167 理不尽を覆せ
迷宮の核を握ったブラッドは、師匠の斬撃を喰らっても生きている自分が信じられない様子だった。
何度も身体を触り、生きているこが実感出来たのか、とても嬉しがっているように見えたが、動いたり、声を出すことはなかった。
きっと覚醒したとでも思っているのかもしれない。
しかし今はブラッドのことはどうでもいい。
「師匠、直ぐにこちらに」
俺は高級魔力ポーションを飲むと、師匠も魔法の範囲に入ったことを確認して、詠唱を開始した。
【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我が魔力を糧とし、天使の光翼を、不浄なるものを退ける盾となり、悪しき穢れを払う 大いなる聖域を創り給え サンクチュアリ バリア】
青白い光を放ち、ドームのような半球体が俺を中心に出来上がる。
対邪神の切り札だ。
あの核さえなければ、問題なく踏破出来たけど……済んだことより生き残ることを考えることの方が重要だ。
「ルシエル、この半球体とその周りに回っている鏡はなんだ？」
「これは聖域円環を応用して作った俺のオリジナル結界魔法で、聖域結界と名付けました。回っている盾がこのバリアの耐久値だと思ってください」
これの凄さを説明したくなったが、そんな時間はないので、後で説明することにする。
「あれだけの瘴気を生み出している核を、普通に手にしているあの者は平気なのでしょうか？」
「既に殆ど意識を取られているんじゃないか？」
ライオネルと師匠は軽口を叩いているが、その額には汗を掻いている。
ライオネルは一度赤竜と戦った時に汗を同じような汗を掻いたことはあったが、師匠に限っては、今まで一度も見たことがないことだった。
「あの精霊達も怖がっているんですけど……ここから出られますよね？ またお姉様に会えますよね？」
「そう祈っていてくれ。そして出来れば応援もしておいて欲しい」
リディアがここに残った意味がきっとある筈だ。
精霊も神を呼んできてくれないか？ そんな軽口を叩ける状況ではないので、我慢してブラッドを警戒する。
「《はっはっは、気分が良いぜ。力が溢れてくるぜ。お前達、さっきは俺のことを見下していたんだろ？》」
ブラッドはこちらに近寄ってきて、話し始めたが声が二重に聞えてきていた。
まるで念話、魔力が声に乗っているのかも知れない。
「見下していたように見えたのか？」
俺は会話をしながら、師匠達がブラッドに仕掛けるタイミングを計る
「《お前達の目はあの腐った公国ブランジュの貴族に似ているぜ。俺は転生者なんだよ。最初から鑑定を持っていたから、商人になることが出来たし、町の近くにはスライムやゴブリン、角兎しか出ないから倒して、レベルが上がって、スキルを取って、本当に楽しかったぜ》」
「楽しかったんだろ？ それなら何故、他人を陥れるような真似をするんだ」
自分の身体を聖域結界で焼きながら、痛がることもなく話を続けるブラッド。
アンデッド化したことによって、完全に痛覚がなくなったのだろう。
「《ある貴族のボンクラ息子が将来を誓った俺の恋人を攫って弄った挙句、殺しやがったんだ。何でだと思う？ 平民が楽しそうなのが気に入らなかった、それだけの理由だ」
「…………同情はする。だが、俺でもその貴族は許せないだろ。しかし、お前がやっていることはその貴族と同じだろ」
罠に嵌めて殺せなかったから、奴隷に落とすとか、誘拐と殺人未遂で立派な犯罪だ。
「《あの時、俺は悟ったんだ。この世は弱肉強食だってことを》」
俺が投げ掛けた言葉が、ついにブラッドに届かなくなった。
「ルシエル、あいつはもう頭の中が飛んでしまったようだぞ」
「どうやら既に幻覚を見てしまっているようです」
ブラッドは聖域結界を無視して、身体を焼いたまま歩みを止めず、ついに身体が溶け始めるが、その行為を止めようとしない。
しかし少ししてから、一定の距離から進めないことが理解出来たのか、迷宮の核を握り高く上げて口を開いた。
「《この俺を止めたいのか？ 俺はミーナの敵を取るまでは止まる訳にはいかないんだよ。邪魔する者は全て蹴散らして、無に変えてやる【我が身、我が血、我が魔力を糧として、全てを無に還す暴力よ 顕現しろ】》」
次の瞬間、ブラッドがいた場所が爆発して黒紫煙に包まれた。
そして黒紫煙から、凄まじい威圧感がどんどん膨れ上がるのを感じる。
「オイオイ、あの煙から尋常じゃないプレッシャーを感じるぞ」
師匠の額の汗が凄いことになっていた。
「ルシエル様、その状態で聖域円環は発動出来ますか？」
ライオネルが頼ってくるが、死にたくないから、俺もやれることは全てやることにした。
