Episode13
「よし、これでナナミも勇者パーティとして動きやすくなっただろう」
『勇者見習いね』
「それだとかっこつかないだろ!」
『あはは!……うーん、やっぱりこの世界で魔力なしっていないの?』
現実世界のゲームや小説の中では一定数魔力なしはいた。大体は平民として扱われ村などで細々と暮らしているイメージはあるが。
「そうだなー……ある地域では言い伝えとして’’種族の中でも弱かった人間が滅びかけたとき神は人間に知力とともに魔力も与えた’’と言われるくらいだからな。神が与えたものを持たずに産まれたとしたら神が見捨てた、と思う者もいるだろう」
『なるほど…』
「あ、あくまで一部での話だ。戦術なんていくらでもあるんだし!ナナミが本当に魔法のない世界から来たのだとしたら魔力がなくて当然だろ!気にすることないと思うぜ」
『ユージーン…』
そう言ってユージーンがニカッと笑う。
このお人好しなほど優しい性格は勇者ならではなのだろうか。
先程のやり取りでこの世界で生きることに不安に思うこともあったけれどそんな優しさを向けられると心が温かくなるような気がする。
「さて!気を取り直してお次は仲間探しだ!」
『仲間探し!』
「俺もまだまだ弱い!だからこそこの旅でともに強くなってくれる仲間を見つける!」
『…?あれ、でもさっきギルド商会で仲間紹介場もあった気が…』
私の言葉に一瞬ユージーンは動揺して困ったように笑って誤魔化したのを見逃さなかった。
なんとなく私はそれで察した。
きっと先程の一連の騒動が原因なのだろう。ユージーンが説明してくれたとおりこの世界において魔力があることは当たり前で魔力なしは神は見捨てたも同然。
そんな私がいる勇者パーティなど誰が仲間になろうと思うか。
「あ、ああいうところはな。実際は金目当てのゴロツキが大半だからな!向上心はないし、ナナミを守ってくれないだろ!」
『ユージーン…』
少し涙腺に来そうになった感情を抑えて、笑ってみせた。
私が察したのに気付いたのかへへへと照れたように笑うユージーンと、仲間を探すべく街を歩き出した。
『でも実際ギルドの紹介場を使わないとなるとどうやって探すの?声がけ?』
「そういうやり方で見つける場合もあるが、それはある程度パーティが定まっててもランクがそれなりに高く無ければ断られることのほうが多いな」
『となると?』
「さっきナナミがもらった"これ"の出番だ」
そう言ってユージーンは自分のギルドカードを私の前に出した。私も手に持ってたカードを見る。なんの変哲もない名前と魔力とか情報が書いてあるカードだ。
ユージーンはニッと笑って続ける。
「ギルドではランク毎にクエストっていう仕事が与えられるんだ。簡単なおつかいから魔物の討伐…あとはその中でも難易度が高いボス級の魔物討伐、悪質な盗賊や罪人を捕まえるものもあるな」
『なるほど、クエスト』
現実世界でも聞き馴染みのある単語が出てきて少し安堵する。こういう説明が飲み込みやすい。
うんうんと頷く私を見てユージーンは続けて説明をする。
「おつかいをすれば少ないが資金が得られる。魔物の討伐をすれば俺の経験値を積むことができる。そして話の本題、仲間探しは最後に話したところでする」
『最後…ってボス級とか悪い人を捕まえるってやつ?』
「そうだ、ある程度の依頼になるとパーティを組んで挑むものもいる。俺もそこに参加をして依頼をこなす。その中で一緒に組んだ人の中から仲間を探そうと思ってる」
『なるほどなるほど』
うんうんと頷いて話を聞いているとユージーンは少し得意げに説明をするのが少しおかしかったが、ユージーンの話は理解ができた。
RPGではこういう交流で仲間ができるものなのだろう。
パーティを組めずに募集から参加するということはソロかパーティに欠けがいるということ。そこに声を掛ければ仲間になってくれる可能性があるということだ。
『でも普通のパーティならまだしも勇者パーティって…仲間になってくれるかな?』
「魔王討伐した勇者パーティには国から認められた勇者パーティの証と報奨が得られるからな」
『証?』
「ああ。それさえあればこの先数年数百年は勇者パーティの一員として語り継がれる証ってやつだ」
『へぇぇ、やっぱり勇者ってすごいんだねぇ』
「俺だってその勇者になるんだ」
『まだ見習いだけどねー!』
「!このやろ!」
笑ってからかう私を追いかけるユージーン。
ふたりが出会う仲間とはどのような人物なのだろうか。
そして、その仲間に出会うまでに何が起こるのだろうか。
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