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はじまり

 はじまりの夢をみる。




 ここは、どこだろうか。

 ──ここは夢のなか。


 ぼくは、だれだったろうか。

 ──ぼくはぼくだ。


 気づけばいつも、この夢のなか。

 カタチにとらえられない色たちが、飛んではねて、自由に気楽に混ざり合う。ころころ、けらけら。気ままに笑う。色のせかい。


 そんなせかいにおり立って、はじまりを夢描くとき、たしかに彼の声を聞く。いつもの声が、きょうもいう。


「こっちへこい!」

 おいで、おいでと呼ぶ声がする。せかいのはずれから、聞こえる声。


 そっちへいかなければならないと、いくべきだと、知っている。わかっている。だけどいきたいわけじゃない。興味もなければ感心もない。それならここにいたいじゃないか。

 無視して、それを聞き流す。と、それに気づいた相手の声も、負けじとだんだん大きくなって。


 かまわず色を追いかけるうち、怒鳴るくらい必死なその声も、その理解もどこか遠くで埋もれてしまって、うすれてやがて、見えなくなって。せかいは色に染められていく。

 そうして──




 彼はふっと、目を覚ます。

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