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第11話 さあ、もう終わりにしよう?

 


 ――ガキイン!!


 クロスボウから放たれた矢をゼノンが弾く。

 甲高い音がした。


 ゼノンはそのままキナコから放たれる風の刃をいなしていく。


 流石は元兵士。

 腐っても王国の守備を任せられるだけはある。


 だが、それもいつまで持つか。


 対するオレは余裕しゃくしゃく。


 手数もあるし、強力なキョンシーたちもいる。


 だがとどめはオレがさしたかった。


 祖父を良いように操られ祖国を乗っ取られた上、追い回された恨み、忘れていないからな!



 ゼノンは脂汗をにじませ息を荒げている。


「くそっ!!」


 おやああああ??? どうしたんですかあああ???


 ただのガキにここまで追い込まれるとは思ってなかったんですかああ???


 オレは黒い笑みを称えた。



 それはそれとして。


 オレは真面目な顔をした。


 さて、と。もうそろそろ終わりにしよう。


 オレはサバイバルナイフに持ち変えるとキナコから飛び降りてゼノンを組み敷いた。


「さあ、もう終わりにしよう?」


 ゼノンの首筋に当てたナイフは反射してゼノンの歪んだ顔を映す。




「ま、待て!! なんでもやる!! だから助けてくれ!!」


 ゼノンは唾を飛ばしながら言い募る。


「君、今までいろんな人からそうやって命乞いをされてこなかった?」

「っ!!」


 オレはニコリと柔らかい微笑みで彼を見る。


 その反応はされてきたな。



 命乞いをされたところで、ゼノンは誰も助けはしなかっただろう。

 それどころか希望を見せるだけ見せて、いたぶりつくしてきたかもしれない。


 そんな奴の命乞いを、オレが受け入れると思うのだろうか。


「ねえ、今まで何人こうやって操ってきたの?」


 首の皮を裂く。

 ゼノンの顔が恐怖に歪んだ。


 血が滲んでくる。



 だが、やめてやるほどオレはお人よしではない。


 罪を犯したのなら裁かれるべきと思うし、誰かから騙されたり損を被ったりしたら倍にして返す人間だ。


 命乞いをするには向かない人種だろう。



 転生に気が付いたころならまだ可能性はあったかもな。


 だがオレはこの世界でたくさんの命を奪ってきた。


 人も、モンスターも。



 だから感覚が麻痺したのかもしれない。


 ゼノンの命を奪おうとしているのに恐怖心が沸いてこないのだ。



 今オレの内を満たしているのは激しい怒り。


 面識がなくとも身内をコケにされた怒り。

 

 世の中を混乱の渦に巻き込んだことへの怒り。


 そして仲間を……アレクを呪われた怒り。




 オレは笑みを消した無表情でゼノンを見る。

 目に映るゼノンは恐怖に引きつった顔をしていた。


「呪った人の数だけ苦しんで死ぬがいい」



 サバイバルナイフをゼノンの首に突き立てた。


「がっ!!」


 醜い音を立てながらもがき苦しむゼノンを、オレはただ無表情で眺めていた。


 音が小さくなり、やがて動かなくなる。


 これで終わった。全て。



 ゼノンは完全に生命活動を停止したのだ。



 ――ガララ



 術師が死に、聖剣王が音を立てて崩れていく。


 体の淵から砂になって消えていく中で、呪いが体から剥がれ落ち、元の優し気な顔が僅かに微笑んだのが見えた。



 ――どうか、安らかに。


 オレはそっと目を閉じてそんなことを願った。




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