『親愛なるMへ』
――親愛なるMへ。
あなたが屋敷を去ってから、早いことにもう数日が経ちました。
お元気にしていますか。
叙任と同時に組織を立ち上げ、早速いくつかの事案を調和に導いてみせたその活躍ぶりは、例の桜の件も含めて、私のところにも届いています。
今も、そしてこの先も、あなたはきっと忙しない道を歩んでいることでしょう。
無理をするな、などと言える立場ではもうありませんが、しかし時には立ち止まり、自らの起源を見つめ直すことをどうか忘れないように。
これは友人として送るささやかな助言です。無論、多少の自戒も込めて。
さて――同封した品は、既に確認されたでしょうか。
そちらは先日、あの八日間に起きていたことの顛末を報告した折に、ご厚意でいただいた物です。
私の手元にも一つあります。
彼女は再びお茶会への参加を勧めてくれましたが、残念ながら、その機会はしばらく訪れないでしょう。
プロジェクトが進展した、と記すことであなたも得心がいくと思います。
あれから私も忙殺される日々に見舞われており、直接会う時間を確保することすら難しくなってしまったため、こうして筆を執った次第です。
私たちは同じアプステラの海を揺蕩いながら、場所を遠く違えてしまいました。
それでも同じ時に、同じ紅茶を頂くことで、あの短い日々の中で確かに結ばれた友情が、心を温めてくれる。
この寂寞のさざ波に抗っていけると――信じています。
だから、いつものティータイムで待っています。
……どうかあなたも、私を待っていてください。
それでは、あなたの歩む反逆の航路に、多くの幸福が溢れることを願って――。
――あなたの友人、もう一人のMより。




