プロローグ:モブ勇者ノーマン
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その男、ノーマンは、どこまでもいっても勇者に似つかわしくない男であった。貴族の出自でもなければ、何かしら成し遂げたの英傑の息子でもなく、ただの無価値な存在にすぎない。
故郷の村で細々と暮らす少年は、16歳の誕生日に開かれる成人の儀。この世界ではその者が何になるかを決める運命の女神ファルテッサから、300年に一度降臨する魔王に対する対抗策=勇者として選ばれた。
そんな彼の周りには、故郷の村から着いてきた幼馴染の剣士、中央教会で次期聖女と目される僧侶、貴族出身で在りながら平民や奴隷にまで対等に接する弓使い、魔導学校で神童とまで謳われその後は教授として教え子を導き続けた魔導士が居た。
彼という存在には勿体なさすぎるような美女美少女が彼を愛し支え続け、師となる剣聖とも呼ぶべき男や先代の勇者パーティの魔術師が残した遺産などの様々な知見との出会いが彼の冒険に深みを与え、魔王軍に与し力に溺れた黒騎士との別れや魔王軍四天王との熱き死闘の数々が物語を盛り上げた。
そして遂には勝てるはずもないと思い込んでいた魔王本人を倒すまで至った。
彼は冒険に出てから魔王倒した今に至るまで常に疑問が付き纏っていた。なぜ何もない俺なんかが勇者に選ばれたのか?故に、彼は周りにいる無条件で勇者を肯定し愛することを宿命付けられた仲間達ではなく、勇者と敵対し惑わせ最期には勇者に撃たれることを義務付けられた魔王の死に際の言葉が胸に刺さった。
貴様は何故勇者で在り続けるのか、そもそも貴様は何者なのだ?
女神ファルテッサから勇者に選ばれなければ、モブ村人Aとして存在する片田舎の村で一生を終えるだけの凡百な男。勇者として選ばれて人生の全てを変えられてしまった男…それが勇者ノーマン・ファルヴァー
彼には定義されていない特別な出自も目的などは存在せず、ただ勇者として魔王を倒すために選ばれた役割を演じ続けさせられる存在。
それが勇者ノーマン
観測者の気紛れで自我を持ち得ないモブNPCに特別に勇者の役割を与え生み出されてしまった存在。故に彼の名はノーマン・ファルヴァー、永遠に何者でもない男。
魔王討伐を成し遂げたノーマンを、白一色の神秘的な空間に転移させた運命の女神ファルテッサをこう尋ねた。
勇者、ノーマン。魔王討伐おめでとうございます。
魔王討伐特典として、貴方には好きな願いを叶える権利が与えられました。
貴方はこれから…世界を統べる覇王として君臨するのでも、貴方の周りの女性だけでなくこの世界の美しい女性を全員手にするのでも、誰かを蘇らせるのでも、この世界を理想郷に書き換えるのでも、いっそ魔王として世界を侵略するのでも構いません。
願いを叶える機会をこの一度きり、貴方は何を望みますか?
ここから始まるのは、モブでしかない存在が与えられたロールを逸脱し、自分の生きる目的を探すことを決めた1人の男の長い長い旅の話。本来なら出会うはずのない、その場にいてはならない者達により織りなされる群像劇。本来なら始まることすら許されないイレギュラーイベント。他の勇者や魔王、その他たくさんの英傑逸材達が1人として成し遂げられなかった観測者が待ち望んできた偉業。
もしかしたらあり得たかもしれない可能性を集めた英雄譚の幕が今開かれる。
端的にいうとこの後ノーマンは仮⚪︎ライダーデ⚪︎ケイドみたいに、統一感のない様々な世界を旅していきます。剣と魔法の世界から、宇宙人出てくる世界まで。




