第7話 てぇ……てぇ……てぇ
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「さて、と」
オレは立ち上がりパンパンと手を払う。
手に土がついてしまったじゃないか。
結論から言って、ヤンキーどもは無事だ。
……いや無事じゃないか。恐怖から漏らしてはいるな。
だが断じて肉体的に傷つけてはいない。
降り注いだ枝は彼らの服だけを見事に貫通し、ヤンキーたちは地面にぬい付けられただけだ。
まあそれで漏らして気を失っちゃったわけだが。
先に絡んできたのはあっちだ。
オレのは……そう、正当防衛だ。
え? 過剰防衛?
はてさて何のことやら。
それはともかくとして。
こいつらどうしようか……。
オレはツンツンとつついてみるがやはり反応はない。
うーーん。
まあいいか。捨てておいても。
いや、ダメか。
近くにモンスターがいないとも限らない。
あと、他に目撃者はいないか確認しておかなければ。
となればあのセリフの出番だろう。
オレは大きく息を吸い、やがてゆっくりと口を開いた。
「……そこにいるんだろ? 出て来いよ」
そう。誰しも一度は言ってみたいセリフ!
リアルにやったら厨二病乙と言われること間違いなしな、あのセリフだ。
今だったらやっても問題ないだろう。
オレまだ十三歳ですし。
え? 都合のいい時だけ子供になるなって?
ははは、何のことやら。
それはそうと、どこからもなんの返事もない。
当然だ。
いたら困る。
だが、これで思う存分言ってみたかったことを言える。
オレは少し先の太い木を睨みつける。
「バレてないと思っているのか?」
言ってみたかったやつーーーー!!!!
オレのテンションはダダ上がりだ。
調子に乗って神通力を発動させて枝をその木に刺してみた。
「最後の警告だ」
「ま、まってくれ」
……ゑ?
なんか返事があった気がするのだが。
気のせいだろうか。
オレは恐る恐る枝を操っていた手を下ろす。
まさか。まさかだよな?
あの呟きを誰かに聞かれていたなんてこと……。
「誰だ」
「わ、私です。ギルド長のリンダルです」
オレは顔をおおった。
やだぁぁぁぁぁ!!! 恥ずかしいぃぃぃ!!!
ばっちり聞かれていた上に今までのことも見られていたようだ。
ダメじゃん。
ばっちり見られているじゃん。
厨二病は治らないの。ごめんなさいねぇえ!
オレはそのまま地面に転がりたかった。
穴があったら入りたい。
むしろ穴を掘ってでも入りたい。
誰かスコップください。
なるべくでかいやつ。
墓穴掘るんで。
オレは白目をむいた。
リンダルさんがびくりと震えた気配がしたが気のせいだろう。
「え……っと」
何を言う? 何を言えばこの状況をごまかせる?
オレは必死に頭を回転させた。
「ち、違うのです!!」
「ん?」
リンダルさんは何故か地に伏せて必死に言い募ってくる。
「ギルドでも有名な問題児たちが貴方様をターゲットにしていたからやばそうになるのだったら止めに入ろうと思っていてここにいたのです!!」
「うん? 様??」
「で、ですから私は貴方様に対して危害を加えようとしていたわけでは決して!! 今見たこと聞いたことは全て忘れます! ですからどうか命だけは!」
あれ。これオレ別の意味でやばい奴だと思われてない?
厨二病とかじゃなくて、マジでやばい奴。
あれ。これオレゲームのヴォンと同じ道たどってね?
あれ? あれれ??
とりあえずリンダルさんをこのまま地に伏させておくのはだめだろう。
目立ちすぎる。
他に人がいないとも限らない。
「えーっと。とりあえず立ってくださいよ」
「はい!!」
わあー。完全に言いなりになる気満々だよこれ。
オレは頭を抱えた。
何故こうなった。
もう全部こいつら(ヤンキーども)が悪い。
舌打ちでもしたい気分だが余計に怯えさせてしまうのもいただけない。
「えーーと。違うんですよ」
「ええ! 貴方様の言いたいことは分かっております! お任せ下さい!」
「いや、だから」
「ええ! 全部終わらせておきます!」
「違うんですってぇ!!」
てぇ……てぇ……てぇ
オレの声が森にこだました。
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