「死にたくないから、やってやるさ【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我願うは我が魔力を糧とし、天使に光翼の如き、浄化の盾を用いて、全ての悪しきもの、不浄なるものを、焦がす聖域を創り給う サンクチュアリサークル】」
煙を青白い光が飲み込んでいき、全てを呑み込んだ。
そう思われた瞬間、聖域円環に罅が入り、割れたと同時に出来ることなら一生会いたくなかった邪神が、ついにその姿を顕現させてしまった。
その姿は魔族寄りではあるが、人の姿と酷似していた。
《いきなり攻撃してくるとは 失礼な者だな》
姿は人に近いのだが、その声を聞いただけで、スキルⅩになった精神耐性を習得していても、全身に鳥肌が立つくらいの圧力を感じるのだ、耐性がないリディアは座り込んで震えてしまっていた。
邪神のその姿を邪神らしくなりと貶すことも、憚られてしまう。
「謝るから帰ってくれないか？ 主神クライヤがいつまでも顕現させているとは思えないが……」
《辛辣だな 人の身でこの迷宮を踏破するとは 中々やるな 迷宮の核の側にいてアンデッドになっていないとは…… 貴様等、もしかして迷宮荒らしだな》
どこで気がついたのだろう？ しかしここで認めたら帰ってくれそうにないので、息を吐くように自然と嘘をつく努力をしながら喋る。
「何のことだ？ 俺達はさっき爆発した者を追いかけて来ただけだぞ？」
《クックック 邪神とはいえ 神である余に嘘は通じないぞ 罰を与えてやる》
だったら最初から聞いてくるなと心で叫びながら、結界を維持してみせる。
そう思った次の瞬間、邪神が手を伸ばして左から右へ振った。
たったそれだけことだ。
それなのに聖域結界が揺らいで、周りを回っている盾が次々と割れて、結界にも罅が入っていく。
「【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我が魔力を糧とし、天使の光翼を、不浄なるものを退ける盾となり、悪しき穢れを払う 大いなる聖域を創り給え サンクチュアリ バリア】
【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我が魔力を糧とし、天使の光翼を、不浄なるものを退ける盾となり、悪しき穢れを払う 大いなる聖域を創り給え サンクチュアリ バリア】
【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我が魔力を糧とし、天使の光翼を、不浄なるものを退ける盾となり、悪しき穢れを払う 大いなる聖域を創り給え サンクチュアリ バリア】」
俺は何とか三重の聖域結界を発動させることで、何を逃れる。
《ほう 中々やるではないか》
「ありがとう。そして、さようなら。気が済んだなら帰ってください」
本当に帰って欲しい。クライヤ様、聖治神様、ご先祖様、邪神はここです。
早く助けに来てください。
俺は必死で帰ってくれることを祈りながら、時間切れまで会話を伸ばす。
《くっくっく 面白い奴だ》
「全然面白くない。何故勇者と魔王の戦いに介入するんだ？ 転生龍も精霊もいい迷惑だろ！ それ以上に一般人を危険に巻き込むなよ」
《魔族が跋扈するそんな世界があっても構わないだろ？》
ただやったことないから、試しにやってみようぜ。
そんな軽いノリで言われたと錯覚してしまった。
そして俺はこいつの言っていることが理解出来てしまった。
きっと単純な話だ。生態ピラミッドの一番上に君臨していて、ただ好奇心が強くその衝動を抑えられない。まぁ抑える気がないのだろう。
やれるからやってみた。それだけなんだろう。
こういう相手にはいくら説得しても、きっと魔族が跋扈する未来を楽しいと思えることを覆さないと継続していくはずだ。
「魔族がどんな種族なのかは知らないが、個体能力が人や獣人より優れているなら、穏やかな生活が送れなくなるだろ。頼むから帰ってくれよ」
《ふむ 本音で語るとは気に入った アンデッドとして余の駒となり 世界を見つめるのだ」
あ、やばい。邪神が力を示そうとした時だった。
「させん」「滅びろ」
師匠とライオネルが全力の斬撃で攻撃を仕掛けた。
しかし斬撃は三十センチ手前で見えない壁に弾かれてしまう。
それでも二人は斬撃を放ち続ける。
俺はそれに感謝してもっと聖域結界に強固なものとする為に魔力を込める。
《ふむ 余に対する攻撃が意味のないものだと知りながら それでも続けるとは面白い》
「ならば、少しでも傷をつけられれば、諦めて帰られよ」
「我等は弟子を守る為なら、神の壁さえ切り裂いてみせよう」
《切り裂いて傷をつける？ くっわははは よかろう 貴様等から先にアンデッドにしてやろう》
邪神は本気で大笑いをして、二人をおもちゃとして遊ぶつもりなのだろう。
