ゲームショップ唐変木
友達にもらうことになっていたんですけど、書いていたら美人ゲームショップ店主に気づいたら貰っていたので後であらすじ書き直します。
ゲームショップ唐変木は住宅街のハズレにあるこじんまりとした店だ。
今俺はそこに新しいゲームを買うために訪れていた。
「お、久しぶりだねぇ旭川くん。君がここに来るのは半年ぶりだったかな?」
「お久しぶりです唐木さん。たしかブルーローズストーリーを買ったのが2月だったから、だいたい半年ぶりだと思います。」
「旭川くんは一つのゲームを買うと次のゲームを買いに来るまでが長いよねぇ。」
「そうですね。なかなか他のゲームをやりながらだとVRは細かい動作がズレるので、やりたいゲームは多いんですけど、納得行くまでやり込んじゃうせいかなかなか次のゲームを買おうって状況になりにくいんです。」
「そっかぁ。私のお父さんなんかはいろんなゲームをとっかえひっかえしてるけど、旭川くんは違うんだね。」
「人それぞれですよ。」
話しかけてきたのは、店主の唐木さんだ。
彼女はとてもおっとりした人だが、一度訪れた人の顔を忘れず、ショップ会員に入ってる人の名前を全員覚えている不思議な人だ。
唐変木は彼女の父親が経営者をしており、割と遠くの駅なんかでも見かけたりするそこそこの規模の店だ。
そんな店がこんな人が寄らないような場所に置かれているのは、ここが唐変木の壱号店だからに他ならない。
そんな店が潰れないのも父の思い入れがあるからだろうと唐木さんは言っていた。
そうは言うものの、この規模の店ではそこそこ賑わっている方だ。
また、唐木さんに自覚はないようだが、彼女は相当な美人である。
可愛いというよりは、かっこいい系統の美人で、さながらやり手のオフィスレディを思わせる美貌の持ち主だ。
しかし、反面表情や言動はすごくゆったりとした調子で、声音はいつもふんわりとしたものだ。
そのギャップからなのか、この店には絶えず客足が向いている。
彼女が常連でなくとも客の顔と名前を覚えているのもゲームとしか向き合えていない男たちを勘違いさせる原因なのだろう。
どういうわけかそのことに唐木さんは無自覚で、この前に女性客があまり来なくて残念だと嘆いていたくらいである。
かくいう俺は彼女目当てでこの店に来ているかと言えば、そうではなく、単純に一番近いのがこの店だというだけだ。
また、彼女の父の趣味がいいのか、それとも彼女自身が選んでいるのかは不明だが、この店の品揃えは相当豊富で、様々な客層のニーズを抑えている。
王道フルダイブRPGは勿論、普通のテレビゲームや、ボードゲームなど様々なゲームを取り扱っており、乙女ゲームやクイズゲームなどジャンルまで、ゲームと呼べるものならありとあらゆるものが揃っている。
いろいろなゲームがありすぎて、逆にどれを買えばいいか迷ってしまうくらいだ。
陳列された商品にはしっかりとおすすめの理由まで書かれていて、何を買えばいいのか逆に迷ってしまうくらいだ。
もしこれが唐木さんの仕業だとしたら、彼女は相当なゲームマニアだろう。
実際には、彼女がゲームの話をしているところは見たことがないが。
「そういえば、唐木さんはゲームはしないんですか?」
「私?うーん、昔はお父さんに進められていろんなゲームをやってたけど、今はあんまりやっていないかも。あ、でも最近は旭川くんみたいに同じのをずっとやっているよ。」
「なんていうゲームですか?」
そう尋ねると彼女は顔を少し赤くした。
「えっと、リミットオーバーファンタジアって言うんだけど。」
彼女はだんだんと声が小さくなっていき、なんと言ったのか分からなかった。
「リミッ…、なんですか?」
彼女は周囲をキョロキョロと見てから耳打ちした。
「リミットオーバーファンタジアです。」
「あの、もしかしてそれは、卑猥なゲームなんですか?」
「ちがっ、違いますよ!私はそんなゲームはしません!しませんですよ!」
彼女は少し動転しながら、緋鯉のように口をパクパクさせて怒った。
「いや、ごめんなさい。恥ずかしそうにしているから、てっきりそういうゲームなのかなと思っちゃいました。唐木さんって意外と初心なんですね。」
