始まりは、小さな洞窟・・・なのか?
諸事情でクリカラの名前を変更いたしました。突然の変更申し訳ございません。
岩の壁がむき出しとなった、畳二枚分有るか無いかの小部屋に、二つの影が有った。
「いや~ようやく我も一国一城、いやダンジョンの主と言うわけだな」
「何処がですか、このヘボマスターが!」
二つの影、それは赤の着物に笠をかぶった少年と、それに向き合う一人の角の生えた少女の姿であった。
「そもそもマスターの同年代が必死こいて魔王様の元で文官やら武官やらで仕官してるのに何時までたっても自宅でグ~タラしてるのに怒り狂った親方様に追い出されたが事実でしょうが!」
「ははは、その通りだが何時までも途方に暮れてもしょうがないだろう、ここは前向きにいかんとな・・・・・・それにダンジョン作りには興味があったしな」
「はい? マスター、追い出されたショックで可笑しくなられましたか?」
今までの少年を知る少女は、明らかに違いすぎる少年に、ついに壊れたのかと疑った。
「失礼な! いいか、ダンジョンとはすなわち、入ってきて捕らえた女達に何をしても許される、そんな夢のような存在なんだ! 普通では絶対にゲームの中でしか出来ないあんなことやこんなことがやりたい放題! その気になれば好みの女性でハーレムも! どうd(ズバン!)グフォア!!」
何処からか取り出したハリセンで彼をぶっ叩いた少女は顔に青筋を大量に浮かべながら大声で突っ込んだ。
「そんなしょーも無い、おかしな知識何処で仕入れてきやがったこの馬鹿マスター!?」
「これらだが?」
差し出されたものを見た少女はあまりの事態に卒倒した。
なぜなら、“魔王様直筆!!~素敵なダンジョン経営、これさえ読めばあなたも後宮が持てる~”に、“捕らえて陥せ、鬼畜ダンジョン”といった明らかに青少年が持っていてはいけない物が多数目の前に展開されたのだ。
「現魔王様は若い頃はダンジョンマスターとして多くの人間や光の亜人達を捕らえ殺し、女達を虜にしてあれだけの後宮をお作りになられたんだ、例え魔王様に及ばなくても男の夢たるハーレムを!」
「あ、頭が痛い、そりゃあ魔王様は後宮にありとあらゆる種族の者を揃えてるのは有名ですけど、それに続こうとするって・・・・・・」
あまりの事態に頭を抱える彼女を尻目に、少年は立ち上がり、目の前に一冊の古びた書を浮かべ、呪文を叫んだ。
「ダンジョン・クリエイト!! 階層設置!」
叫びと共に少年の足元に魔方陣が展開され、大きな音と共に階段が現れた。
「うむ、初めてにしてはうまく出来たな、そう思わんかナズナ」
「・・・・・・ええ、初級魔法しくじったら私は実家に帰らせていただこうかと思ってたんですがね、成功したようで何よりですヴリトラ様・・・っち(ボソ)」
小さく舌打ちしながらまナズナと呼ばれた少女は、主である少年テイロンの後について階段を降りていった。