えた女性、ミーアとミュアだ。

二人はこの島ですぐに出会った。これも運命なのか、悪夢神の企みなのか、深くまでは二人にも分からなかったが、出会い頭にミュアから攻撃を仕掛けた。銀の鎌を出現させ、ミーアを狙ったのだがミーアは即座に反応し金の鎌で対抗する。そうして対決は始まったのだ。


「全くいきなりね。もう少し会話しようとか思わないのかしら。」


「・・・貴女を止める方が先。」


相変わらず無表情で声にも感情がこもっていない。・・・いやそうではなかった。

ミーアが口を開く。


「そういえば貴女には宇木風梓由にあった感情が欠落しているのだったわね。というより私にくれた、これは恐らく私の姿を手に入れるためね。」


「・・・・・・。」


黙るミュア、ということは当たっているということだ。

ミーアは続ける。


「おそらく私のこと、なんとなく危険だって気付いていたんでしょ。妹の雪美を生き返らせたい思いは同じでも貴女はそれで他の人たちを不幸にさせることは望んでいない。私が起こしたあの事件で今後また何かするか不安で私たちの姿と力を入れ替えた。・・・そういうことでしょ?」


「・・・そうね。その通りよ。」


ミュアが珍しく話した。そして言葉を続ける。


「薄々気付いていた。貴女は宇木風梓由の妹を救いたい思いだけで誕生したのかと思っていたけどそれは違う。貴女は元々別の存在よ。」


「・・・・・・。」


今度はミーアが黙る番だった。この二人は元は一人である・・・と思われがちなのだが違う。実は二人は全くの別人である。


「おそらく悪夢神は何かをするために雪美を仮死状態にして私の中に貴女という存在を植え付けた。私たちは元々は違う人間だったって貴女も気付いていたんでしょ?」


「・・・・・・ええ、そうね。だけど私には貴女と一つになる前の記憶はないわ。私にあるのは雪美を救いたいって気持ちだけ。それに昔のことなんて興味ないわ。今が大切・・・・・・でしょ?」


ミュアはいつも考えていた。雪美を救いたい気持ちは一緒なのに何故対立してしまうのかと。今回は自分から仕掛けたがそれは・・・ミーアの暴走を止めるには力を示すしかないと思ったからだ。本心は戦いたくない・・・そう思っていた。


「今考えていること、当てよっか?私たちがどうして分かり合えないかってことでしょ。」


「・・・そう。悪夢神を倒せば雪美も目覚める。なら協力するのが一番・・・だけど、協力できない理由がある。」


「・・・・・・」


ミュアにも見当はつく。恐らく雪美の命がかかっているのだろうと。仮死状態に出来るのなら本当の死を与えるのはあの悪夢神になら難しいことではないはず、そう結論づけていた。

そしてミーアの本音が飛び出す。


「・・・そうよ。本当は私だって悪夢神を倒したい!でも・・・現実世界にある雪美の身体の生死はあいつが握っている。逆らえるわけ・・・ないじゃない・・・・・・。」


目を少し潤ませながら語るミーア。その言葉に嘘偽りはないことはすぐに分かった。そしてミュアは提案する。


「じゃあ貴女に姿を返す。それで完全に元に戻るのだから、その力で雪美と悪夢神の繋がりを切れないかな?」


「それは・・・・・・・・。」


できない・・・そう言いたかったのだと推測するが気持ちは分かる。ミーアは悪夢神により作り出された存在であるため創造主に勝つことなど不可能に近い。

・・・だが可能性がないわけでもない。そしてそれが都合よく起こったのも彼女たちに運が向いているからなのかその逆か・・・・・・誰にも分からない。

それは突然スピーカーから聞こえてきた。



「秋の島の対決、青龍選手と泰人選手のリタイアを確認。残ったのは沙汰選手只一人です。」



放送を聞いた二人は顔を見合わせる。二人とも焦った表情をしていて気持ちは同じようだ。

因みにスピーカーは確かにミーアが作り出したのだが、基本ミーアを通じず自動で動いているため参加者であるミーアは周りの状況をスピーカーでのみ知ることができる。これは他の参加者と同じ条件にしたいと自分で思っていたからのようだ。


「・・・泰人が・・・・・・リタイア?」


ミュアは相当響いているようだが、そんなミュアの姿を見てミーアは少し冷静になることができた。

泰人のリタイアは王子隊にとっては一番ダメージが大きい。・・・逆を返せば悪夢神は今かなりの喜びで浮ついた気持ちになっている可能性が高いということだ。つまり・・・今が好機!

