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第6話 言葉は伝わってる……のか?

2000文字も行かないし、短いですよねぇ……解かってはいます。

漫画にしたら3Pくらいですよね。


どうもすいません。

 さて、離乳の時期になったらしい。

 中身が人間でしかも良い大人だったから、離乳と言われて母が恋しいと言う事はない。


 ……いや、本能的に凄く離れたくないと言う気持ちは沸いている。

 本来ならまだ身体が出来ていなくて群れで守られるべき存在なのだから、本能が嫌がるのも仕方が無い。


 しかし、自分は競争馬でありこの時期に母から離されて牧場の群れを形成しなくてはいけないと知識として知っているから、ある意味覚悟完了しているようなものだ。


 自分、中身は大人ですから。


「マルスは賢いねぇ。 他の仔もこんなにスムーズだったら良いのになぁ」


 ボーイッシュなこの女の子の名前は理穂ちゃんと言うらしい。

 おじさんに呼ばれてるのを耳にした。

 この牧場の紅一点……でもないけれど、若い女の子はこの子だけだ。

 当然ながら俺としてもお気に入りだ♪


 ……中身が人間なんだから、人間の女性を気に入っても良いだろ?


 返事をするように嘶いてみる。


「本当に賢いし、可愛いし♪ 立派な競争馬になるんだよ?」


 おぉ! おっぱいに包まれておる! 顔をぎゅってされた!!

 興奮してる、走り出したい!

 でも我慢だ…… 仔馬とは言え、それなりに力があるから吹き飛ばしてしまう。

 理穂を怪我させるわけにはいかない。

 キリッ☆


(いーやーだー! いっしょにいるのー!)

(あらあら、そっちに行くの?)


 他の馬の気持ちが聴こえたような気がした。

 まさに悲痛な嘶きとともに伝わってくる。


 母馬は牧童に引かれ連れ出され隔離される。

 ドライにも感じるが……すでにサラブレッドとして人間に慣れているからだろう。

 そして子供は本能の赴くままに寂しがっている。


「おーい理穂ちゃーん。 ちょっとケレスを押さえておいてくれないか?」

「あ、はーい」


 顔が解放されてしまった……寂しい……

 ママのおっぱいよりも人間のおっぱいの方が安心するのは、自分がまだ人間の方が強いのだろう……


 しかし、良い所を見せればまた抱きしめて貰えるかもしれない!

 トコトコと常歩で後ろをついていく。


 ……そう言えば、「野次馬」と言う言葉は、老いた「おやじ馬」が後を付いて行く姿から出来た言葉だったと記憶している。


(あーん!ママー!)

(お前はスネ○かよ)

(ん……だれ?)

(俺? 俺はマルスだ)

(……なんかコワい……)

(聞いて来たのはお前だろ?)

(おこってる? なんか、おこってる?)

「おや? ケレスがマルスに怯えてる? 大丈夫だよ~」


 理穂がケレスをギュッとしてる!

 イラッ!


(コワい! こいつ、コワい!)


 ケレスが怯えて、さらに強く抱きしめられている。

 羨ましい!


(おまえには、言葉が伝わらないのか?)

(どうしたの? なになに?)

(……きこえますか……ケレスよ……今……あなたの……心に……直接……呼びかけています……返事です……返事をするのです……)

(どうしたの? わけがわからないよ)


 結論、伝わってない!

 おもわず、理穂の方を向いて首をかしげてしまう。


「ん? どうしたんだい、マルス」


 きょとんとした顔も可愛い。

 いや、そうでは無くて……意思疎通が出来ない。



 あ。



 そっか。 馬のコミュニケーションは『察する』であって『テレパシー』ではないんだ。

 そうなると人間的な思考のままでテレパシーのように『言葉』を伝えようとしたら、それは無理か。

 そもそも、馬の言語なんて無いし。


 馬になって痛感する『言葉を使ったコミュニケーションの素晴らしさ』ってやつだ。

 逆に言えば、嘘は付けないとも言える。

 そもそも、嘘をつこうとするって発想すら無いだろう。


(大丈夫だ。問題無い。キリッ☆)


 とりあえず、何でもないと言う事を自信満々で伝えることにした。


(ねぇ、いっしょにあそぼう?)


 ケレスは尻尾を立てながら走っていく。

 遊ぶと言うのは、一緒に走る事……かな?


(よし、走ろう!)


 確かに走るのが楽しい。

 これはきっと馬の本能なんだろう。


 言葉は解かるけれど、そもそも馬に言葉は存在しない。

 それが判ったのは大きな収穫だと思う。


 と言うか自分の存在が特殊過ぎるんだよな。

馬のコミュニケーションはどのように行われているのか、馬じゃないから解かりません。

そりゃそうです。僕は人間ですから。


でも、馬を見てると言葉は解からなくても察して他者とコミュニケーションを取ろうとしているように感じたんですよね。

なので、僕個人的な想像のシステムですが、『感情に色があって、その色は伝わる。そこから何を伝えたいのかを察する事によって成立するコミュニティ』と言う理屈で今後も馬同士のやり取りをしていこうと思います。

なので、具体的に言葉になっていますが、これはマルスが意訳してるとか、そう言ってそうだなって感じてると言うニュアンスです。

だって、言葉と言うものだって日本語と英語とフランス語で伝わらなくなるわけで、人間の言葉、しかも日本語が馬の世界に存在するわけないですよね。

同時に、感情が伝わるだけのコミュニティってことは外国産馬と国内産馬でもコミュニティは成立すると言うわけで……説として、アリじゃないですか?

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