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400 世界を巡る 1

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 まずは聖シュルール教会本部上空へと転移し、地下に迷宮がある旧本殿を聖域結界で覆った。

 周辺に魔族や魔物が出現していないことから大きな混乱はなさそうなので、俺は教皇様とルミナさんにここを任せることにした。


「教皇様とルミナさんは迷宮から魔族や魔物の侵攻があるかもしれないので、聖都のことは教皇様とルミナさんにお任せします」

「了解じゃ」

「ルシエル君、申し訳ないが私をブランジュ公国へ送って欲しい」

 教皇様が了承してくれたのに対し、ルミナさんからは以外な返答があり少し驚いた。


「何故ですか?」

「教皇様とカトリーヌ団長が指揮する騎士団もいる。それならば私は故郷であるブランジュ公国があれよりも地獄となっていくのを食い止めたいのだ」

 ルミナさんの意志が固いのを確信したので、まずは同行してもらい、最後にブランジュ公国へ向かうことにした。


「ルミナさんをブランジュ公国へ転移させることは出来ますが、各地の迷宮と状況を確認してからでもいいですか?」

「ええ」

 少しだけブランジュ公国へ単独で転移を頼まれると思ったが、ルミナさんは俺の提案を了承してくれた。

 

「それでは念のため聖都を覆う聖域結界も発動しておきます」

「感謝ずるのじゃ」

「いえ。教皇様、聖都のことはお任せします」

「任せておくのじゃ」

 教皇様はそう告げ、教会本部へ下りていくのを見送り、今度は帝国の帝都へ転移した。




 帝都は聖都と違い魔族と魔物の侵攻を受けており、帝都を守る結界は破られてしまったようだ。

 もしかすると邪神として魔族と魔物を召喚する魔法陣の影響がと思ってみたが、俺の発動しておいた聖域結界ごと邪神の召喚魔法陣も消滅していた。

 直ぐに聖都と同じく帝都にも聖域結界を展開し、浄化波を発動してから索敵してみると、帝都内に魔物と魔族の存在を確認することは出来なかった。


「ライオネル、帝都は任せる。帝都をまとめるには戦鬼将軍としてのライオネルが必要だろう」

「仕方ありませんね……。しかし帝都が落ち着いたら迎えを頼みます。私はイエニスの方が気になるので……」

 確かにライオネルは帝国よりもイエニスにいたいはずだ。それでもこの帝国での知名度などを鑑みれば、帝国をまとめられる適任者はライオネルしかいなかった。


「ああ。各地が落ち着いたら迎えにくる」

「旋風、ルシエル様を頼むぞ」

「ああ。だが、俺も直ぐに離れることになるんだろ?」

 どうやら師匠には俺が戦力を分散しているのがバレていたようだ。

 

「はい。師匠にはグランドルを平定してもらいたいと思っています」

「メラトニではなくグランドルか。確かに遣り甲斐はありそうだな。だが、俺達だけじゃフォロー出来ないのは分かっているな」

「はい」

 そう。各国の主要都市だけでなく、町や村を含めると人手は圧倒的に足りないのだ。

 俺もメラトニは心配だけど、そこまで危険な場所ではないので後回しにするしかないのだ。


「それならルシエルは各地に散らばっている仲間と合流して動け。俺は冒険者本部ギルドから各地の支部へ連絡して魔物の集団暴走(スタンピード)に備えさせ、魔族が出たら魔通玉で連絡する」

 こういうところに師匠の冒険者ギルドマスターとしての頼もしさを感じる。


「ライオネル、帝国を頼みます」

「はっ!」

 そしてライオネルは師匠の顔を見てから笑うと、空気の壁を蹴り帝都の黒煙が立ち昇る場所へ跳んでいった。

 その姿を見送った師匠の額に青い筋が出来上がったが、俺は気にすることなくグランドルへ転移した。




 グランドルは冒険者の国だけあって冒険者の質と量が兼ね揃っている。

 しかしその反面、血気盛んな者達が多いのもの事実だ。

 何が言いたいのかと言えば、グランドルの結界は壊されていなかったのだが、怪我を負った冒険者達がそこらかしこにいるのが見えた。

「師匠、冒険者達は治していきますので、あとのことはお任せしますね」

「ああ。だが、魔力は持つのか?」

「ええ。現実逃避したくなるぐらいおかしな魔力回復量のおかげで、魔力枯渇することは生涯ないと思います」

 あのステータスを見るまでは気がつけなかったけど、ステータスを自覚してから自分の持つ魔力だけでなく、空気中に漂う魔力の素である魔素に干渉することで自分の魔力として扱えるようになった。

