神様のお気に入りは果たして幸せですか?
後ろ向きなお話です。
鬱や辛くなる場合は読むのをやめて前向きなものを読みましょう。
ここはどこだろう。
なぜ俺は座っているんだ?
ただ、立つということを忘れてしまったかのように立てない。
催眠術なのか?
でも、ここまで来た記憶やましてや催眠術を受けた記憶もない。
それからいくらたっただろう。
前が見えなくなるほど輝きで思わず目を閉じてしまう。
「うわ、眩し!」
いきなりの輝きで視界が奪われていて何が起きたかわからないが誰かが話しかけてきた。
「私の愛すべき者よ。
時間をもらってしまってごめんなさいね。
貴方は死んでしまったの」
視界が戻ってくると段々自分がどの状態なのか考えられるようになってきた。
そこでは、自分が死んでしまったこと。
死因は、恋人だった人に刺さ出た血による多量出血。
笑えない。
なぜか冷静に理解してしまう。
してしまうのだ。普通なら怒るなり、悲しむなりするはずだ。
冷静でいられるわけない。
それまで理解できるのだ。
しかし、何故か冷静で理解してしまってる。
その答えは、さっきの声の人が教えてくれた。
「何故、冷静でいられるんだって思っていらっしゃいますね。
お答えします。
私が冷静に理解できるようにしむけました。
狂ってしまう方がいらっしゃるのを私の仲間から聞いてそうしました。」
何でこんなことするんだ?
言うより早くそいつが答える。
「何でこんなことをするのかって?
フフフフフフ、何でですって?
好きだからに決まってるじゃないですか。
愛してるからに決まってるじゃないですか。
まぁ、わからないと思いますが、
あ、それと貴方の望んでいた転生でしたっけ?
させてあげますよ。
喜んでくださいよ。
笑ってくださいよ。
笑ってよ。
笑えよ」
狂ってる。
「では、行ってらっしゃいませ。
私のダーリン」
そのあとは、英雄のような人生を演じさせられた。
なんだこれは。
なんなのだ。
でも、まぁいい。
彼女ともう会うことはないはずだ。
ゆっくり休める。はずだった。
俺はまた、あの空間に戻されるとは思いもしなかった。
「やっと戻ってきてくれたんですね。
50年待ってましたよ。
では、次は、優しい君主になってもらいましょうか。
大体68年ですからその年に、フフフ」
ちょっと待ってくれ、解放して……
最後まで言うこと考えることを許さず
また、新たな人生に送られる。
何が楽しかろう。
何が嬉しかろう。
自分のしたいよう動いてるつもりで、逆の行動しようとも勘違いされ結果を残され彼女の言った通りになってしまう。
違うのだ。俺は、そうじゃない。
違う!違う!誰か助けてくれ!
誰か……誰か……
死んだのはあの人の言うとおり68歳だった。
また戻ってきてしまった。
「そろそろですかね。
ね?
私のダーリン」
彼女に言われたことに段々否定や口論を行う気持ちもなくなってくる。
それはそうだ何年も何年も繰り返してきたのだ長い年月を。
何度も何度も。
今願うことは1つ。
その言葉はかすれていたかもしれない。
かなしかったかもしれない。
ただ、逃げたかった。
「楽にさせてください……」
彼女はやっと声だけじゃなく姿を見せた。
とっても笑顔だった。
それももうどうでもいい。
「楽にさせてくれ」
彼女は頷いた。
「はい。
ずっと、永遠に、末永く、一緒にいましょう。
ずっと、ずーと…………ね」
これは、神様に気に入られたために起きた出来事。
お気に入りは幸せですか?
どうでしたか?
彼はこの後、幸せになれたのですかね?
それは、ご想像にお任せします。