『誰か』になりたくて
他の『誰か』になりたくて
苦手なことばかり挑戦した
頑張れば出来ると信じて
弱音も吐かず
ただ淡々と
やるべきことをこなしてきた
真面目に
正しく
完璧に
そして平等に
出来ると信じて頑張った
それなりの責任と
それなりの地位を得て
『強いね』と言われるようになり
恐いものはなくなった
けれども今は
自分がわからない
他人の『心』もわからない
何のために
誰のために
今ここにいるのか
もうわからない
大事な人や
故郷を捨ててまで
なりたかった『誰か』とは誰?
それでも
『誰か』になりたくて
厚く厚く
ドウランをぬったくったような顔で
他の『誰か』のふりをして
主役のいない舞台に立っている