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乙ゲー転生?主人公?関係ないね!私は私

作者:

まともな恋愛ものは初なので拙いです。

どうしてもギャグに逃げようとしてしまうのでいろいろぐちゃぐちゃです。

ゲームについては詰め込み過ぎました…

私は未来が分かります。

正確に言うならば私が高校に入学式してからの3年の間の未来が分かります。


えっと別に電波な子では無いからそんな冷たい目を向けないで引かないでぇええ!!


と、まぁ、うん。はい、落ち着きます

未来が分かる理由は私には前世と言われる記憶があってこの世界が乙女ゲーム(タイトルは忘れた)である事を知っているから。

別に魔法が使えたり攻略キャラが王族や貴族だったりする訳ではない。

普通の県立高校の普通の生徒が攻略キャラだ。

だけどこのゲームの人気が出た理由は付き合ってエンドを迎えても3年の間ならば別れて別のキャラを攻略してもいい仕様になっていること。攻略キャラを自分の好きな様に矯正できること。等が上げられる。

一つ目の例については余り説明しなくてもいいだろう。高校生活の間なら何回でも違うキャラを攻略できるって事だ。

この仕様のせいで二股以上全キャラ以下の○股エンド。逆ハーエンド。一途に一人のキャラと付き合った純愛エンド。誰とも付き合わなかった大団円エンド。どのキャラの好感度を底辺に抑えたノーマルエンド。と、それぞれにハッピー、ノーマル、バットが着いたルートがあり全クリをするのは至難の技となる。普通ならば途中で折れてしまう様な量だがスチルの一つ一つが綺麗だった事、攻略キャラからモブに至るまで豪華声優を使っていたこと、何より全クリしたら見られる"雫の記憶"と言う主人公と出会う前とイベントでの攻略キャラ視点の特別ストーリーへの期待で世のお姉様方は睡眠時間を削ってプレイしていた。

二つ目の方はこれも全クリさせる気ねーだろ、と思わせるものだった。

攻略キャラにはそれぞれ初めの設定があり主人公と関わりイベントを消化していくと赤い選択肢が出てくる。実はこの選択肢が鬼門だった。赤い選択肢は攻略キャラの性格を自分好みに変えてしまえるのだ。

例えば初めはワンコ系だったのが俺様やヘタレ、ヤンデレツンデレクーデレなどなど…変わってしまうのだ。

しかもそれぞれの性格でのルートもスチルもあるせいで全クリにはメモリースティックが丸々必要と噂されていた。


…ここまで言ったら分かるかな?

私の前世はこのゲームを全クリした猛者(おねえさま)の一人である。

因みにこのゲームは主人公の入学から始まる。攻略キャラに年下は居なかった。

だって年下っぽい見た目の同級生に年下っぽい性格になる選択肢選べば…ねぇ?


でも、まぁ、面倒なんで関わりたくはない

イケメン?鑑賞用でしょ

生イベント?興味あるのは前世の私で私じゃないから

シナリオが崩れる?あれだけルートがあるんだから平気でしょ

と、言うわけで!!


私こと如月 遥(主人公)はゲームの通りに動かないことをここに誓います!!!


「よし!最初の共通イベントは入学式だったよね、目立つのダメ絶対」


そして攻略キャラには近づかない。うん。

入学式のイベントでは生徒会長の挨拶が終わった時に目が合ってつい主人公が目を逸らして嫌そうな顔をする事。

なんでも会長曰く今まで顔のせいで目が合ったら運命だ!と叫ぶ人ばかりだったのに嫌そうにするのが新鮮だったらしい。


とりあえず会長の方を見ないで時計をガン見してようと思う。それはもうじぃぃぃいいっっと。

だって体育館の時計って壇上の斜め上についてるから傍からみたらちゃんと前向いてるように見えるでしょ?しかも会長とは絶対に目が合わない。なんて凄い発想なんだろう!


そんなことを考えながら学校への道を歩いていく。この学校は丘の上にあるせいで坂道が長くて急だ。ふふふ万年文化部舐めんなよ、もう足が棒のようだ。辛い、なにこれ


えっちらおっちら歩くこと15分

その間にかなりの人数に抜かされた。

物凄くこいつ大丈夫か?みたいな目線を貰った。…いやまぁ、ぜぇはぁ言いながらフラフラ歩いてたらそうなるか…うん


「はぁ、はぁ…ハッ……はぁ」

「えーと…大丈夫ですか?」


黒髪清楚系美少女来たぁぁああ!!!

え?ご褒美!?頑張った私にご褒美なの?

