プロローグ
──ニューヨーク市マンハッタンの国際連合本部。
事務総長室。
慌てて官房長官が呼ばれて、『はぁはぁ』 いいながら、走ってきた。
官房長官が、事務総長室に入ると、椅子が倒れる勢いで、事務総長が立ち上がった。
「一体どうなっているんだ? 何でこんなことに?」
「わかりませんっ! ただ、有名企業の多数が彼らの意見に賛同しています」
官房長官が急いで返答する。
「なぜそんなに有名企業が彼らの意見に耳を貸しているんだ?」
「だから、わかりませんって」
「今すぐ彼らを止めなければ」
バタバタと廊下を走ってくる足音が聞こえる。
次の瞬間。
『バタンッ!』
ノックもなく事務総長室の扉が勢いよく開かれた。
事務総長がドアの勢いに驚く。
「いったいそんなに慌ててどうしたんだ!」
上級顧問がちょっと待ってください的なジェスチャーをしながら、息を整えている。
「す、す、数国が彼らの意見に賛同する旨の声明を発表するとの情報がっ!」
「な、なんだと! 国までもか!」
「はいっ、まだ情報段階ですがっ!」
副事務総長は半ばあきらめ顔だ。
「この波は本当に止められないのかもしれませんね」
事務総長はそれでもひるまない。
「本当に彼らの意見が正しいのかわからないじゃないか」
上級顧問の息が整い出した。
「今のところ矛盾は全くないような気がしますね」
事務総長は、この世の終わりかというような顔だ。
「これから、全人類、いや【地球】はどうなってしまうんだ……」──