「師匠、ライオネル相手は人の形をしていても神だぞ」
二人は俺の言葉に笑う。
相手が神なんてことは十分理解した上の行動なのだろう。
だからこそ師匠とライオネルも仕掛けた。
きっとこのままじゃ全滅する未来しか見えなかったから……。
それでも、と思った時に師匠が俺に声を掛けてきた。
「ルシエル、最後になるかも知れないから伝えておく。どんなに苦しくても諦めたらそれで終わりだ。そこで泥臭くても、もがき続ければ光が見えるかもしれない。俺がお前に教えてもらったことだ」
「師匠ですが、時間を稼げば主神クライヤが助けにくる可能性があります」
「ルシエル、邪神でも神がその可能性を考えていないと思うか？ まぁここは師に任せておけ」
「師匠……」
その背中は凄まじく大きいが、俺には師匠が死んでしまう未来しか見えなくなっていた。
そしてその師匠と比肩するライオネルもまた、俺に微笑みながら感謝を述べる。
「ルシエル様、貴方と出会えたことで、この世界に新たな光を見ました。それは我等だけではなく、多くの者がそうなのです。そんな貴方を救えるなら老骨になっていくこの身を捧げましょう」
「ライオネル、まだ決着をつけていないから奴隷なんだろ？ それにナーリアのことだってあるだろ」
「ナーリアは私のことを分かっています。それに奴隷でいたのは、私怨を晴らすためでした。しかし貴方と共に過ごした日々が、私怨を晴らすという狭き心に囚われていた私を救ってくれた。そして主の為働くのが従者としての務めですから」
「ライオネル……」
二人は死ぬ覚悟を決めていた。
自分の命を燃やしてでも、俺の命を救おうとしてくれている。
どうしたら二人を死なせないで済むだろう？ 俺に何が出来る？
《別れは済んだな？ さぁ掛かって来い》
邪神の言葉は笑っているように聞えた。
それが俺には腹立たしく、どうせこの場を乗り切らないと死んでしまうことに、怯えるのを止めた。
「邪神、本当に諦めて帰ってくれよ 俺が居る限り誰もアンデッドにさせないからさ」
【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我願うは我が魔力を糧とし、天使に光翼で 全ての穢れから身を守る 聖域生み出す鎧を創り給う サンクチュアアーマー】
【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我願うは我が魔力を糧とし、天使に光翼で 全ての穢れから身を守る 聖域生み出す鎧を創り給う サンクチュアアーマー】
俺は師匠とライオネルに切り札第二弾の聖域鎧を発動した。
この魔法が成功したのはつい数日前だった。
「師匠、ライオネル、絶対に死なせませんから、なる早でボコボコにして、退かせてください」
「「おう」」
「旋風ブロド 推して参る」
「戦鬼ライオネル 推して参る」
二人は最初から全力全開で、聖域結界を飛び出して、邪神に攻撃するが、その攻撃は見えない壁に当たって止められてしまう。
しかし一度や二度ではなく、二人の連携した攻撃が続く。
邪神からも攻撃があるのだが、それを全て避けてカウンター攻撃を仕掛ける。
《人族と戦うのは久しぶりだが 少し弱いな 徐々にこちらの攻撃を早くしていくが 当たったらアンデッドになるから気をつけろ》
邪神はそう言って笑った。
しかし今まで手加減してくれていたおかげで、何故口撃が止まってしまうのかが理解できた。
あの見えない壁は瘴気だったのだ。
透明化しているが攻撃が止まった瞬間に紫煙が微かに視認出来た。
これが邪神の与えてくれたヒントなのか、それとも罠なのか、俺には正しい状況判断が出来ないかもしれないが、それに賭けてみることにした。
師匠とライオネルは何度も攻撃をしかけ、何度も攻撃を避けて掴んだきっかけだった。
その恩に報いる為、俺は二人が邪神と交差するタイミングで、無詠唱の聖域円環を発動した。
その結果……邪神の両腕には微かだが、傷がついたのだった。
《ふむ 中々楽しませてもらった 脆弱な身体で我の攻撃を受け続けるとは…… 今回はその二人に免じて余は約束を守ってやろう さらばだ 迷宮荒らし達》
俺はその言葉が気になり二人を見るが、全く変わったところはない。
「もう会いたくないから、帰ってくれ。それとここから出る魔法陣はどうなるんだ？」
邪神は迷宮の核を放り投げると、消えていく直前に帰還の魔法陣の出現させる条件を告げて消えていった。
《アンデッドが居なくなれば 迷宮から出られるぞ》
「一体どういう意味だ？ リディア、大丈夫か？」
「な、なんとかです。お、お役に立てなくて、ごめんなさい」
泣きべそをかいているリディアは、放っておくことにした。