そう言うと彼女は俺の頬を両方摘んで左右に引っ張った。
「痛いです唐木さん。」
「あんまり大人をからかっちゃだめですよ旭川くん!」
ムッとした顔で彼女は言った。
「ごめんなさい、次から気をつけますから許してください。」
彼女は「約束よ?」と言ってから手を放した。
「で、何がそんなに恥ずかしかったんですか?」
「タイトルのセンスが少し恥ずかしくてね…!」
「そんなに恥ずかしいですかね。リミットオーバーファンタジア」
「私ってゲーム屋さんの店長で、お客さんにも乙女ゲームの話題ばっか振られるし、そういうイメージで商売しているところもあるから崩したくないの!それだけだから!深い理由はないから!」
何故か食い気味に説明する唐木さんに俺は苦笑をした。
「つまり、趣味を知られるのが恥ずかしいってことだったんですね。」
「うん、まぁ、そういうことだから、気にしないでね!」
「で、そのゲームは面白いんですか?」
「面白いっていうよりはすごいって感じだったかなぁ。」
「すごい。それはどんなふうに?」
「うぅん。どんなって言われても説明しづらいなぁ。プレイして見たらわかると思うんだけど、グラフィックがすごいきれいだったよ。」
「たしかにグラフィックはやってみないとわからないですもんね。」
「まだ発売してから一ヶ月もたっていないから、それくらいしか私はわからないよ。うまく説明できなくてごめんね?」
「気にしないでください。参考程度に聞いただけですから。」
「うーん、旭川くんMMOをよく買ってるよね?」
「それがどうかしましたか?」
「あ、えっとね。旭川くんが私がやってるゲームが気になってるなら、プレゼントしようかなって思って。」
「え、いいですよ。買うなら自分で買いますから。」
「タダじゃないから安心して!」
彼女は大きな声でいった。
「あのね、私ゲーム友達がいなくて一緒にゲームの話ができる人がいないの。だから、もしよかったら旭川くんが私のゲーム友達になってくれないかなって。」
「でもやっぱり、それってタダと同じことじゃないですか。」
「たまに唐変木に顔を出しに来てゲームのことを話してくれるだけでいいから、お願い!」
どうしても彼女はリミットオーバーファンタジアなるゲームを受け取って欲しいようだった。
「なんか、そこまで言われて受け取らないのも申し訳ない気がしてきました。本当にそんなことがお礼になるならですけど、ありがたく受け取らせてもらいます。」
そう言うと彼女は嬉しそうにパァッと表情を輝かせた。
「絶対ですよ?約束!指切りしましょう!」
おっとりとした彼女からは想像できないくらいのはしゃぎようだった。
彼女が小指を突き出してきたので、俺は彼女の小指を巻き取った。
指きったと彼女が言い終わると、彼女はレジの方に行き、棚においてあったビニール袋を持ってきた。
「はい、どうぞ。」
受け取り中身を見ると初回限定特装版と書いてあるのが目に見えた。
「特装版……本当にもらっちゃっていいんですか?」
「うん。まぁ、どっちにしろ今は売り切れてるからもしあとから欲しくなっても旭川くんには私に貰うって選択肢しかないよ。」
悪戯っ子の表情だった。
「はぁ。唐木さんがいいなら別にいいですけどね。ご厚意に預からせていただきますよ。ありがとうございます。」
「フフッ、どういたしまして。」
「じゃあ、俺は帰りますね。しばらくしたらまた来ます。」
「うん、またね旭川くん。感想まってるね!」
手をふる唐木さんに軽く会釈すると店を後にした。
突然出てきた唐木さん。多分ゲームの中だと男キャラ使ってるんじゃないかなぁと。
主人公は無自覚だと思ってますけど、唐木さんも大人の女性なので自分目当てで唐変木に来る人がいるくらいわかってきます。
唐木さんが主人公のことを好きなのかどうかは決めていませんが、彼女は父親にゲームの英才教育を受けているので、多分強いと思います。
まぁ、多分書いてるうちに設定が変わるので男キャラじゃなくなってしまうかもしれません。
下の名前はいつか決めます。
作中世界は今は7月かなと思います。