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悪戯王と主神と怒れる店主

何故か筆が進む…だと…?

バタン!!!

「うぃーっす!!」

「帰れ」

「えぇ、それは無いっすよ和也さーん」

…こいつか、と和也は内心頭が痛くなる思いで、騒ぎ立てる少年を見る。

ロキ。

紫と紺が入り混じった様な色の髪をしていて、動き易さを第一に考えながら、北欧神としての豪華さも最低限備えている服を着ている、北欧の方の悪戯野郎だ。

身体が小さく、やんちゃ坊主と言った印象が強い奴だが、これでグングニルやらスキーズブラズニルやらミョルニルやらを作らせたというのだから世の中何が幸いするか分からん、と和也は何と無く思った。

「お前さ、暇なのか?」

「おうよ、だからさ!!和也さん、一緒にどっか悪戯に…」

「却下」

えぇー!!とロキは又不満を口にする。

「騒ぐな、ここは喫茶店だぞ?お前の遊び場でも無いし、俺はお前の悪戯に構ってやる程暇でも無い」

ぐぎぎ、とロキは苦悶している様な表情でひとしきり和也に不満を(というか罵倒を)浴びせ掛けた後、テーブルに何かを置き帰って行った。

「…?」

手紙。

しかも、今のご時世ラブコメ漫画でしか拝めない様なハートのシールで封がしている。

いや、と和也は考える。これは恐らくあいつの悪戯の内の一つだ。例えば、中に入ってるのは魔物だったりとか。

開けた瞬間、びっくり箱の様に槍が飛んで来るとか。

(…まあ、どうせほぼ不死身だし)

そんな事を思いながら、封を切る。

中身を見ようとした、その時。


轟音と共に、喫茶店が爆発した。

錐揉み回転しながら30mも飛んだ和也は、上下逆さまになりながら全壊した「黄昏」を眺める。

「…殺す、あいつは絶対殺す」

久しぶりに負の感情が湧いて来た気がする。

まあ、

「…まずは寝床か」

腹が減っては戦は出来ぬ。

そんな事を考えながら、和也はある場所に出向く事にした。






「武器貸してくれ」

「…はあ」

頭が痛くなる、と主神オーディンは思った。

「あの喫茶店、壊れたのか」

「ロキが『壊した』、だ」

再び、オーディンは大きく溜息をついた。

深い藍色のマントに、良く手入れされた長い髭。白髪も髭と同じ様に伸ばしたのか、腰辺りまである。

片目を潰し、首を吊ってまでルーンを開発した、偉大な人物ではあるのだが…こうして見ると、孫のやんちゃさに困っている唯のお爺ちゃんである。

(どうした物かな)

すると和也が、

「良し、こうしよう」

「?」

「処罰はお前に任せるよ。俺がやると殺しかねない。…その代わり、腕利きの職人を頼む。『黄昏』をキチンと再現できるレベルの職人を、だ」

「分かった」

この男は爆弾だ、とオーディンは思う。

ギリシアの主神とは万年単位の付き合いがあり、冥府の女王に好かれており、同じく冥府の王を配下(?)に置く。

日本の太陽神とも親交があり、更には様々な神の舌を満足させる料理の腕。

事実、彼自身も彼の作る料理は大好物だ。

その男がここまで怒っている、というのが彼ら、若しくは彼女らに知られたら、ロキは少なくとも生きては居られないだろう。

いくら悪戯好きと言っても、義兄弟にそんな事にはなって欲しくない。

(あの男を抱え込むのは大変そうだ)

そう思いながら、彼は和也の淹れたコーヒーを飲むのだった。

(…苦っ)

甘んじて受け入れるか、とオーディンは腹を決め、チビチビと飲む事にした。

結局、飲むまで三十分程かかったそうな。





この後、ロキが自分で直しに来て偶々居合わせたゼウスにボッコボコにされたり、和也の寝床をどうするかを神界全体で決めたりするのだが、それはまた別の話。


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