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Episode5








『さて、2回目の話し合いだけれども…』



「おう…この魔力爆弾をどうしたものか…」



『まさか…こんな森を半壊させるような威力があるとは…』



「聖属性魔力を持ってたら闇属性の魔力にはある程度敏感なはずなんだが…全くわからなかった…」




ふたりでハカを見る。

当の本人は杖を鉛筆代わりに地面にガリガリと絵を描いて遊んでいる。

とてもじゃないけど先程とんでもないことをしでかした子とは思えなかった。

頭を軽く振っていろいろ考えていたことをかき消す。

とりあえず、戦力にはなることはわかった。

コントロール次第ってことも。





『しばらくハカちゃんは魔力のコントロールを覚えていかないと…それで戦闘はどうにかなるかもしれない』



「ぁぁ…そ、そうだな」



『次はユージーンの実力よ』



「お、俺かぁ…」



『勇者あるまじき自信のなさよ…』




魔物との戦闘のために森のダンジョンへと進むことにした。相変わらず不安そうなユージーンの背中を押しながら奥へとずんずん歩く。




「…ナナミ、お姉様」




突然ハカが立ち止まる。ハカの声に私もユージーンも振り返ると、ハカは横の茂みの方を見つめていた。

不思議そうにふたりで顔を見合わせているとハカが見つめていた茂みが急にガササっと大きく揺れた。




「ナナミ、下がってろ!」



『う、うんっ』



「…ナナミお姉様…」



バウウッ!!!





大きな声とともに茂みから飛び出す影。

私達の前に着地したその影は額に鋭い角が生えた犬のような魔物。しかも群れのようで戦闘に他よりも一回り大きい魔物に後ろには6匹控えている。

まだダンジョンの浅いところだというのにこんなにも強そうな魔物が群れで襲ってくることなんかあるの?!




「う…さすがに分が悪いな…」



『……ハカちゃん、さっきの魔法撃てそう?』



「…!う、ん。大丈夫。」



『ユージーン…ハカちゃんの盾になれる?』



「…お、おう。シールドは張れる」




ユージーンが剣を構える。そのままハカの前に立ち集中している。

私はハカに駆け寄って話しかける。

ぎゅっとハカは杖を握りしめている。




『ハカちゃん、タイミングが大事だからよーく聞いてね。魔物が襲ってきたらユージーンがシールドを張って耐えてくれるからその間にハカちゃんはさっきの魔法を貯める。溜まったら少し放つのを我慢してユージーンに合図を送って、ユージーンが避けたら一気に放つ。できそう?』



「魔法…ためる…ユージーン、言う、ハカ、魔法、うつ、できる…!」



『…っよし!ユージーンも聞いてた?』



「ぁあ、その作戦のった…!シールド展開!」




ユージーンの声とともに金色にまばゆく光るシールドがユージーンを覆った。

初めての聖属性魔法の輝きに目が奪われた。

だが、ユージーンの動きとともに魔物の群れはユージーンめがけて突進してくる。

シールドにぶつかりながら唸り声をあげて引っ掻いたり噛み付いたりしている。

シールドに攻撃を受け続けているユージーンは歯を食いしばって耐えている。

ハカは杖をユージーンの背中辺りに向けている。




「ゆー…じぃーんっ」



「…!任せたぜ、ハカ!」




ハカの呼びかけにユージーンが反応をして力を込めてシールドで魔物を弾いた。その刹那、ユージーンは横に飛ぶ。

ユージーンが避けたタイミングでハカは杖の先から闇属性魔法を放った。異次元の威力の魔法は魔物を跡形も残らずに消し去り、あたりは静寂に包まれた。

無事に倒せたことに安堵して呆けていたが、ユージーンが倒れ込んでいるのに気付いて駆け寄った。





『ユージーン!大丈夫!?』




倒れているユージーンの隣に座り込んで身体を揺する。

しばらくユージーンから反応がなくて頭をバシンと叩くと、ようやくユージーンがこちらに顔を向けた。





「こ、こわかっった〜……」




ユージーンのぐしゃぐしゃな泣き顔に私はぎょっとして少しのけぞった。涙でうるうる瞳を潤わせ八の字にまゆを下げ、勇者あるまじき行動はいくつかあったがこんなになる勇者は初めて見た気がする。

