1話 異世界転移
初投稿作品です
よければ読んでみてください
とある高校の午後の教室。昼休みも終わりに近づき、クラスの皆は教室内に戻り、次の授業の準備や読書、友人とのおしゃべりなど、思い思いの時間を過ごしていた。
「昼食の後に檜山の数学とかマジだるくね?」
「それな!俺絶対寝ちゃうわ!」
「お前は時間とか関係なくいつも寝てるだろ?」
「今日の放課後、駅前のカフェに行かない?今週から新作のパンケーキが出てるんだって!」
「あ~、私も気になってたんだ!行こう行こう!」
「私も行く~」
教室のいたるところから聞こえてくる話し声は、いたって平和そのもの。いつもと変わらない1日が過ぎていくのだと思っていた。いや、そもそも何かが起こるという発想自体がなかったといえる。
もうすぐ先生が来ると思っていたその時だった。教室の床に発光する不可思議な幾何学模様が現れた。幾何学模様はバチバチッと雷のような音を鳴らしながら教室の床全てを埋め尽くす。その状況に教室にいた人々はパニックに陥っていた。ただ1人の生徒を除いて
その幾何学模様が発していた光は次第に強くなった後、一気に爆発したかのように光が教室を真っ白に塗りつぶした。光が収まった後、発行源だった幾何学模様は消えていた。教室にいた生徒たちと一緒に。
生徒たちは気が付くと見慣れないタイルの床の上に尻餅をついていた。その床には発光はしていないが先ほどまで教室の床に現れた幾何学模様と同じものが描かれていた。そして、生徒たちを囲むように、白のローブを着た人たちが10名ほど少し驚いた表情をして佇んでいた。
先ほどまで教室にいたはずなのに、見慣れない場所で見慣れない人たちに囲まれている状況に生徒たちは教室にいた時以上のパニックに陥る。これは夢なのかと一瞬考えるも、床の冷たさや、生徒たちの喧騒がリアルな感覚を身体に伝え、これは現実なのだと理解させられる。何が起こったのか分からない生徒たちの中で1人この状況を理解できていた、男子生徒が内心で呟く。
(転移魔法……)
その生徒の名は、一ノ瀬仁。現代に残る数少ない魔法使いであり、後に異世界を救った英雄として名前を残す男である。