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第3話 気持ちは伝わっている……のか?

2019年の仕事納めが出来まして……やっと書く時間が作れた……

ちょっと短いですが、宜しくお願いします。

 馬の身体にも慣れて気がする。


 そんな事を考えた次の瞬間、猛烈な空腹感に襲われた。

 最初にアブンダンティアのおっぱいを吸った以来、頭脳だけが人間になってしまった事にパニックに陥った。

 それゆえに気付いていなかったのだが……なんだかんだと、結構な時間が経過していたらしい。


 おそらくだが、頭脳が馬のまんまだったら立ち上がったり身体の使い方を本能で解かっていただろうし、視野の広さや聴覚の鋭さに戸惑ったりしなかっただろうに、大いにパニックに陥った結果、空腹も気付かずに馬の身体に慣れる事に集中していたのだろう。

 人間も動物もなんだかんだと順応するわけだから、いずれは人間の思考のままこの身体に馴染む事が出来ると思うし……まずは、空腹をなんとかしよう。


(おいで)


 声が聞こえたわけではないが、呼ばれている気がする。

 その方を見たら、アブンダンティアだった。


(おいで)


 まるで声が聞こえるように伝わる。

 全身からメッセージを発しているようだ。

 とりあえず、行こう。 そして、おっぱいを貰おう。


 近づくと、飲みやすいように体勢を変えてくれた。


(何も不安に思わなくて良いんだよ)

 ドキッとした。

 そして、そのドキッとしたのも伝わったらしい。


 思考が人間のままだからなのだろうけれど、言葉じゃ無くて伝わるこの感覚がとても心地がいい。

 冷静に考えてみれば、おかしな状態である。

 おかしいけれど、今自分は生きている。 馬として。


 サラブレッドと言う馬は、強く無ければならない。

 まして雄ならば、成績を出して経済価値を高めないと、その先は暗い。


 日本の競馬会における出生数はだいたい七千頭。

 サラブレッドは基本的にレースに出走するために生まれてくる。

 出走にこぎつけるのは約半分だと聞く。

 じゃあ、出走出来ない馬はどうなるのか……多くは殺処分だったはずだ。

 食肉にするには適さず、乗馬用にするにしたって何万頭も需要があるわけじゃない。

 野生の動物では無いので、野に放たれるわけじゃないので、生きているだけでお金がかかる生き物なのだ。


 生存戦略だなんて簡単に考えていたけれど、文字通りの意味であり、失敗した場合は……死。


 やるしかない!

 生き残ってやる!


(急に元気になったね)


 漲るやる気が伝わっているようだ。


 ……ん? これって「サトラレ」状態ってことなんじゃないか?

 そう考えると、コミュニケーションの取り方が解かるような気がする。



「アブンダンティアの子、順調のようだ」


 人間の女性の声がした。

 生まれた時にサポートをしてくれた人だ。

 ……ショートカットに作業着、色気は乏しいが爽やか美人と言う感じで、好ましい。

 でも、今は馬だからどれだけお近付きになっても恋愛関係にはならないわけだが……


「生まれてすぐは動きが悪くて、駄目かと思ったぞ?」


 バシバシと叩いてくる。 結構良い音が出ているが、そんなに痛く無い。


(まぁ、大丈夫でしょう)


 アブンダンティアは平然としているから、日常的なのかもしれない。

 馬は繊細な生き物だから、そんなバシバシ叩いて大丈夫なのか不安に思うけど……とりあえず、美人に叩かれているだけだし、問題無いか。

 むしろ、こっちも何かアクションを取りたい。

 ……甘噛みをしてやろう。

 こう、やさしくハムハムする……


「痛っ! こら!」


 びくっとさせてしまった。

 ……力加減を間違えたらしい……まだ子馬とは言えそれなりに力があったかぁ。


「まったくもう。 ま、やんちゃなくらいの方が安心出来るけどね。 そうだ、お前の名前はマルスだぞ。 アブンダンティアがローマ神話の神様の名前らしいから、同じローマ神話で有名な神様の名前だ。 勇ましい戦いの神なんだ。 お前も、強い良い馬になれよ」


 なるほど。 俺の幼名はマルスになったらしい。

 縁起も良い名前じゃないか? そう言えば、競馬漫画にマルスって居た気がしたな……

 とりあえずヒヒンと返事をして今度は頬擦りをしてみる。 これなら多少力加減が甘くても大丈夫だろう。


「お♪ 喜んでくれるのか? 頑張れよ、マルス!」


 感謝の気持ちが伝わった様で何よりだ♪

 人間の喋っている事が解かるってだけでも、かなり便利だな。

 期待に応えようじゃないか♪

この正月休みのうちに、競馬場まで話を進めたいなぁ……

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