表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

幸せな夫婦喧嘩

「ふざけんじゃねェェェェェ!!」


バンッ。叩きつけられた花瓶は無数の輝く光となり愛する妻に降り注ぐ。

もうどちらのものかもわからない真っ赤なシャワーを浴び、2人とも言葉でさえない言葉で討論を続けておりました。


「あんなのができちまったからいけないんだ!あんなものは無いほうがいい…」


「もの…ものじゃ無いわ子供よ!それもっ…わだしたぢのっ…」


最初に言い出したのは妻でした。はじめは冷静に反対していた夫も、繰り返す暴力により平静を保てず、自分がもうどうするべきか、どんな意見かさえももうわからなくなっていました。


「でもあなたもはじめはそんなことっ…」


「はじめがどうした!あんな化け物が何に必要とされてるってんだ!」


もう3ヶ月となった太郎は化け物と呼べる程の───いいえ、化け物よりも化け物に近いかもしれない何かとなっておりました。

こんな息子など、もう両親にはどうすることも出来ませんでした。


「…………犯罪」


「あぁ。でも…」


犯罪。

太郎がしている事。

両親がしようとしている事。

罪。

太郎の存在。

両親によぎった考え。


「それでもあれは俺たちの息子だァァァ!!!」


森の木の葉は散り、羽ばたく小鳥の羽は舞い、小川の流れが止まった。

───それくらい、その言葉には力があった。

彼女に対して、は。

その瞬間、戸惑いの混ざっていた彼女の目は一気に透き通ったものへと変わってしまいました。


妻が発した『育児放棄』。重く響くその言葉は、いまの状態の始まりであり

………そして終わりでありました。


「「ハァ…ハッ…………ハァァァ…」」


ようやく結論を導き出したらしい2人の「夫婦喧嘩」は、どこの夫婦にもある喧嘩と同じで。

最後はお互いを分かりあい平和に平和に、幸せに幸せに、解決する事となりました。


──────それは、「愛する息子、太郎の放棄」と言った方法で。


この後、斧を買いに行った太郎はこの部屋を見てどうなってしまうのでしょう。

むせかえる血の香りに興奮を覚え、また狂乱を繰り返すのでしょうか。それとも紅く輝く部屋に疑問を持ち、そして両親に…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