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顔が命の男  作者: 中田海
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プロローグ

僕は10人いれば8人は世間一般でいうイケメンと答えるであろう顔をもっている。昔風に言えば男前、ハンサム、美男子というところだ。ただそんな見た目がほぼ完璧であろう僕にも外見の欠点がある、ただ皆には気づかれていないが。それは髪質が極端に硬いのだ。そして多い。これは髪質薄め、一般にハゲと言われる部類の方々にとっては憎たらしい事この上ないといったところであろう。僕もハゲはいやだ、ただ何事も極端であってはいけない。やはり無難に中間が良いのである。これはこんなイケメンな僕が人生の夏休み、学生生活最後にして最も自由できらきらな時間をおくれると評判の大学生になる3日前に新生活、かっこいいと女子に評判の男子になるために美容室にいき爽やかさをだそうといつもは長めのところを短く短髪で注文し物の見事に変な髪型になってしまったかわいそうな大学生の物語である。

さてここまで読んだ方は疑問に思われるかもしれない。髪型くらいどうだっていいじゃないか。だってイケメンなんだろう?問題ないじゃないかと。確かに髪質がさらさらであれば問題はないのかもしれない。ただ僕は日本一髪質が硬いと思っている。毎朝のセットに小一時間もかけているのだ。それも髪の毛を長めにしているおかげでなんとかワックスの高等技術でごまかせた。そしてなぜ僕がこれほど自意識過剰なのか。それは中高時代にさかのぼる。当時僕はいじめられていた。ただいじめられっ子はわかると思うがどうしても自分はいじめっ子や周りの人間に比べてここが優秀なのだ、とそれを砦にして自分を守るのだ。それは僕の場合は顔だった。当時は僕はお前らに比べて顔がかっこいいんだ、優れているんだ、ブスめとか思ってしのいでいた。そのために、僕は顔がかっこよくてはなくてはならない。それが僕の存在意義なのだ。そう思って五年近く生きてきた。それも大事な思春期の時期にだ。そんな僕が髪を変に切られてしまった。いくら僕でも修正のしようがない。唯一の取り柄であった僕のかっこよさが失われてしまった。この醜い髪型によって。他の人はもっと違う事で自分を保っている、自分の存在意義にしているのかもしれない。例えばスポーツとか。ただ僕の場合はこれまでひどいいじめから僕を守ってくれていた唯一の牙城がだった一瞬にして失われてしまった。最後の砦が陥落してしまったのである。ああ、明日からどうやって生きていけばいいのか。髪の毛が伸びるまでには時間がかかる、それに大学の入学までにはあと3日しかない。どうやったって間に合わない。途方にくれてしまった。

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