ep.I
これは2周目なんだろうか。
現状に満足して、今ある世界が幸福だと感じて止まっている。
例えば、車を運転している時。
たまに実感がない時は無いだろうか。
睡眠欲に駆られ意識が朦朧としているとは違う。
スマートフォンやタブレット端末に気を取られている時とも違う。カーナビを操作している時の漠然さとも違う。
ただ、自分が運転しているのに運転している自分を後ろから見ているような、そんな他人感。もちろん、夢ではなく現実で実際に車を走らせ目的地に辿り着くのだけれど。
これは現実なのか?夢なのか?
そういう疑問が頭の中を駆け巡る時がたまにある。
実感がない。と言ったが、もっと分かりやすく言えば、現実感がない…かな。もし、運転中にこの手を離したら何かが変わるだろうか、今、運転してるんだっけ?と思ってしまう。ゲームのチュートリアルのように、間違っても失敗しても成功に導かれるように。
例えば、締め切り間近の提出物がある時。これは本当に自分自身が今、この瞬間にやらなくてはいけない、この瞬間の時間を使ってやるべき事なのか、と迷ってしまう。本当にやりたかった事なのか、と。その過程に必要不可欠なのか、と。
必要性を問いただしている。不必要な疑問なのに。
これは無駄だ、と分かっていて、分かりきっていて理解していてもうとっくに演算し終わっているというのに、繰り返す。だらだらと。ひたすらに無意味を。
そしてそれまで期限を過ぎるまで、期限を過ぎて事の重大さに気付かされるまで危機感を感じない。これは最早、病気だ。