狩猟神との生活
書きやすい。やっぱりこういうほのぼの系の方が合ってるんですね。
「肩車して下さい!」
「俺の腰をお釈迦にしたいのかお前は」
「鍛えれば大丈夫です!」
とある森in桐嶋和也withアルテミス。
結局ギリシアの神々に保護される事となった和也は、アルテミスの家に居候している。
「和也さんに肩車してもらうと、遠くまで見渡せるし、楽しいんですよ?私より頭一個分位大きいから、いつもより高くなるんです」
だからして下さい!とキラキラした目で和也を見上げるアルテミス。和也は純粋な人柄を好む方だが、これはやり過ぎだと思う。
(まるで子供だな)
勿論見た目のせいもあるのだろうが。
幼い顔立ちに腰まであるポニーテール。毛皮をなめして作った衣服は、彼女のポニーテールにとても良く似合っている。身長は160cmとまあまああるが、180cm程ある和也から見るとまだまだ小さい。姉妹であるペルセポネと比べると、まるで正反対の容姿性格をしてる。
「…むー」
と、アルテミスがむくれている。何かしたっけか…?と和也は考える。が、理由は分からなかった。
「お父様と同じ顔してます」
「そんなに皺は無いと思うが」
「子供を見る目付きと顔なんですよー!!!」
ぽこぽこ、とアルテミスは和也にパンチをしながら、
「ペルセポネにはそんな顔しないじゃないですか!!」
「だってお前子供じゃん」
「むきーっ!!!」
そのまま暫くパンチし続けていたアルテミスだったが…少しすると、ピタッと動きを止める。
「どうした?」
「晩ご飯です」
「おい、人の身体をよじ登るな、そして弓を構えるな」
「じっとしてて下さいよー…」
「締まってる、お前の足でいい感じに首が締まってるから」
そんな事を気にもせず、彼女は表情を引き締める。
目標は、100~150m程先の鹿。
風が止み、弓を限界まで引き絞る。
そして、溜めていた力を一気に放つ。
ドンっ!!という、矢を放った音とは思えない程の轟音と共に、矢は真っ直ぐ鹿に吸い込まれて行った。
「やった!!!…って、あれ、和也さん?」
気絶していた。
「だから鍛えれば大丈夫って言ったのに…」
そう言いながら、ずるずると和也と鹿を引きずって行った。
先は酷い目にあった、と和也は思った。
(気絶はするんだっけか)
何百年ぶりだろうか。
そんな事を考えながら、和也は夕食作りに精を出す事にする。
分かった分かった。直ぐ作るからフォークとスプーンから手を離す。
今日は鹿のスペアリブをシチューにする事にした。それ以外はバターミルクに付け臭みを取り、塩漬けにして保存する。
まずはスペアリブを一口サイズに切り、小麦粉、コショウと一緒に袋に入れて良く振る。
フライパンでバターとサラダ油を熱し、其処にスペアリブを投入。強火で焼き、綺麗に焼き上がったところで鍋に移す。
次に薄く切ったタマネギを、先程のフライパンで弱火でじっくり炒める。これも炒めたら鍋に投下。
乱切りにしたニンジン、トマトジュース(アルテミスが絞った)、水を鍋に加え、強火で煮込む。煮立って来たら、灰汁をすくい弱火にする。
香辛料を入れてフタをしたら弱火で一時間弱煮込み、金時豆、チーズを入れて、塩で味の調節をする。仕上げで十分、焦げ付かない様に気を付けながら弱火で煮込めば完成だ。パンも忘れずに。
「「頂きます」」
うん、美味い。トマトとチーズが良い感じに鹿とマッチしている。
(次は鹿カレーでも作るか)
「お代わりです!!!」
「はいはい」
そうして、少し騒がしい晩餐は過ぎて行った。
その次の日に、ペルセポネが来てちょっとした姉妹ゲンカが起きるのだが、それはまた別の話。
面白いと思ったら是非評価を。
スペアリブのシチュー美味しいよ!是非作ってみて下さい。