表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

9 保険 × ハンドルネーム

eightersポテチ×コーラ事件より過ぎること1ヶ月。


英人は、相変わらずあのメールは無かったことにして、自らの癒しである議題チャットを楽しんでいた。


さすがに全て自分の回答が、ベストアンサーとして選ばれることはないのだが、英人はそれも含めて楽しんでいる。


どれくらいここに来ているだろう。『e-to』は、まあまあ有名になってるような気がする。あと、何人かだいたい同一時間帯にいる人間も把握できてきた。


海外では、『cr』『a』『nine』『rino』あたりがだいたいログインして発言している。


『cr』と『a』は論理的で、利にかなった発言をすることが多い。


『nine』はおちゃらけだ。自分と同じようにストレスの捌け口に利用している口だろうな。


『rino』は控えめだがたまに英人もすごいっ! って発言をする。


日本では、『ya-man』『umi』『soras』あたりがだいたいログインして発言している。


こうやって考えると、日本人は単純な生き物で、どこか自分の存在に気付いて欲しい感じが強いよな。と思い英人は笑う。


『ya-man』とか、絶対、山田とか山口って名字だろう。

『umi』はゆみって名前かな。それとも海?

『soras』はなんだろな、空井とか空沢とかかな。それか、狭山 空とか。佐川かもしれないな。


日本人は第三者になりたくないのか、どこかで繋がっていたい感じがある気がする。


そういえば、なんとなく聞いたことがある。


京都府の鴨川岸は座れるようになっていて、カップル等が、川を見ながら座って話すらしいのだが、隣のカップルとの距離がだいたい一定になるんだそうだ。


チャットでも日本人は、そんな感覚に近いのだろう。


英人もハンドルネームは名前の読み方を変えただけの『e-to』なんだから、人のことは言えない。


そういうことを踏まえると、秘匿性はあるものの、日本人は相手を予想しやすい。むしろ見つけれそうな気さえする。


『e-to』も仕事が終わればすぐにログインしているから、自分のことを客観的に思考を巡らせただけで、仕事をしているのはわかる。


彼女と別れた今は、土日もログインしていることもあるため、シングルってことも予想できそうだ。


なんとなくだが、気をつけないとな。


本当になんとなくだが、何かに間合いをジリジリ詰められているような気がする。


まあ、何はともあれ今日も議論チャットをしよう。


日本の今日の議題は、『保険料について』だった。


『ya-man』は『保険料を下げて欲しい。いや下げるべきだ!』


『umi』は『高所得者にたくさん払ってもらって、低所得者は負担額を減らせばよい』


『soras』は『老人が減れば良くない?そうすれば負担額が減るのでは?』


等と発言し、議論が白熱している。


『e-to』はそんな中考えていた。


日本では高齢者が多くなり、若年層が少なくなる。そのため若年層が負担する社会保険料の割合が高くなる。


う~ん、おかしい。そもそも、給料から取られている税金は、自分の将来のために取られるべきではないのか?


英人は、病気になったらそもそもお金がかかるという理屈が理解できない。


病気になったら無料で治療してあげたら良くないか?早く元気になれば、社会労働力になるのに。


なんなら、医者は国家公務員で良い。

そうすれば、健康保険はいらなくなるはず。


そして雇用保険だ。雇用保険は失業や休業したときに給付される。

じゃあ、失業や休業しないと宣誓した人からは徴収してほしくない。


厚生年金もそうだ。デフレ等の影響があるとしても、自ら計画的に貯蓄をしておけば、老後もその貯蓄で生活したらいいと思う。


『答えはno。保険料なんて払わなくて良い国の制度に変えるべき。そもそも保険という言葉をこの世から無くしたら良い。百歩譲ったとしても、自由選択制でいい。自分でできる人は自分でする。尚、世界共通通貨にも変えるべき』


『医者は国家公務員にして、病院は無料』


『デフレ等の影響を考慮し、世界共通通貨に』


そう、『e-to』は妄想族総長なのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