 さらに魔力も【瞑想】スキルを常時発動しているぐらいの勢いで自然と回復してしまうのだ。


「そ、そうか。それじゃあグランドルは任せろ」

 師匠は俺の魔力量にちょっと呆れていたが、ちょっとひいていたどうやら俺とルミナさんを見送ることにしたらしい。

 俺はおかしくなった魔力範囲でエリアエクストラヒールを発動し、下の方で歓声が上げるのを聞いて逃げるように転移した。

 それを師匠はおかしそうに笑っていた。



 俺が次に転移したのはドランがいる飛行艇の内部だった。

 実は帝国へ転移した際、おかしくなった索敵の範囲にドラン達を捉えていたのだが、飛行艇に動きがないことが気になっていたのだ。

 急に俺とルミナさんが出現したからか、ドラン、リィナ、ナーニャが変な声を上げ、三人が落ち着くまでに少しだけ時間を要した。


「それで飛行艇はまだ動きますか?」

「飛行することは可能だな。だが、龍の波動を展開させたことで攻撃手段がなくなってしまった」

 整備することが出来ればまた使用可能になることが分かって安心した。


「ドランにはポーラと合流してもらいドワーフ王国を守ってもらいたい。リィナとナーニャは安全が確保されている聖都か、イエニスのルシエル商会へ移動してもらおうかと思っているんだけど?」

ドランはポーラとリシアンに合流することを了承し、リィナとナーニャは安全な聖都への移動を希望した。俺は直ぐにそれを了承し、まずリィナとナーニャをまだ残してあるリィナの魔道具店コメディアへ転移させた。


「飛行艇は魔法袋で保存してくれ」

「分かった」

 飛行艇の外へ一度転移し、魔法袋へ飛行艇をしまうとドランの様子がおかしい。


 しかし直ぐに立ち直ると、俺の顔をまじまじと見つめてから言った。

「邪神を倒したのか?」

「あ、言ってなかった。そうです。だから後は魔物と凶悪な魔族を討伐し、あまり危険な思想を持っていない魔族を暗黒大陸に転移させれば全て終わりです」

「一番大事なことを言い忘れおって!」

 ドランから怒られつつ、ポーラとリシアンのいるドワーフ王国周辺へ転移してみると、そこには夥しい数の魔物の死骸が散乱していた。

 そこで戦闘音が聞こえた場所を確認すると、集団の魔物と魔族を確認することが出来た。


 どうやらポーラとリシアンはゴーレムに乗り込んで戦っていたようだが、そのゴーレムは既に半壊しており奮戦していたことが窺える。

 俺は直ぐに聖域結界をゴーレムへ発動し、それ以上の攻撃を受けないようにしてすべて魔族を呑み込む浄化を想像して発動した。

 その想像通り青白い大波が全てを呑み込むと、幾つもの青い炎が上がり集団の魔物と十数体にも及ぶ魔族がいたことが分かった。よく二人はこの魔族達を食い止めることが出来たのだと称賛したかった。


 そうこうしている間に、二体の魔族を残し全ての魔族が浄化されてしまった。

 俺は魔族に語りかけることはせず、二体の魔族を暗黒大陸にいるアヴァロストの下へと転移させ、ポーラとリシアンの下へ向かった。


 ゴーレムは半壊だったが、二人に大きな怪我はなく、魔力が枯渇している以外は特に問題なさそうだった。

 ただ魔力枯渇の影響で意識がなかったので、俺はレインスター卿の置き土産で魔力を譲渡することが出来るようになっていたので、二人の魔力を全開にしておく。


「ドラン、聖域結界を発動しておいたし、周囲に魔物や魔族もいない。二人が起きたら散らばった魔石は既に浄化してあるから好きに使って構わないと伝えておいてください」

 すると何故か意識ないはずのポーラとリシアン寝顔が笑顔になった。魔道具をたくさん作る幸せな夢でも見ているのだろう。


「ルシエル、儂らは戦力として考えんのか?」

「いえ、これまで通り期待しています。どうやらドワーフ王国やロックフォードに魔族や魔物はいないと思われますが、何が起こるか分からないので、この付近の警戒をお願いします」

「凄い索敵能力になっている気もするが、まぁこの周辺は儂に任せておけ。まぁこの二人が起きたらドワーフ王国へ向かうとする」

「何かあれば魔通玉で連絡をお願いします」

「うむ。強くなったからとはいえ、無理はするんじゃないぞ」

「はい」

 俺はドランのその言葉がとても嬉しく、心だけでなく身体が少し軽くなった気がした。

 そして今度はケティとケフィンがいる との上空へ転移した。



お読みいただきありがとうございます。

長いので分割しております。1/2

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 300回以前と比較にならないくらい日本語が整ってきていますが、相変わらず常識レベルの日本語の誤りが散見されます。せっかくの構想力を活かすためにも、日本語(助詞や用語の使い方、自動詞と他…
[良い点] いよいよエンディングが近づいてきてるなぁ
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