私は思わず吹き出して、笑ってしまった。





『あはは!!ユージーン、ありがとう。ユージーンがいなかったら大変なことになってたよ』



「ゆーじーん…かっこ、よかった、よ?」



「ううぅぅ〜…ハカぁぁありがとなぁぁ」




初めての3人での戦闘は誰ひとり怪我することなく無事に乗り切った。

今後の課題は山盛りにあるものの、今回のことで団結力は結ばれた気がする。




『今日はもう疲れたし家に戻ろう』



「ああ、そうだな。ハカ、帰ろう」



「…うん」




まだ余韻が残りつつも早足でダンジョンを抜けて村へと戻った。

家に帰ったあとは3人ともぐったりと倒れ込んだ。

その頃村の中は騒然としているのに疲れて眠っている3人は気づかなかった。

























『…ん』




目を開けるときれいな白い天井。

元の世界に帰ってきたんだ。

身体を起こして伸びをしながら時計を確認すると学校へ向かうまでには余裕がある時間だった。

ベッドから立ち上がって支度をすると、少し早めに家を出た。




「おはよう美嘉!早いね!」



『おはよ〜朝練頑張って!』




朝練に行くクラスメイトと通り過ぎ様に挨拶を交わす。

こんなに早く学校に来たのは初めてかもしれない。

朝から爽やかな顔で部活に励む生徒たちに驚きつつも教室へと入ると、思ったよりも既にクラスメイトは何人か来ていた。

自分の席に腰掛けて鞄の中のノートを1冊雑に取り出して最後のページを破くと、ガリガリとペンを走らせた。

ユージーンとハカとこれから魔王討伐するにあたってこれからどうするか考えるためだ。

うーんと頭をひねりつつ文字を書きたしては横線を引いて消す。

しばらくそうして試行錯誤していると、聞き覚えのある声が耳に通った。





「おはよう!美嘉!美嘉のほうが早いなんて珍しいねー!」



『ん、おはよう零。零と大輝に相談があってちょっと考えてたんだ』



「んんんー?相談とな?」



大輝が来るまでの間に昨晩見た夢の内容を零に話した。

相変わらずキラッキラに目を輝かせて聞いていたが、少しずつその輝きは失われていった。





「……本当に勇者なの?そのユージーンって…」



『ま、まぁ正確には勇者"見習い"だから……』



「うーん…いつもの王道RPGの始まりだと、ある程度の実力が認められた少年が王様に呼び出されて旅にでるわけじゃん?」



『まぁ…そうだよね』



「話聞く感じまだ実績も何もない上に戦闘はできないんでしょう?…それってまだ王様に呼び出される段階ではないのか、最悪勇者じゃないよね」



『まじか』




零の力説に納得せざるを得ないけど、ユージーンのことを思うと努力は実ってほしいとは思う。

とりあえず私の話は飲み込んでくれたであろう零は先程から書きなぐっていた紙を手に持つとじっくり読み始めた。私は止めることはなく『字が汚くてごめん』一言つぶやいてから読み終わるのを待った。




「よっす。おはようさんおふたりさん」



『おはよう、大輝』



「はよーっす」



「美嘉は夢見れたんかー?」



『そうそう、魔物と戦ったんだ』



「あははー魔物とかー!……っなんじゃそりゃ?!」






朝からよくこんなに元気だなぁと目の前の男を見ながら早起きの代償の眠気にあくびひとつした。

その時零が紙を私に返してくれた。どうやら読み終えたようだ。

私は簡潔に大輝に夢のことを話した。



















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