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第6話 キース③

ヒーロー・キース視点です。


短め

「好きな人ができたかもしれません。」

「男子高出身の童貞が何か言ってる…。」

一緒にご昼飯を食べていた副隊長が呆れた顔をしている。この短期間で簡単に惚れやがって、という気持ちはわかる、けれども。

「そりゃあんな美人に優しく魔法教えられたら好きになってしまうって~!」

正直、男子校出身の童貞じゃなくても惚れていると思う。美人だし、優しいし、良いにおいするし、度は過ぎている感じはあるけど仕事に一所懸命だし、知的だし、所作もきれいで、本当に理想の人なのだ。


「相手は誰?」

「茶化されたくないので言いません。」

「そんなガキじゃないけど。」


というか会計監査のヴェネフィッタさんと言って伝わるかも分からない。


「仕事の手だけは抜かないでよ。」

「抜きません!頑張ります!このまま王宮警備隊に居座ってやります。」

「そこか…一応、王宮警備隊で頑張れば、近衛騎士も目指せるよ。」

「へぇ〜。」

「あんまり関心がないんだね。」

「この国や制度にうといので、何がすごくて何がすごくないのか…すごかったとして別にそれが理由でなりたいとは思わないですし。」


自分が楽しいのが1番だ。もう俺を養子に取った両親も、実の子が元気な今、俺に関心がないし。


「そのくらい野心が無い方がやりやすくて俺的にはいいけどね。隊長には叱られるよ。」

「隊長は熱意のかたまりみたいな人ですもんね。…ていうかなんで隊長と夫婦って最初に教えてくれなかったんですか?俺、普通に惚れちゃうとか言っちゃってじゃないですか!」


入隊して色々な人と話しているうちに知った事実。隊長と副隊長が夫婦で子どもまでいた。


「あまり大っぴらにすることじゃないでしょ。気を使わせるし。」

「そうですけどぉ〜。結構意外でした。熱い隊長と冷静な副隊長が夫婦なの。」

「正反対のほうがうまくいくこともあるんだよ。」

「どこで知り合ったんですか?」

「若い時はお互い近衛騎士で、彼女が第一王女の護衛で、俺が第一王子…今の王太子の護衛だったんだ。それで交流しているうちに…て感じ。子どもができてからは流石に近衛騎士ができないから王宮警備隊にきた。」

「いいっすねぇ。うらやましい。結婚したいっす。」

「まだ18歳でしょ。焦らない方がいいよ。」

「いや、でも今狙っている人、絶対にいい人なので早く決めてしまいたいです。年齢的にもいつ結婚してもおかしくないと思うので。」

彼女は22歳。貴族の女性なら結婚していて当たり前の年齢だ。


「じゃあ、さっさと親に言って相手の家に打診しなよ。ヒューステッド家なら次男でもある程度の家柄の人なら大丈夫でしょう。」

「でも、俺養子だしなぁ…元の家はド田舎の男爵家ですよ。」


もともとは畑を走り回っていたただのガキだ。ある日ぺかぺかの服を着た体格のいい男が来て、それから人生が変わってしまった。


「相手の家柄にもよるけど、どこの家の人?」

「家…?そういえば知りません。」

「はぁ?名字は?この国は名字と貴族名は同じだよ。」

「そもそも名字知りません。」

「はぁぁぁぁ?」


副隊長が顔をゆがめて呆れている。かっこいい顔が台無しだ。


「この国で生きていくなら、本当に家柄大事!すぐに確認!失礼なことしたらどうするの!」

「家柄関係なく、失礼なことしちゃだめじゃないすか。」

「その価値観でこの国生きていくのしんどいぞ。」


クリストフォールも家の序列がうるさい国だったはずだけど、学生の間はそこまでとやかく言われなかったんだよな。家という基準もあったけど、学校ではそれと同じくらい成績のよさとか要領の良さ、見た目などが考慮されてパワーバランスができていたような気がする。


「とりあえず家まず確認!それから俺に相談しなさい。」

「え、相談していいんすか。」

「そりゃあ、まぁ。大切な部下だしね。」


まだ入隊して3週間とかの俺にこんなに親身になってくれる副隊長は本当に優しい。

「ちなみに副隊長の家の爵位って何ですか。」

「俺は公爵家の現当主だよ!今更かよ!」



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