不健康に見えない程度に透き通るような白い肌。腰の辺りまで無造作に垂らしてある筈なのに艶のある綺麗な黒髪。出るとこは出て引っ込んでるとこは引っ込んでる見事なプロポーションは制服を着ていても分かるほど。

意志の強そうな大きな目は心配そうに潤んでいる。……うん、ご褒美だわ、これ


「だ、だだ大丈夫です」

「そう?ならよか-」

「涼香?どうかしたのか?」

「慎君!?先に行ったんじゃなかったの?」

「あぁ、それで生徒会の仕事も後は進行だけに纏め終わったから…その、涼香と居ようと思って…べ、別に急いだ訳ではなく、たまたま、だな、その」

「そう、なの?私は一緒にいれるなら嬉しいな」

「!、お、俺も、その…ぅれしい…と思わないことも無い!」


うわー私完全に空気だわ

因みに生徒会云々言ってるこの人はパッケージや説明、ゲームの中で見た攻略キャラ(メインヒーロー)だ。

黒目黒髪の純日本、という色合いで髪も少し長めになっている。着物を着せれば一番似合うキャラでもあり、この作品の生徒会長をしているキャラである。因みに前世(わたし)が好きだったキャラだったりもする。

…とは言ってもゲームとは違って髪は短めに切りそろえてあるし性格もツンデレ…いや、ツンデレと言うにはツン率が低いかな…

クーデレ?違うな…

………あぁ、ただのヘタレか

この人は元は紳士なんだけどなぁ〜

絶対にこの美人さんに攻略されてるなぁ〜


「あの、ありがとうございました。私はこれで…」

「え?えぇ、きちんと水分はとった方が良いですよ」

「ハイ!失礼します!」


気づいた。この人先輩だったわ

考えたらすぐに分かるじゃん自分!!!

だって私は今日入学する新入生で在籍してる生徒は皆先輩じゃん!

…あ、名前、聞き忘れた……


ま、まぁ!攻略キャラには近づかない様にするんだからその彼女と友達ってのもね?なんか、あれじゃない!?


うん…これでいいんだよ、ね?





…因みに入学式は疲れのせいで爆睡しました。

いやだって校長先生の話長いんだもん

初めの10分間位は覚えてるよ?でもそこからが、ねぇ…なんでお年寄りってあんなに話すのが長いんだろう。













********************



「で?」

「で?って酷くない!?」

「だってそうだろう?いきなり部屋に入ってくるなり"フラグ折れたー!"と言われてそれ以外に何を言えと?」

「ふ、普通に良かったな、とかそーゆーのは…ないんですねすみません!」


時は過ぎて今は夕方…いや、もう夜に差し掛かる頃、遥は幼なじみであり唯一前世の記憶を話している望月梓の部屋に押しかけていた。

梓は前世の記憶(乙女ゲーム)に登場していないキャラだったので昔から遥が安心して接することの出来る数少ない友達である。

とはいえ梓も攻略キャラに負けないレベルで顔立ちが良かったりする。

遥からしてみれば梓は唯一無二の友であり、前世(自分)を受け入れてくれた数少ない存在であるためその艶やかで長めの黒髪も眼鏡をかけているせいで分かりにくいがキリッとした目元も、たまに(遥限定で)浮かべる優しい微笑みも全て"梓"をかたどるだけの物であるために何とも思っていなかった。


もっとも普段は滅多に笑わずゲーム主人公であるが為に顔だけはいい遥のお守り(虫除け)をしている為、一部の(駆除された物たち)からは皮肉を込めて"騎士"と呼ばれている。