「師匠、ライオネル本当に二人とも凄かったです。二人と……なッ？！」
俺が二人に声をかけると、二人は嬉しそうに笑って、その身を崩していく。
二人の聖域鎧は粉々に砕け散っていたのだ。
「……これがなければ……救ってやることは……出来なかった……なんて、師匠としてはどうか……と思うが、お前が……無事でよかった……」
「……従者の……務めが果たせて……良かったです」
二人は穏やかな顔をして、死を受け入れ始めていた。
「今すぐに治しますから……！！」
俺は不意に目から零れ出した涙を拭い、必死に救う方法を考えていた。
「悪いが……既に半分はアンデッドに……なっちまった。せめて……殺して経験値を……受け取ってくれ」
「意識が……闇に……落ちる前に……早く」
二人の身体からは、薄っすらと瘴気が漏れ始めていた。
急速にここからアンデッド化が進むのだろう。
このままでいいのか？
人はいずれ死ぬ。
しかし、こんな理不尽な死が許されるのか？ 邪神は神なんだから、悪さをして邪神を捌かない主神にも苛立ちが募る。
今まで同じように邪神によってアンデッドになったものは、全て浄化して生命としては救ってこなかったのに、自分の知り合いだから助けるのか？
色々な声が聞こえてくる気がしたが、俺の答えは案外シンプルに出た。
「凡人の命が転生してこの世界に来たのなら、この二人を救うためのものだったんだろう。そう考えれば、ここは賭けるところだろ。それに必ず死ぬわけじゃないし」
俺は立ち上がりながら、高級魔力ポーションを次々と出して飲んでいく。
「二人とも知らないんですか？(ゴク、ゴク、ゴク) アンデッドって経験値が少ないんですよ(ゴク、ゴク、ゴク) 師匠と従者筆頭が一気に死んだら、俺の平穏はどうなるんですか？(ゴク、ゴク、ゴク) 少しは考えて発言してくださいよ」
俺はステータスを呼び出して、ＳＰを操作し始める。
「師匠、昔師匠が言った言葉に嘘はありませんでした。まさか溜まりに溜まったＳＰをちゃんとした理由で使うことになるなんて思いませんでしたよ」
俺はステータス画面からＳＰを消費して、限界突破のスキル二百Ｐと覇運を百Ｐで取得する。
限界突破は自分の限界を超えるもので、デメリットは限界を越えてものに対して反動が二倍と説明されていた。
豪運先生では今回の件は心許ないので、覇運先生にも来てもらった。
賭けだから、運に縋りたくなったのだ。
「リディア、これを頼む」
俺は隠者の鍵を二本と小分けにしてある白金貨、金貨の入った袋をリディアに投げる。
「意識を失ったら棺に入れておいてくれ。それと生活費が足りなかったらそれで捻出してくれ」
俺はそう言ってリディアに微笑むと、返事は聞かないで、今度は師匠とライオネルを見て笑いながら上からものを言う。
「二人には一度死んでもらいます。たぶん死ぬぐらい痛いですけど、俺はまだ二人に教わっていないことも多々ありますし、まだ笑いあい、修行をつけてもらいたいので覚悟してください」
俺は顔を叩き、一度深呼吸をすると、静かに詠唱を開始した。
【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我願うは我が魔力を糧とし、天使に光翼の如き、浄化の盾を用いて、全ての悪しきもの、不浄なるものを、焦がす聖域を創り給う サンクチュアリサークル】
まずアンデッドのままでは困るから、聖域円環を発動させる。
さらにそのまま全てが消滅するのを防ぐためにエクストラヒールを掛け続ける。
【【聖なる治癒の御手よ、母なる大地の息吹よ、我願うは魔力を糧とし、天使の息吹なりて、彼の者の本来あるべき姿へと復元し、生命の神秘を願わん。エクストラヒール】】
そして魂が天へと昇ってしまう前に、二人の魂を呼び戻し定着させてみせる。
それが例え禁術指定を受けたⅩの魔法でも、邪神の介入で理不尽に運命を摘まれてしまうなら、その理不尽を覆してもいいだろう？
【【聖なる治癒の司る神よ、運命を司る神よ、古の誓約により、本来朽ちてしまう運命ならぬ者を、本来の運命へと引き戻し、我の魔力を糧とし、慈愛の名の元に 生命を紡ぎ未来へ繋ぐことを願わん 神々の審判を求める リヴァイブ】】
青白い光とは違う、黄金の光が師匠とライオネルに落ちた。
それを見届け、ホッと息を吐こうとした瞬間だった。心臓がドクンとまるで破裂してしまうかの如く高鳴り、俺はそこで意識を落としそうになる。しかし、二人の身体がまだ完全に再生していなかった。
俺は歯を食いしばり、鼻や耳から温かいものが流れている気がしたが、脚に力を入れて踏ん張って魔力を込めていく。
そして何とかニ人の身体が完全に再生回復し、黄金の光が輝きを失ったところまで見届けて、ついに意識を失うのだった。
お読みいただきありがとう御座います。
