表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

8.王様に謁見するらしい。

 



『本日のご予定を申し上げます。朝食をお取り頂いてから湯浴みとお着替えをお願い致します。そのあと国王陛下と謁見となります。午後からはこちらのことを学んでいただきまして、ユウキ様がご希望であれば魔法の講義と練習も致しましょう』


 セオドア・ティアニー……長いな。本人が愛称のセオと呼んでほしいと言っていたし、セオと呼ぶか。そのセオが衣服を届けに訪ねて来てくれた時にそんなことを言っていた。魔導師長自ら侍従の真似事とは恐縮しきりだったけれど。

 早朝から起き抜けに再びの悪夢と怒濤のオンパレードで、午前中だというのに俺はすでに疲労困憊だ。

 おかしいな。毎日の部活動で体力だけは自信あったんだけどな。


 朝食もね、いや美味しかったよ? 異世界あるあるの薄い味付けとかじゃなくて、しっかりと調味料をふんだんに使用した大変素晴らしい食事だった。

 チキンライスの上に、雪化粧した山脈のようにとろとろの卵がかぶせてあるオムライスが出てきた時には感動したよ。異世界にもオムライスあるんだ!って。

 ケチャップベースで味付けされたチキンライスはアーモンドの形に盛られていて、その上に乗せられた卵はほんのり甘くて、生クリームのコクとバターの風味が絶妙だった。チキンライスとふわとろ卵にデミグラスソースを絡めて口に含めば、背中に翼を生やしてどこまでも飛んで行けそうな幸福感が俺を満たした。

 父さんが結婚記念日に家族全員を連れて行ってくれた小洒落たレストランで食べたオムライスと遜色ない出来で、俺の一番不安だった食の質は杞憂に終わった。


 でもね、俺の胃袋には全然足りないんだよ。


 あと三回ほどおかわり下さいなんて、言えるわけないじゃん?

 大陸全土が困窮してるって話なのに、俺だけたらふく食わせてもらおうなんて身勝手過ぎる。


「…………………」


 現在歩いている回廊でちらりと視線を横にずらす。

 頭を下げ道を開けている城勤めの者達が、俯けた顔を少しばかり斜めに見上げて、俺のことを盗み見していた。俺が通り過ぎたあとにひそひそと何事かを囁きあっているが、大体の見当はつく。

 本当に聖女なのか、どう見ても男じゃないか――そんなところだろう。


 まあ、一ヵ国どころかアウストレイル全土の九ヵ国が関わった召喚だったようだし、今回聖女を得る国であるエバーレスト・カトルの人間が気にならないわけないよな。じろじろ見られるのはいい気分じゃないけど。

 その上で統治者に挨拶に出向くのは自然な流れかな、とは思う。それを俺が全力で逃走したいと思っている事案だということを勘案しなければ、だけどな。


 長い回廊を進みながら思わず舌打ちしそうになった。

 前方をセオとネイトが、後方を初見の近衛騎士二名に挟まれ、退路を断たれている。

 国王に謁見とか、それってあっちの世界で言えば、国の首相や皇族・王族に拝謁するってことだろ? 中二男子にはハードル高ぇよ。作法なんて知らないし!


「セオ。俺はどうすればいいの。国王の前で跪けばいいのか」

「いいえ。先刻申し上げましたとおり、ユウキ様は九ヵ国の王に比肩致します。お立ちになったままお会いください」

「わ、わかった。会釈くらいはするべき?」

「頷く程度で構いません」

「中に入った後は?」

「赤い絨毯が国王陛下の玉座へ伸びていますので、玉座より三馬身ほど手前の位置までお進みください」

「セオとネイトも一緒だよな?」

「はい、ご同行致しますよ」


 ほっと安堵の息を吐いた。

 逐一教えてくれるアドバイザーが側にいるのはありがたい。


「すぐにでも陛下が労いのお言葉を申されますので、ユウキ様はへりくだることなくお応えください。何度も申し上げますが、ユウキ様は並び立つお立場であることをお忘れなきように」

「えっ。わ、わかった」


 何で再度釘を刺した? 明確な身分差を疎かにするなってことか?

 会釈すら駄目って、日本人の気質にはちょっと厳しいよな。「あ、どうも」って軽く会釈する程度は日本人なら日常茶飯事だと思うし。


 そんなこんなで鬱々したまま連行されていく気分の俺は、とうとう謁見の間へ繋がる大きな扉へと辿り着いてしまった。

 扉の両隣に立つ近衛騎士が敬礼したので、思わず会釈しそうになってぐっと堪えた。

 これマジで大変だぞ、日本人!


 近衛騎士の一人が、セオの目配せを受け高らかに俺の到着を告げた。


「聖女様が参られました!」


 重々しい重厚な音を轟かせながらゆっくりと開いていく扉に、俺の緊張は否応なしに高まっていた。





まだ投稿して日が浅いのに、早速ブクマ登録、評価、感想を頂きました!

本当にありがとうございます(〃艸〃)!



本日のお昼ご飯はオムライスでした~

もぐもぐ食べながら、行儀悪く執筆しておりました。

書きますよね、今まさに食べているオムライスの感想を( ・`д・´)キリッ!


最近はロー○ンのサクバタにハマっています。

あれヤバくないですかΣ(*゜Д゜*)

いくらでも食べれちゃうっ(/ω\)キャー

見事ローソ○の商法に嵌まっておりますが、なにか?

いいんです。散財しようが脇腹がぷにろうが、自己責任ですから(`◇´)ゞ

よし! スクワットするか!(サクバタは止めない)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