「それで?それだけか」

「…なにが」

「…はぁ」


言外に、そんな事も分からないのか、と

言うようなため息に普通の人間なら一瞬躊躇うがそこは幼なじみ、しかも前世分人生を経験している遥は瞬時に理解していた。

このため息は馬鹿にしているのでも呆れているのでもない、ただ単に説明するのが面倒だと思って出たものだ、と。


「んー?あ、ちゃんと生徒会長以外のフラグも折ったんだよ!」

「……そうか」

「んん〜?」


折ったフラグの数ではなかった様だ。

実際に遥は今日だけで起こる全員との出会いイベントのフラグをへし折っていた。

まぁ、会長以外のキャラとは道に迷ったり寄り道しなければイベントは発生しないので簡単に回避する事はできたが…


遥の頭の中では既にゲームのフラグについてはもう意識する価値のないものとしての扱いまで下がっていた。

何故なら始めさえ折ってしまえばシナリオ的にも次のフラグが立つことも無いからだ。

よって遥の頭は梓が何について聞いていたのかを考えることで精一杯になっていた

幼なじみ、転生者、とは言っても遥は人間。

攻略キャラでもないしモブでもない梓が考えていることなど分かるわけがない。

意志のある人間なのだから他の人間がその考えの全てを分かるわけがないと分かっているが遥は梓の考えを当てなければ梓の機嫌が悪くなっていくことを知っていた。


「んー…?」

「…お前な……用はそれだけか?と言いたかったんだが」

「あぁ!」


思わずなるほど!、と手を叩いてしまう。

が、遥にとっては梓の部屋に行く事は日常生活の一部となっているので特に用事が有ろうが無かろうが梓の部屋に行く、梓と話す、と言う事に疑問を持てなかった。


だから、梓の目が意味ありげに細まったのにも気づくことはなかった。


「ないよ、用は」

「なら帰るんだな」

「ちょ、なんか冷たくない?」

「気のせいだろ」

「そんな事ないもん!」

「ならなんでお前は俺の部屋に用も無いのに入り浸るんだ」

「それは…!」


論点がズレていることには気づいている。

気づいているが梓のペースになってしまえば遥にはそれを自分のペースにする事は殆どできないでいる。

できるとすれば自分の素直な気持ちをぶつけて、そのぶつけた物が梓の予想していなかったものに限る。


「梓は…特別だから」

「幼なじみとして、ゲームと関係ないから、「違う!!」…」


明らかに線を引かれる。

梓が自分のペースに持っていく時はそういう時の前触れでもある。

わかっているからこそ遥も引くことができない。何故引く気が無いのか、その答えは遥の中では既に出ていた。出ていたが認める事も伝えることもできないでいた。


だが今梓は幼なじみとしても線を引こうとしている、そんな気がしたから、してしまったから何が何でも-例え呆れられても引くわけにはいけなくなった。


「何が違うんだ?何が、どういう風に」


俺たちはただの(・・・)幼なじみなんだろう?

そう続く声に何も言えなくなってしまう

今、何が声を出そうとすれば言ってしまうだろうから、言ってしまえば戻れない

幼なじみという、今の居心地の良い関係に


つまりそれは梓と気楽に話せなくなる、と言うことでもあるから何も言えなかった


「…なんで、いきなりそんな事……」


ただ、同時に何も言わなければ今までの幼なじみとも変わってしまうことを察していた。今までの付かず離れずの遥にとって丁度いい距離感が離れていこうとしているのは分かっていた。

どうしても変わらなければいけないのならば前に進める方を選ぶ、それがわかる程度には遥は冷静だった。だが分からないのが何故このタイミングなのか、という事だ


「そうだな、俺だけ秘密を知ってるのはズルか…お前はこの世界が乙女ゲームだと言っただろう?」

「え、うん…」


まさか、信じていなかった、と言われるのでは…高校にもなってそんな馬鹿馬鹿しい話をする遥に嫌気が指したのでは…とどんどん悪い方に考えが向き、目の前が暗くなっていく

きっと梓から見たらサーッと効果音がつきそうな勢いで血の気が引いているんだろうな、と心の片隅で思いながら。


「遥が何を想像してるかなんとなく分かるが…続けるぞ」

「…」


これは本格的にヤバイかもしれない

今までならば遥が泣きそうになったり今のように倒れるんじゃ…と心配する程青くなった時は引いてくれていた梓が引かない。

やはり自分に嫌気が指したのでは…

元から信じていなかったのでは…

ずっと妄想を話してくる馬鹿な奴と嘲笑っていたのでは…とそんな悪い予感がどんどん膨らんでいく。

確かに梓からしたら幼い頃から遥にここは乙女ゲームの世界で自分がその主人公だ、などと言われていたら嫌になっても、信じようとしなくても仕方ないだろう

まだこうしてフラグが折れたからもう大丈夫だろうと話を(信じていなかったとしても)聞いてくれていたのは梓なりの優しさだったんだろう

そこまで考えるともう覚悟を決めるしかない

もう学校が一緒でも家が隣でも、関係がなくなってしまうくらいなら自分から断つ方が傷は浅くてすむ


「ーぃ、おい!聞こえてるのかこのバカは」

「ば、馬鹿とは酷くない!?」

「やっと帰ってきたかこのアホは」

「あ、アホ!?」


いつもと同じ軽口をたたきあえた事に嬉しくなるがもうそれも今日で終わりかもしれないと考えたら同時に悲しくもなり視界がゆがんだ。


「まぁいい、もう一度言うぞ」

「うん…」


椅子に座って足を組んでいた梓は立ち上がりベットに腰掛けている遥の肩に手を置いた


「え?えぇ?あ、あず、さ」

「好きだ」

「ぇ………」

「ここがギャルゲーの世界でも、乙女ゲームの世界でも関係ない。俺たちにとっては現実だ。ゲームじゃない如月遥が好きだ」

「……ぇええええええええ!?」

「因みに遥も攻略キャラになってるが…まぁ、安心して主人公()に攻略されてろ」

「…は」

「返事はどうした?」

「へ、え、あ、うん…」


なにかさらりと凄いことを聞いたかもしれない。だけどそれよりも好きだと言うことが強く頭に入ってこない。

じわじわと顔に熱が集まってきているのが分かる。きっと、いや…間違いなく今の自分は真っ赤になっているだろう

それを意識すると余計に顔に熱が集まりまたさらに…と悪循環が続き梓の喉の奥を鳴らすようなかみ殺しきれない笑い声が聞こえるまで続いた。


「覚悟しとけよ?遥」

「の、望むところだ!」


勇ましく答えるが心臓は痛いくらいに鳴り響いている。攻略されたのはいつだったか…そんな事を思いながらじっと見返す。


その後遥はそのまま押し倒されて耳元で愛を囁かれてあっさりと自分の思いを口にするのだが…それはまた、別の話。







ありがとうございました♪(´∇`)

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