Episode10
と、言うことで零の家に3人で集まることにした。
始発の電車に飛び乗って零の家にお邪魔するということで大輝も私もご飯や飲み物など持参した。
そして集まってすぐに本題は切り出された。
「それで、これが言ってたゲームか?」
大輝が指差した方には零のものであろうパソコンのディスプレイだった。そこに映されていたのはどこかの家の映像だった。
それは私には最近よく見る光景だった。
『ここ、私があっちの世界で住んでる家…』
ぽつりとつぶやいた私のその言葉に大輝がこちらに振り向いた。
そのまま大輝が口を開いた。
「じゃあやっぱりこのゲームは七海の夢の…」
「すごくない?何が起きてんの?って感じ!」
『う、うん…それに零がこのゲームでプレイしたことが私に起きたことと全く一緒だったことも…』
「ん?どういうこと?」
私は先程零と話した、ゲームで見たことと全く一緒なことが起きたことを大輝に話した。
信じられないと口に手を当ててこちらを見る大輝に私は困ったように零を見るも、例は楽しそうにニコニコ笑っている。
「このゲームは七海の夢とリンクしているってことか」
「もうなんかRPGどころじゃないよこれは!」
『でも、この先から進めないんだよね?』
「そう!そこ!そうなんだよねー…」
そう言ってコントローラーを手にとってかちゃかちゃといろんなボタンを押すもモニターには一切の動きはなかった。
「もしかすると、七海が夢の中で過ごすとこっちも進むんじゃないか?」
『…リンクってそういうことまでするの?』
「まだ決まったわけじゃないけど、七海に起きたことまではゲームで進んで七海がこっちに来たらなんの反応も無くなったってことはその可能性もあると思う」
「でもこれ、ゲームって言うかムービーみてるだけって感じだけどね」
「うーん、まだなんとも言えないが、もしかしたら七海の世界に俺達も干渉できるときがあるかもしれない」
『干渉って…ゲームみたいに操作ができたり、とか?』
「あくまで可能性だけどな。なんせまだほんの一瞬ムービー見ただけっぽいし」
「このままムービーだけ見る観賞用かもしれないしね!」
『そ、そうかぁ…』
ここまで話してRPG大好きな2人が間接的にと言えどいてくれたら心強いと思っていたが、あくまで可能性ということに少し落胆してしまう。
冷静に分析をする大輝はまた少し考え込んでいる。
零はお腹が空いたと言ってパンをかじり、各々が自分の時間を過ごし始めた。
現実味のない話しについていけていない感じだが、ゲームが好きなふたりは推測や妄想が働くのは頼りになるし不安に思っていたことも少し和らぐ気がした。
不意に大輝が私の方を見て口を開いた。
「七海、もう一度寝れないか?」
『え。』
「やっぱ実践が1番だと思うんだわ」
「お〜確かに!さっきの映像も大輝に見てもらいたいし」
『え、でも、ここで寝るの?』
「うーん、七海だけ家に帰って寝るのもな」
「うんうん大賛成!私ので良ければベッド使っていいし!』お客様用のお布団もぜんっぜんあるよ!」
思わぬ大輝からの提案に少したじろぐ私。
枕が変わると〜ってタイプでもない私だが、さすがに人前で寝るのには少し気が引ける。
結構乗り気な零のテンションも止められそうにない。
『う、うーん、零がいいのなら…少しだけ目をつむってみるけど…』
スピースピー
「美嘉の寝付きの速さすごいね」
「あんなに渋ってたけど安らかな顔して寝てんな…」
目の前ですぅすぅと寝息をたてて眠る七海の姿に友人ふたりは少しだけくすっと笑った。
だが、その雰囲気も急に入った音によってかき消された。
ふたりとも音源の方に振り向くと例のモニターの映像が最初のものから切り替わっていた。
「…まじかよ」
「…本当に美嘉が眠ったら別の世界にいってるってこと?」
モニターは七海を3人称視点で見ているかのような様子だった。
寝起きで伸びをして部屋を出る。
大輝が零の手元を見るがコントローラーで操作をしている様子は全く無かった。
むしろ手にコントローラーを持っていないのだ。
やはりこれはゲームではなくただの映像なのか?七海の世界を共有できるだけの映像?
いろいろ頭の中で仮説が湧き出て来るが今はこの映像に集中することにした。
「ナナミ!俺やっぱりハカを助けに行く!」
『ま、待って何も準備もなく飛び出したって死に急ぐだけよ!』
「…分かってるけど…でも今まで苦しんできたからこれ以上苦しんでほしくない」
『ユージーン…』
ふたりのやり取りに本当に映画でも見てるんじゃないかと錯覚しそうになる。
前のめりで見ていた姿勢を楽な姿勢に直す。
「美嘉ってこんな性格だったっけ」
「え?あー…うーん。優しいやつではあるけど」
ボソッと呟く零の言葉に歯切れの悪い言葉で返すとそのまままた沈黙が流れた。
真っ直ぐとこちらも見ずにモニターを見ている零。
『…分かった。けど、ちゃんと対策も考えながら進もうね。』
「ありがとう、ナナミ。じゃあまずは資金を集めて装備を揃えよう」
『なんだ、ちゃんと考えてるじゃん』
「当たり前だろ、俺にはもう守るものがあるんだ」
ザッザッと村の出入り口に歩いていくふたりを村の人々は追いかける。
ふたりとも交流があったのか村を出ていこうとする姿で何かを察して食料やらなんやらを渡しているようだった。
笑顔でそれを受け取って手を大きく降って村をあとにする。
「最初の村すら出てなかったんか…」
「…まぁ、言ってやるなよ…」
すると何かを思いついたようにバッと床を見てコントローラーを手に取る零。
大輝もその行動を目で追うと、カチャカチャとボタンを押し始める。
「なにしてんだ?」
「んーいや、もしゲームならステータスみたいなの見れないのかなって」
「ぉぉ、確かに。でも前も何も反応なかったんじゃ?」
「前はほぼムービーだったからさ、ほらムービー中ってスキップくらいしかできないじゃん?」
「そうだな、でも今は探索パートってところだからか」
「しょーゆーこと。でも、ないなぁやっぱり」
カチャカチャと変わらず押しているが画面は変わらず。
その間もふたりは平野を歩き続けている。
すると、画面の奥からこちらに向かってくる影が見えた。
これはまさかー
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