出会い
「カイル!危ない!!」
竜の国カナンの入口の門の前でカイルに矢が放たれた。
後方にいたユリウスの頬を掠め矢は真っ直ぐカイルの背中中央に飛んでいく──────!
が次の瞬間、矢は地面に落ちた。
カイルの瞬時に振り返り矢を剣で払ったようだ。
驚くカイルに間を開けずに白いマントを頭から被った人物がカイルに切りかかる。
───────キン!
間合いを詰めてカイルの懐めがけて細い剣を振るう人物をカイルは軽くいなした。
「あっぶねぇなぁ?!竜ってのは喧嘩っぱやいのか?」
キン!カン!!カッ!
スピードをつけてその人物はカイルの胸を狙って細身の剣を突き立てるかのように斬りかかっていく。
キィ────ン!!
カイルが白いマントの人物の剣を力づくで払いのけ細身の剣が宙を舞い地面に刺さる。
「くっ!」
フードを脱いだ白いマントの人物が悔しそうにカイルを睨んだ。
長い銀髪が風に舞う。
薄いラベンダー色の瞳は悔しさのせいカイルを睨みつける。
顔面左側には眉から顎にまでかけた真っ直ぐな傷が見え、傷の隙間から薄いラベンダー色の目がギラギラと瞬いていた。
「綺麗だ…お前綺麗だな…女か?」
そう呆けたように呟いたカイルは剣を鞘に収めて白いマントの人物を見た。
「お前、何者だ?カナンになんの用がある?」
白いマントの人物の問いにカイルは答えずに地面に刺さった細身剣を引き抜き興味深げに見る。
それと同時に双剣を構えた白髪の大柄な男がカイルに斬りかかった。
「姫──!姫から離れろ!!」
「クリムト!手を出すな!!」
ピタリとクリムトと呼ばれた男が手を止めた。
双剣を両の手に握り男は苛立った様子で話す。
「姫様?何故ですか」
「お祖母様の命令だ、この男に興味があるらしい」
「サフィ様の」
「そうだ。それにその男は手強い…妙な魔法?を使う。ボーガンで放った矢の速度が落ちる瞬間なんて初めて見た」
「へぇ…いい目してるな?姫さん名前、教えてくれ」
不躾なくらいカイルが白いマントの人物を見る。
クリムトは失礼な若造だと苛立ちながらいつでもカイルに斬りかかるつもりで様子をうかがっていた。
「他人に名を尋ねる前は自分から名乗るものじゃないのか?」
カイルを睨みつけるラベンダー色の瞳。
「気が強そうだな?俺の名はカイル。 ホルスト・ゲアリド・イムラの使者だ。そこに突っ立ってる男はユリウス。俺の同行者だ」
「私の名はアリシア親しいものはリーシャと呼ぶ。竜の一族の姫だ、一応」
「一応?」
「人とは違って竜の一族は姫だからと言ってヒラヒラドレス着て大人しくはしていないからな?」
「良いな、そういう姫さん。俺はドレスより剣を持つ姫さんの方が好きだ」
「世辞が上手いな…城に行く、ついて来い」
生まれてこの方アリシアは綺麗と言われたことがない。幼い頃からいつも周りの大人達は小さいアリシアの傷を見ては嘆いた。
傷がなければ母親似の美人になったろうにと声を潜めて話すのを何度も聞いて育ち、顔の傷はアリシアの大きなコンプレックスとなった。
『綺麗だ…お前、綺麗だな』
どうせ世辞だ、誰にでも言っているはずだ…心にもやもやした気持ちを抱きながらアリシアはカイルを連れ城まで歩きだした。
色々、書きたいことがあるのに上手い具合にすすみませーん…はぁーとりあえず地道にコツコツ書いていこうかなぁーと見て頂いけたら励みになります。読んでくれる方ありがとうございます!