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Episode5






ある日突然、夢の中で異世界に行きました。

でも、眠ったら元の世界に帰ってきました。

はて?あれは本当に夢?









「ええええぇぇぇぇーーー!!なにそれーーー!めっちゃ楽しそうじゃんんんんんん」





教室中に響き渡る声にその元凶である口を両手で塞ぐ。他のクラスメイトのきょとんとした視線を浴びつつ平謝りをしてこほん、と咳払いをした。



「へへへ、ごめんごめんwだってあんまりにも楽しそうな話なんだもん」




そう言ってへらへらと笑うのは私の友達の「池谷 零」。高校からの付き合いだが、人生で一番の友達と言って良いくらいの相性バッチリな友達である。

明るくて輪の中心にいるような子だが趣味はゲームと言う男女から親しまれる子。

今回の夢のことも零が好きそうな話題だと思って朝イチで挨拶してくれた零に話したところ、絶叫を上げたってわけだ。




「RPGの世界だなんて私も行ってみたいなぁ!剣に魔法に装備に弓…良いなぁ良いなぁ!」



『でもなんていうか、ゲームで見れない裏みたいなのも見えてなんだか複雑だったよ』



「え、なにそれなにそれ気になるぅ」



『ぇ、あーうん。もちろんRPGみたいな世界観だったし異文化って感じだったんだけど、やっぱりこの日本とは違って孤児とか…いたし。魔物とかいるからなのかなーって思って。』



「…なるほどね。でもそれは魔物だけが原因とは言い切れないね!現に他の国にも孤児はー」




そんな話をしながら夢の中で見たハカの姿を思い出す。弱々しい姿に拙い喋り方。

不思議なのが私達のように黒髪で黒い瞳を持っていた。

そういう設定の異世界もあるのだろうか。




「そういえば、なんでそんな夢を見たのか心当たりはあるの?」



『うーん、それが皆目検討もつかないのだよ』



「ほんとに?ほんとうのほんとうかい?美嘉さんや?」



『誕生日ってことくらいしかなかったもんん。1日なにか不思議体験とかもないし、事故にもあってないし、変なところにも行ってないしぃ…』



「それは小説かマンガの読みすぎだ…いいなぁ私もいってみたいわぁどうにかして一緒に行けないかなぁ!」



「楽しそうに話してるけど、どっかいくんか?」



「おおっと、望月か。いいところに!」




零と話が盛り上がっていると、零の後ろから顔を覗かせる男子がいた。

彼は「望月 大輝」。中学からの付き合いでクラスが別になってからは疎遠になっていたが、今年同じクラスになってからまた話すようになった。

生粋のゲーム好きで零とも話が合うためちょくちょく私達の輪にも混ざってくる。





『それがねー』




私は零にもした説明を大輝にもした。

もう話の途中から目をキラッキラさせて頷いているものだからデジャヴを感じた。

そのデジャヴも2回目にもかかわらず目をキラッキラさせて大輝と同じくうんうん頷いている。




『ーってことがあったんだけど…』



「うぉぉおお!すげぇ!羨ましい!人生で一度はRPGの勇者になってみたいと思うものだよなぁ!」



「本当に!!勇者じゃなくてもあの世界観に入ってみたい!」



『あ、あのー…これ夢の話...』



「剣でばっさばっさと強敵を倒すもよし。魔法でかっこよく決めるもよし、傷ついた仲間に颯爽と回復の呪文を唱えるのもかっけぇ!」



「出会いと別れを繰り返して、魔王城を目指して旅をする…!これぞRPG…!きゃああああああいってみたーい!」





白熱するふたりのRPG愛に圧倒されながらもう口を挟むことはできまい、と半ば諦める私でした。

ちなみにこのRPG愛は放課後になっても冷めませんでした。愛ってすごい。







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