ミーアが思うに沙汰は裏切ったように見せているだけできちんと泰人たちのもとに帰ってくる可能性は100%。ということは悪夢神を倒せば後は全員で祇亞と戦えば間違いなく勝てる、そう結論づけて未だに動揺しているミュアを落ち着かせるために言葉を紡ぐ。


「落ち着きなさい。・・・これはチャンスよ。今なら悪夢神は油断をしている可能性が高く奇襲が上手くいくもしれないわ!」


「・・・・・・あ。」


ミュアにも理解できたようだ。だが泰人がいなくなったというダメージは大きい。立ち直るのは難しい・・・ように思えたが



ギュッ



「え?」


ミュアは驚いた。なぜならミーアが彼女を抱きしめたからだ。

図としては泣きそうな大人の女性をを少女が抱きしめている光景でちょっとアンバランスである。それを桜が彩りとても美しい。


「・・・ごめんなさい、私のせいでみんな不幸にして。私は雪美のために全てを捧げてきた、だけど自分の罪の重さは痛いほどよく分かってるつもり。だから・・・いいえ、これで清算できるなんて思っていないけれど、それでも私に出来ることはこれしかないもの。」


ミュアの目を真っ直ぐ見て話す。ミーアは今まで悪夢神によって罪を重ねてきた、だがそれも全て雪美の幸せを願ってのこと。それが痛いほどよく分かるからミュアにはミーアを責めるなんて事はできない、それよりもいまのミーアになら協力したいという気持ちが強かった。


「・・・待ってて。今元に戻すわ。」


そう言うと術式を展開し、それを発動する。

すると光が二人を包み姿を変えていく。






光が止むとそこには変わらずに二人・・・いや、変わらずに見えた二人も雰囲気が違った。

ミーアは目を開く。


「・・・ん、どうやら元に戻ったみたいね。全盛期の力が漲るのを感じるわ♪」


ミーアは喜んで自分の身体を確かめている。そんな彼女に続くようにミュア・・・梓由も目を開く。


「・・・成功してよかった。久しぶりの私・・・・・・」



ストーン



自分の身体を見た梓由だがそこには何かがなかった。今まであったもの・・・おおきなおおきな何かである。詳しく言ったら可哀想なので省きます。

元に戻った二人はそれぞれ確認を終えて手を繋ぐ。


「本当にいいのね?私一人でもいいんだけど・・・」


「私の妹のために動いてきた貴女を一人で行かせるわけないよ。行くなら一緒だよ。」


そう言いニコッと笑う梓由。感情も戻ったようで元の宇木風梓由である。

その笑顔にミーアも笑顔で答える。そして移動の術式を展開する。


「行こっか。すべてを終わらせるために!」


「うん!」


そして二人は悪夢神の待つ観客席へとジャンプした。










続く・・・前に莉麻と祇亞は・・・



チーン



「あ、クッキー焼けたよ。」


「・・・全くなんで俺がこんなことに付き合っているんだ・・・。」


春の島特設料理ステージにてお菓子を作っていた。





今度こそ続く


どうでしたか?クッキーはチョコチップクッキーです(笑)

さて補足としまして、ミーアとミュアです。ミーアの姿はそれだけで力があります。流石は光の精霊ですね。胸の大きさもとびっきりです!

というわけで今までは梓由の姿だったため力も完全ではなかったわけですね。今回でついに完全体になりました。全盛期通りなのでとんでもなく強いです。

さてこれで終わりが近づきました。残り10話です。それまでに終わらせます・・・多分。

次回はついに光の精霊対悪夢神です。それと並行して莉麻と祇亞の対決?も書いていきます。どうしてお菓子作りをしているのか、それが明らかになります。

次の投稿は未定です。次の話の大まかな流れは決まっているのでできるだけ急ぎます。

それでは皆さん、暑さに負けず水分補給はまめに取り元気でまた次回お会いしましょう!!

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